11月2日に発売される、ウォークマンZXシリーズの新モデル「NW-ZX507」。高品位なパーツや素材を採用し、ヘッドホン出力はステレオミニに加えて4.4mm 5極バランス出力も搭載するなど、高音質にこだわった設計が特徴です。本記事では、NW-ZX507の外観の特徴や新機能を、写真で紹介します。

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    Android搭載のストリーミングWALKMAN「NW-ZX507」(ブラック)

ZX507は、スタンダードなウォークマンAシリーズの最新モデル「A100」シリーズと同じく、Androidを搭載。ハイレゾ音源をダウンロード購入したり、Spotifyなどの有料音楽配信サービスの楽曲もストリーミング再生もできます。内蔵メモリは64GBで、価格はオープン。店頭価格(税別)は8万円前後を見込んでいます。

ZX300のサイズ感そのままに、各部をブラッシュアップ

本体は従来の「NW-ZX300」シリーズ(2017年発売)と同様に、アルミ削り出しシャーシを採用。内部には電気回路の基準となるグランドを安定させる銅切削ブロックを配置しており、楽器が同時に音を出したときの音の安定感を高め、しっかりとした低音が出せるとしています。

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    NW-ZX507の前面

右側面にはZX300シリーズと同様のハードウェアキーを装備。従来のWMポートはUSB Type-Cに変わり、回路設計や音質面への影響などに配慮して本体の左側面に配置しています。

アイ・オー・データ機器が発売する光学ドライブCDレコーダー「CDレコ」(別売)をつないで、手持ちのCDをPCレスでウォークマンに直接取り込むこともできます。

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    NW-ZX507の側面。どっしりとした存在感がある

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    本体の左側面にUSB Type-CとmicroSDカードスロットがある

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    USB-Cケーブルを挿すイメージ

ヘッドホン出力は通常の3.5mmステレオミニに加えて、ヘッドホンのドライブ力やステレオ感が向上する、4.4mm 5極バランス出力端子を備えています。バランス接続は2.5mm 4極端子を採用した製品が多いですが、4.4mmバランス対応の製品も増えてきました。ソニーや他社から発売されている4.4mmバランス用ヘッドホンやリケーブルなどの対応製品を持っていれば、ZX507と組み合わせて高音質なバランス接続の音を楽しめます。

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    4.4mmバランス出力端子(右)を備える。左奥は3.5mmステレオミニ

microSDカードスロットを1基搭載し、最大128GBまでのmicroSDカード(ソニー製の場合)が利用できます。スロットの位置は、ZX300シリーズでは本体の下側面にありましたが、ZX507では左側面に変わりました。microSDカードは、Androidスマートフォンでよく見かけるSIMカードトレーのようなパーツに載せて装着します。

なお、NW-ZX507の内蔵ストレージは64GBですが、Android OSが入っているためユーザーが使える空き容量(システム領域を除く)は約48.64GBとなります。DSD音源など大容量データを持ち歩きたい場合は、別途microSDカードを追加するとよさそうです。

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    microSDカードはSIMカードトレーのようなパーツに載せて装着する

本体サイズは121.8×57.3×14.8mm(縦×横×厚さ)、重さは約164gで、ZX300シリーズ(119.5×57.3×14.8mm、約157g)よりも少しだけ縦長になりました。

画面のサイズは従来の3.1型から3.6型へ大型化し、解像度は800×480ドットから1,280×720ドットへと高精細化。本体の下側面にはストラップホールを備えています。

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    NW-ZX507の付属品

スタンダードモデルのA105と、上位モデルのZX507を重ねてみると、本体の縦の長さはZX507が長く、幅はほぼ同じことが分かります。A105の幅は54.8mm、ZX507は57.3mmで、その差は2.5mm。実機からは、数字から受けるイメージとは違って幅の差を感じず、手に持つとほどよいサイズ感です。

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    A105とZX507を重ねてみると、縦の長さの違いが分かる

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    A105とZX507の幅の差はほとんど感じられない

比較的小さなAndroidスマートフォン(Xperia XZ1 Compact)と比べると、A100シリーズとZX507はずいぶんコンパクトな作りで、服のポケットなどにも収まりやすくできています。

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    A105とZX507、Xperia XZ1 Compactを並べたところ

音にこだわり高品位パーツ投入、ストリーミングも高音質再生

ZX507は、A100シリーズと同様にほぼ「素のAndroid OS」を採用。SpotifyやApple Music、Amazon Music HDといった有料音楽配信サービスのアプリをGoogle Play ストアから追加し、好きな楽曲をストリーミング再生できます。AndroidスマートフォンのようにChromeブラウザやGmailアプリなども使えます。

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    Androidを採用したNW-ZX507のホーム画面

通常のAndroid端末よりも細かく、120段階で調整できる「マスターボリューム」を備えている点は、音楽専用機らしいポイントです。

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    ZX507もマスターボリューム機能(右)を備える

なお、単体でインターネット接続する機能は備えておらず、無線LAN環境が必要です。また、カメラは無いのでQRコードの読み込みなどは行えません。本体スピーカーも非搭載で、音楽を聴くにはイヤホンやヘッドホンが必要です。

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    無線LAN経由でAmazon Music HDの楽曲をストリーミング再生しているところ

標準プレーヤーアプリは「W.ミュージック」で、基本的な再生機能はA100シリーズとほぼ共通。従来のウォークマンの再生画面や操作感を引き継いでいます。

再生中のアルバムや楽曲のジャケットなどの代わりに、カセットテープが回っているかのようなビジュアルを表示するユニークな機能「カセットテープスクリーンセーバー」も備えています。再生している音楽ファイルの種類(MP3、AAC、FLACなど)によって表示されるテープの色と種類が変わる仕組みで、詳細は国内発表時のニュース記事で紹介しています。

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    W.ミュージックの「カセットテープスクリーンセーバー」

新たな「音質設定アプリ」はウォークマンの高音質機能の設定(DSEE HX、CleraAudio+、バイナルプロセッサーなど)をまとめて操作でき、音楽ストリーミングなどのあらゆるサービス・アプリの音を高音質化できるようになりました。すべての音質設定をオフにし、楽曲を生の状態で楽しめる「ソースダイレクト」機能も備えています。音の良いイヤホンやヘッドホンを持っていると、ウォークマンの素の音が楽しめます。

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    音質設定アプリの「ソースダイレクト」をオンにしたところ

フルデジタルアンプの「S-Master HX」を搭載。MP3やAACなどの圧縮音源に加えて、PCMは384kHz/32bitまでサポート。11.2MHzまでのDSDネイティブ再生もできます。

ヘッドホン出力のアナログ電源を強化しており、4.4mmバランス出力にはソニーの最高級ポータブルプレーヤー「DMP-Z1」で採用した、高分子コンデンサ「FT CAP2」を4基搭載し、音もチューニング。内部構造も改良しており、「ボーカルや楽器の伸び、透明感が向上。しまりのある力強い低音域を実現した」としています。

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    ZX507のW.ミュージックアプリ初回起動時に、画面で高音質設計をアピール

ステレオミニ出力も、「POSCAP」というコンデンサーの容量がZX300比で2倍以上(47μF→100μF)にアップ。アンバランス出力の低音再生能力を向上させています。基板の一部パーツ取り付けには、金を添加した新しい高品質はんだを採用し、金の添加量は設計者が試聴を繰り返してチューニングしているそうです。

  • NW-ZX500シリーズ

    ZX507とイヤホン(Campfire Audio「POLARIS II」)を組み合わせたところ

  • NW-ZX500シリーズ

    ZX507とヘッドホン(e☆イヤホンオリジナル「SW-HP11」)を4.4mmバランスケーブルでつないだところ

連続再生時間は、ステレオミニ出力でFLAC 192kHz/24bit再生時が最大約16時間、MP3再生時は最大約20時間。バランス出力ではFLAC 192kHz/24bit再生時が最大約15時間、MP3再生時は最大約19時間です。同じ条件でZX300シリーズと比べると、連続再生時間は短くなっています(ステレオミニ出力:約23時間/約30時間、バランス出力:約20時間/約25時間)。

ライター・山本敦氏が、IFA2019会場のファーストインプレッションや、実機レビューで、ZX507の音質をチェックしています。ぜひお読みください。

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    ZX507に採用されている高音質パーツ・部材