今年で33回目を迎えるフジテレビ系大型バラエティ特番『FNS27時間テレビ』の歴史は、すなわちビートたけし&明石家さんまの歴史であると言っても過言ではない。第1回(87年)ではフライデー襲撃事件の謹慎明けのたけしをさんまがタモリと迎え、90年代にはたけしがさんまの愛車・レンジローバーを毎年破壊。近年はたけしが中継、さんまが深夜枠で名物コーナーを持ち、今年でたけしは歴代最多となる8回目の総合司会、さんまは皆勤賞だ。

そんな2人が、今年の『FNS27時間テレビ にほんのスポーツは強いっ!』(11月2日18:30~3日21:54)で、また新たな歴史を刻もうとしている。伝説の番組『たけし・さんまの有名人の集まる店』が「たけし・さんまの有名アスリートの集まる店」として20年ぶりに復活し、『オレたちひょうきん族』の“CMコント”の新作が放送されるのだ。

収録直前に行われた『27時間テレビ』の記者会見で、たけしは「さんまが1人でしゃべるから大丈夫だよ」「コントだって予定しててもその通りいかないんだから」と予想していたが、マイナビニュースでは、この収録スタジオに潜入。爆笑に包まれた現場の様子をレポートする。

  • “貴子ママ”明石家さんま(左)と“鬼瓦権造”ビートたけし=フジテレビ提供

■打ち合わせなしで本番突入

『有名人の集まる店』は、貴子ママ(さんま)のスナックで、常連客の鬼瓦権造(たけし)とゲストとともにトークを繰り広げる番組。当時、長時間の収録でワインをどんどん飲み進めたたけしが案の定酔っ払ってしまい、財前直見のお尻を触って悲鳴を上げさせた“事件”を起こしたが、今回の収録でも当然さんまにほじくり返された。

大御所2人の共演に、スタジオには多くの関係者が見学に集結。本番前、たけしは前室でスタンバイし、さんまはスタジオ内で『ひょうきん族』などの名物ディレクター・三宅恵介氏と談笑していたが、たけし&さんまの2人で打ち合わせをする様子はない。

そして、いよいよ本番がスタート。さんまがチュートリアル・徳井義実や、たけしの離婚を1人でイジる中、たけしが入店すると、ここから2人が見事なコンビネーションを見せ、約5分にわたるノンストップのトークバトルに突入した。

そんな中、今年の『27時間テレビ』でたけしと3年連続のタッグを組む関ジャニ∞・村上信五が、果敢に参戦する。権造の息子役の村上は、たけしと同じく角刈りに極太の眉毛とヒゲ、アルプス工業のドカジャンという出で立ちで現れ、「お父ちゃん!」と第一声。2人のトークバトルに参加し、随所にたけしにツッコミを入れながら進行役をこなしていく。それにしても、カウンター越しに鬼瓦権造が並ぶ2ショットは、実にシュールだ。

  • ビートたけし=同

■「笑いのためには歴史を変える」

そこからトークはさらに盛り上がり、さんまがたけしのかつての失敗談を面白おかしく披露すると、たけしから「こいつ、笑いのためには歴史を変えるんだから」と名言も。このタイミングで、メインゲストの1人目である陸上の桐生祥秀選手が入店しようとするが、あまりに激しい笑い戦場を目の前にして、一度立ち去ってしまった。

あらためて桐生選手はカウンターに座るが、台本に書かれているのは「※カンパイして4人で楽しいトーク」のみ。スタッフからのカンペも出ない。

それでも、たけしが言い出した下ネタにさんまがエスカレートして乗ると、たけしが「バカヤロー!」と制止したり、たけしが真面目な話をすると我慢できなくなったさんまが「オチないの!?」と不満をぶつけたり、さんまがテッパンのお笑いアイテムを見つけると、たけしが「いいの見つけやがって、俺にもやらせろ!」と欲しがったりと、今回はノンアルコールなのにトークがますますヒートアップ。時には桐生選手を放置してしまう場面も多々あったが、バラエティファンの桐生選手は「超楽しい!」と終始笑顔だ。

その後、レスリングの浜口京子、フィギュアスケートの村上佳菜子という女子2人が来店。たけし&さんまの丁々発止が続く中、浜口は父親譲りの独特の発声と間で見事に存在感を示した。

こうして、大盛り上がりで1時間15分にわたる本編の収録が終了したが、さんまは「もう終わりー? やっとエンジンかかってきたのにー」と物足りない様子。その言葉通り、出演者の集合写真を撮影する際に、セットの奥をスタッフが走って横切ると「誰通ったの今!?」と見逃さず、まだまだ臨戦態勢だった。

■さんま64歳、一気飲みの限界へ

“CMコント”の明石家さんま=同

続いて、“CMコント”の収録へ。元祖は、さんまが牛乳を一気飲みして、たけしが「タケちゃんマン牛乳は、牛乳のホームラン王です!」と言う流れのはずが、たけしがセリフをうまく言えず、さんまが何度も牛乳を飲むはめになるという内容。今回は、たけしが監督役となり、タレント役の村上が「(爽やかドリンク)“CX27”を飲んで!」と言うと、さんまが一気飲みし、2人で「明日も元気に頑張ろう!」と決めセリフで締める流れだ。

当時30代だったさんまも、今や64歳の大ベテランだが、たけし監督は一発OKを出して、さんまの負担を減らすことができるのか。それとも、納得行くまでさんまが何杯も飲み続け、伝説の名言「飲めましぇん!」が今回も飛び出すのか。「有名アスリートの集まる店」でヒートアップしたままのたけし&さんまからは次々にアドリブがさく裂するが、それに必死に食らいついていく村上にも注目だ。

そして、この40年来の名コンビは、『27時間テレビ』生放送の「さんまのお笑い向上委員会」「明石家さんまのラブメイト10」でも競演はあるのか。中継先の名物キャラクター・火薬田ドン(たけし)に、さんまはどう対峙(たいじ)するのか。たけし×さんま×生放送という危険しか感じられないキーワードの掛け合わせに、期待せずにはいられない。

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