日本酒造組合中央会が主催する「全国きき酒選手権大会」が10月25日、品川プリンスホテルで開催された。大会はアマチュアを対象に行われ、各都道府県の予選を突破してきた代表者が日本酒に関する筆記試験、7種類の日本酒について“きき酒”を行い、日本一を競い合った。

  • 品川プリンスホテルで行われた、第39回「全国きき酒選手権大会」

予選を勝ち抜いた日本酒愛好家らが品川に集結

「全国きき酒選手権大会」は、日本酒文化の普及・振興を目的として1981年よりスタートし、今回で39回目を迎える。都道府県ごとのチームで競う「団体の部」、個人が競う「個人の部」のほか、第33回大会から作られた「大学対抗の部」、第36回大会から作られた「インターナショナルの部」があり、今年は37都道府県、大学13校、6ヶ国13名の外国人が参加。日本全国の日本酒愛好家たちが熱戦を繰り広げた。

  • 前回優勝した宮城県から優勝杯が返還される

  • 選手を代表して宣誓を行った愛知県酒造組合の2人

大会は、まず日本酒に関する知識が試される「筆記試験」を20分間行い、その後15分間「きき酒」を行う。成績上位者が複数いた場合はプレーオフが行われ、最終的な入賞者を決定することになる。

  • 真剣な表情で筆記試験に取り組む選手たち

私語禁止の厳粛な空気の中行われる「きき酒」

「きき酒」は5組4グループに分かれて順番に競技会場に入り、第1コーナーで味を確かめ、 第2コーナーで実際にその日本酒を当てるという流れで実施された。それぞれの日本酒は着色された容器に収められており、色で判別できないようになっている。また日本酒は必ずしも飲む必要はなく、きき酒を行った後は「ハキ」という酒を受け入れる容器に吐き出しても良い。緊張した空気が流れる中、参加者は短い時間を有効に活用し、じっくりと酒の味を確かめていた。

  • きき酒は5組4グループに分かれて別室で行われた

  • 1つひとつの味や香りを真剣に記憶する選手たち

  • 大学対抗の部では学生さんらがきき酒に挑戦

  • インターナショナルの部のきき酒は着席して行われた

  • 見た目で判別できないように色のついた液体の容器を入れる

  • 日本酒は必ずしも飲む必要はなく「ハキ」に捨てても良い

プレーオフ中にはお酒と料理のセミナーも

試験結果の集計やプレーオフの合間には、日本酒造組合中央会の理事、宇都宮 仁 氏による「日本酒と料理のペアリングの基本的な考え方」セミナーも開催。酒と料理の相性の意味や、ワインやビール、ウイスキーと料理の相性および日本酒の利点などが語られた。具体的なメニューも紹介され、参加者と来場者は真剣に講演に耳を傾けていた。

  • 日本酒造組合中央会の宇都宮理事が酒と料理の相性について語る

  • ワインに対する利点は「うにたまごくさいからよ」で覚えると良いそうだ

結果発表!日本一の栄冠は誰の手に?

プレーオフと集計が終わると、会場を移して懇親会がスタート。各部門の表彰が行われた。緊張から解き放たれた選手たちは、用意された47都道府県のおいしい日本酒を料理とともに楽しみ、ほっと一息。日本酒愛好家同士の交流を楽しんでいた。

  • さまざまな年齢の方が交流を深めた懇親会の様子

  • インターナショナルの部に参加した外国人の皆さん

  • 「インターナショナルの部」優勝は台湾のLEE LUNさん(中央)

  • 「大学対抗の部」1位は横浜国立大学(中央)、2位筑波大学(左)、3位新潟大学(右)

  • 「団体の部」は青森県が制し、みごと優勝杯を獲得した

  • 「個人の部」で一位の栄冠を勝ち取った山形県の横山千広さん

最後に日本酒造組合中央会の辰馬氏は「日本酒はお米、水、人の技、作り手の情熱、そしてなによりも飲んでくれる皆さまの情熱がハーモニーを醸すことで、いいお酒ができると我々は思っております。ぜひこれからも日本酒を楽しんでいただきたいと思います」と述べ、大会を締めくくった。

  • 日本酒造組合中央会 需要開発委員会 副委員長 辰馬 健仁 氏