いつも通りの職場の午後、届いたばかりのPixel 4を眺めていた僕は、突然立ち上がってこう言った。「今夜、星空を撮りに行く」。隣に座っていた同僚は「たまにはいいこと言うんですね」なんて苦笑いしていた。これがベテルギウス、シリウス、プロキオンと、冬の大三角を目指し、僕はPixel 4を握りしめて長野県の野辺山高原へ向かった。

Pixel 4の星空撮影の実力を自分の目で確かめたかった

野辺山は、関東圏では割とメジャーな星空撮影スポットだ。撮影場所の目印となるのはJR野辺山駅で、標高1345メートルに位置するJR最高地点駅としても知られる。高地かつ、都市の明かりによる光害を受けにくい高山に囲まれた環境でありながら、電車で行けるし、高速道路のICも近くクルマで往復しても日帰り旅程を組むことができる。

  • 野辺山駅周辺は美しい星空で有名

今回の撮影地点はこのJR野辺山駅周辺。撮影日は10月31日から11月1日未明にかけてで、時期的には秋だが、撮影時間が遅い関係で冬の星がメインになっている。当日の天気は快晴だが、これまでの雨で少し湿気があり、霧のかかる時間帯もあった。月齢は、直近の新月が10月28日なので、月明かりの影響がほんの少しだけある。一眼であればキレイに天の川が撮影できる環境と思ってもらいたい。

それでは、実際にPixel 4で撮影してきた写真を紹介したい。

  • プレアデス星団(すばる)を拡大表示してみた

  • オリオン大星雲を拡大表示してみた

Pixel 4の「天体写真機能」で星空を撮影するための準備

Pixel 4が10月24日、「天体写真機能」を新搭載した「夜景モード」をひっさげて鳴り物入りでデビューして以来、1日でも早く撮ってみたかったのだが、ご存知の通り悪天候が続いていたので、なかなか機会に恵まれなかった。

日本で天の川が観測できる季節は夏と秋と冬だ。明るすぎる月が観測の妨げとなるので、月明かりのない新月か、その前後3日程度の暗い時期を狙いたい。今回撮影したのは秋冬の天の川だ。夏は湿度が高く靄がかかりがちなので撮影に向かないが、夏の天の川は地球から見て銀河の中心方向、つまりより"星の濃い"方角を観測することになるので、秋冬とはまた違った存在感の強い天の川を見ることができる。空の月だけでなく、街の灯も大敵だ。今回の野辺山のように、なるべく高度があって、街から離れた場所を探しておきたい。

撮影場所と天候、月齢などを見定めることができれば、あとはPixel 4と適当な三脚さえ持っていけば、カメラの設定などほとんど気にせずシャッターを押すだけで、今回と同様の写真が撮影ができる。正直、これまでの星空撮影にくらべて手軽すぎる。

  • 今回の撮影機材はPixel 4と小型の三脚だけ。設定もカメラまかせのフルオートで撮影できる

ただ、気になったのは、撮影のたびに画像処理が入るのだが、その時間がまだまだ長いのだ。写真1枚撮るたびに4分ほども待たされるのはストレスだった。画像処理の負荷の問題だから、スマホのスペックが上がればこの時間はどんどん短くなっていくのだろう。スナップを撮るように、星空の写真が撮れるようになるのだと思うと、将来が凄く楽しみになってきた。

  • Pixel 4のカメラを「夜景モード」にして、本体を三脚で固定、十分に暗い場面になれば画面に「天体写真機能ON」という表示がでる。この状態でシャッターを切れば星空撮影ができる