アユートが取り扱うオーディオブランドのAstell&Kernから、ハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤーの新製品「SA700」が発表されました。2019年12月に16万円前後で発売を予定しています。

  • SA700

    元祖・ハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤーのブランドAstell&Kernが新製品「SA700」を発表しました

SA700は、Astell&Kernが初のハイレゾプレーヤー「AK100」を発売してから7年を迎えたことをきっかけにして、新たに企画されたモデルです。

  • AK120

    Astell&Kern初のハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤー「AK100」と、Dual DACを搭載した「AK120」

  • SA700

    SA700のコンセプトを語ってくれたAstell&KernのSonia Na氏

「秋のヘッドフォン祭 2019」の会場で実施された発表会で、Astell&Kern代表者のSonia Na氏は「デザインや操作感などレトロなポータブル音楽プレーヤーのテイストと、最新のデジタルオーディオの技術を融合させること」が、SA700を開発する上で重視してきたコンセプトだったと語っています。

SA700のシャーシ素材は、耐久性・耐腐食性を特徴とする高級金属素材のステンレススチール。カラバリはオニキスブラックとステンレススチールの2色です。

  • SA700

    ボディの素材はステンレススチール。オニキスブラックのモデルは、PVDコーティングによる塗装を施しています

本体サイズは片手に心地よく収まります。ボリュームダイアルのプロテクターは、2013年に発売された「AK120」のエッセンスを踏襲。弦楽器の形からインスピレーションを受けたという柔らかなカーブを付けて、操作性も高めています。再生・一時停止と曲送りのボタンは反対側面にあります。

  • SA700

    側面のボリュームダイアルにプロテクターを配置

  • SA700

    側面に曲送りと再生・一時停止ボタンを搭載

  • AK120

    AK120のボリュームダイアルにもプロテクターが搭載されていました

ボリュームダイアルの周囲に配置したインテリジェントLEDライトが、再生する音源の解像度とボリュームのアップダウンに合わせて色を変えます。リング状になったランプの配置は、皆既日食をイメージしているそうです。音量は151ステップで細かく調整ができます。

  • SA700
  • SA700

    再生する音源の種類・解像度によってインテリジェントLEDの色が変化

  • SA700

    LEDの点灯は設定からオフにもできます

プレーヤーの心臓部であるDAコンバーターのICチップは、ポータブルオーディオプレーヤーでは初採用という旭化成エレクトロニクスの「AK4492ECB」です。左右のチャンネルに独立して配置しています。「ICチップが低消費電力でフットプリントが小さいことから、SA700をコンパクトなハンディサイズにできた」とNa氏が説明しています。

SA700をさっそく試聴

ヘッドフォン祭の会場でSA700を視聴しました。持参したAstell&Kernのイヤホン「AK T9iE」との組み合わせです。ミドルレンジの厚みと、音楽のエネルギーを前面に押し出してくる手応えがあります。温かみのあるボーカルの滑らかな質感が魅力的に感じられます。

  • SA700

    Astell&Kernのイヤホン「AK T9iE」と組み合わせて試聴してみました

音場を豊かに広げる方向よりも、中低域のインパクトをしっかりと打ち出せる足腰の強さが個性的です。旭化成のDACチップ「AK4497EQ」を搭載するA&ultima SP1000Mの高解像できめ細かなサウンドと、明快なキャラクターのすみ分けができていると思います。

本体に内蔵するストレージは128GB。外部ストレージとしてmicroSDカード×1枚を装着して使えます。再生可能なハイレゾファイルは、最大384kHz/32bitのリニアPCMと、DSDは最大11.2MHzの音源まで。

  • SA700

    SA700はシングルSDカードスロット仕様。USB Type-Cを採用しています

  • AK120

    AK120はデュアルSDカードスロット仕様

オーディオ出力は、2.5mm/4極のバランス出力と、3.5mmアンバランス出力。それぞれの接続に対応するイヤホン・ヘッドホンを組み合わせて、音の聴き比べを楽しめます。

  • SA700

    SA700は2.5mm/4極のバランス出力と3.5mmアンバランス出力を搭載

Bluetoothワイヤレス接続にも対応しています。対応するオーディオコーデックは、aptX HD、aptX、SBC。Wi-Fi機能とOPEN APPサービスにも対応したことから、Android OS向けのAmazon MusicやSpotifyのアプリを追加して、音楽配信サービスのストリーミング再生も可能です。

ディスプレイのサイズは4.1型。解像度は1,280×720画素。クアッドコア構成のCPUを搭載したことで、タッチ操作に対して機敏に反応してくれます。重さが303gと、Astell&Kernのフラッグシップ級プレーヤーよりもかなり軽いので、片手持ち操作も快適です。操作画面はSP1000以降に採用されている「第4世代」のユーザーインタフェースをベースにしながら、よりシンプルにカスタマイズされました。

  • SA700

    4.1型の液晶タッチディスプレイを搭載

  • SA700

    電源をオンに。Astell&Kernが独自にデザインした第4世代のユーザーインタフェースを採用しています

  • SA700

    ボリューム操作時の画面表示もAK120のUIを踏襲しています

また、別売のレザーケースも、SA700本体と同時期に発売を予定。レッド、ブラック、グリーンの3色で、背面がレリーフのようなデザインのメタル素材になっています。

  • SA700

    オプションとして販売されるSA700専用のレザーケース

  • SA700

    グリーンのケースを装着したところ。ディスプレイや各端子の部分を切り欠いたデザインです

「ハイレゾ再生の音質だけでなく、音楽配信コンテンツのストリーミング再生も手軽に楽しめるなど、Astell&Kernのポータブルオーディオプレーヤーが持つ多彩な機能を改めて多くの方々に知ってもらえるよう、ポータビリティと操作性を高めることには徹底してこだわりながらSA700を開発してきた」というNa氏は、「これまでAstell&Kernのプレーヤーを聴いたことがないという皆さまにも、ぜひSA700を聞いてもらいたい」と呼びかけていました。

アユートが開催した新製品発表会には、レコーディングエンジニアの杉山勇司氏がゲストとして登壇。Astell&Kernのハイレゾプレーヤーは初代の「AK100」からヘビーに使い込んでいるユーザーとして、SA700の印象について「どことなくレトロなのに新しさを感じさせてくれるデザインが気に入っている。原音再生に忠実なサウンドもしっかりとキープしている」と、高く評価していました。

  • 杉山勇司氏

    ゲストとして登壇したレコーディングエンジニアの杉山勇司氏

現在の「A&」シリーズに加わる新たなブランドの顔として、またユニークなプレーヤーがAstell&Kernから登場します。2019年の冬に各社から出そろった充実のハイレゾプレーヤーと、ぜひ聴き比べてみてはいかがでしょうか。