開催中の「第32回東京国際映画祭」で4日、映画『帰郷』の舞台挨拶が行われ、主演の仲代達矢をはじめ、常盤貴子、北村一輝、田中美里、杉田成道監督が登壇した。
同作は、フランス・カンヌMIPCOMでアジアの作品として初めてワールドプレミアに選出された史上初の8K時代劇。作家・藤沢周平が一人の老渡世人の姿を描いた傑作短編を、仲代達矢をはじめとする豪華キャストで映像化した。
舞台挨拶では、国内外を含めた映画界への貢献が目覚ましい人に贈られる同映画祭の特別功労賞に選出された仲代の授賞式も行われ、トロフィーを受け取った仲代は「こんな素敵な立派な賞をいただき、長い間70年近く役者をやっていて本当によかったと思います」と喜び、「ありがとうございます」と感謝した。
そして、この日の『帰郷』の上映を客席で見ていたという仲代は「自分が出ていながら感動を覚えました。長い間、何十本となく時代劇はやってきましたが、出演した私が感動を覚えたということは、今までやったことがない時代劇だと思います。杉田監督、スタッフ、共演者のみなさんの素晴らしい力だと思っています」と太鼓判。また、「ヤクザの晩年を描いた作品です。私もそろそろ役者の晩年を通りすぎ、そういう状況です。それゆえに共感を持ったと思います。ちょっと涙がこぼれました」と打ち明けた。
仲代の娘役を演じた常盤は「圧倒的な存在感でいらっしゃるので、それはそれは震える思いというか、最初は怖くて『どうしよう』って久々に…初めてくらい震えました」と振り返り、「でも仲代さんが優しくしてくださって、温かいまなざし包み込んでくださったので、ドンといかないと逆に失礼だと思って、私のできる限り、頑張って頑張って飛び込んでいかせていただきました」と語った。
仲代の若き日を演じた北村は、「以前、親子の役を演じる幸せに恵まれて、今回また若かりし頃をさせていただく、こんな役者冥利なことはありません」と仲代との再共演に感激。「プレッシャーもすごかったんです。仲代さんの昔の映画を観て、どういう風にしゃべればいいんだろうとか」と打ち明けつつ、「こういう幸せな機会をいただいたこと、そしてここに立っているということを幸せに感じています」としみじみと語った。