Microsoftは米国時間2019年10月24日、Windows Terminalプレビュー1910をリリースした。すでにMicrosoft Storeから入手可能だが、あまり話題になっていない様子なので紹介したい。
Windows 10の次期標準コンソールとして開発を進めているWindows Terminalは、前回の記事で紹介したWinUI 2.2をさっそこ取り込み、タブバーの動作を改善している。たとえば、ウィンドウ幅に入りきらないシェルを起動した場合はタブが隠れてしまうが、マウスホイールを回してスクロール可能となった。また、配色も変更している。
ウィンドウ内に複数のシェルを起動できるようになったのも、今回のバージョンからだ。これまで、コマンドプロンプトとWSL(Windows Subsystem for Linux)を併用する場合はタブを切り替えていたが、キー設定に「splitHorizontal」「splitVertical」を定義することで、tmuxのように多重起動(接続)が可能になる。今回プロファイルを作り直してみたが、既定では取り込まれていない。興味をお持ちの方は、Microsoft Partner Program Manager, Scott Hanselman氏のブログ記事を参考にカスタマイズしてほしい。
Windows Terminalを特定の位置で起動する「initialPosition」や、ウィンドウを最大化する「"launchMode": "maximized"」も加わった。ただし、マルチディスプレイ環境で指定するには注意が必要な場合もある。一例としては、「設定」-「ディスプレイ」-「マルチディスプレイ」にて、ディスプレイ×2台の配置を[2][1]にしているときだ。この設定で左側のディスプレイにWindows Terminalを映し出すには、「initialPosition」でマイナス値を用いる必要がある。なお、詳しい変更点はChangelogを参照してほしい。
パフォーマンスも向上し、標準コンソールとして期待が持てるWindows Terminalだが、Windows 10 バージョン1909には取り込まれていない。これは当初からWindows Terminal バージョン1.0を2019年冬にリリースするとしているからである。ただ、GitHubのMilestonesページを見ると、バージョン1.0のリリースは「2020年4月30日までに」となっており、Windows 10 バージョン20H1だけではなく、21H1にもマイルストーンに記載があることから、20H1で搭載されない可能性もある。筆者もまだ、単独でコマンドプロンプトやWSLを起動することが多いため、「常にTerminalを起動している」環境を早くWindows 10に持ち込んでほしい。
阿久津良和(Cactus)