自分や家族の将来を見据えると、毎月一定の貯金をしたいですよね。さらに、「そろそろ資産運用でもしてみようかな」と考えている人もいるのではないでしょうか。しかし、「元本割れのリスクがある商品は、怖くてなかなか一歩踏み出せない」という声も耳にします。また、リスク商品を運用している場合でも、資金の一部は元本保証で運用して万が一に備えておきたいものです。
では、元本保証で資産運用をするなら、どのような商品がいいのでしょうか。今回は、100万円を運用すると仮定した場合の元本保証と、それに近いローリスクのおすすめ商品を7つご紹介します。
「元本保証」とは
まず、元本や元本保証、元本割れとはどのような意味なのか、簡単にご説明しましょう。元本とは、いわゆる「元手」で、投資に充てた資金の額のことです。また、元本保証とは、金融商品の運用期間全てにわたり、元本が減らないことを保証することです。たとえば、銀行預金がこれに当たります。元本保証の商品は、一般的には、安全性が高い代わりに収益性は低くなっています。
ちなみに、元本保証と似た言葉に「元本確保」がありますが、これは保険商品などで満期時のみ元本が保証されるというものです。途中解約してしまうと、元本割れしてしまう可能性があります。
一方、元本割れとは、金融商品の価格が変動することにより、購入代金を下回ることを意味しています。たとえば、株式や投資信託などは、運用によって収益が得られる可能性もありますが、元本割れのリスクもはらんでいます。元本割れのリスクがある商品は、一般的に、安全性は低い代わりに収益性は高い特徴があります。
元本保証とローリスク商品おすすめ7選
元本が減るリスクをできるだけ回避したいなら、元本保証やローリスク商品で資産運用してみましょう。では、どのような商品があるのでしょうか。
1. 銀行預金
超低金利時代が到来し、「銀行にお金を預けているだけでは増えない」と言われて久しくなりました。しかし、どうせ預金するなら、少しでも利回りの高いところへ預けたいものですね。そこでおすすめなのが、「ネット銀行」です。
店舗を持たないネット銀行は、人件費などの費用がかからない分、店舗型の銀行と比べて普通預金や定期預金の利息が高くなっています。たとえば、現在メガバンクの普通預金の金利は0.001%ですが、ネット銀行では、同グループのクレジットカードを保有したり証券口座を開設したりすると特典が付き、メガバンクの100倍やそれ以上の金利になることもあります。
定期預金も、ネット銀行は金利が高い傾向にあります。複数のネット銀行に少しずつ預け、使う分だけ解約するといった活用法もいいですね。
2.個人向け国債
国債とは、国が発行している債券のことです。国債を購入すると、一定期間国にお金を投資することになり、定期的に利子が支払われます。そして、満期になると、元本が返済されるという仕組みです。
個人向け国債は、個人で国債が買えるようにしたもので、1万円から購入可能、半年ごとに利子を得ることができます。個人向け国債は、厳密にはリスクがありますが、国が元本と利子の支払いを保証していることで、元本保証とも言える商品です。
個人向け国債には、固定金利の「固定3年」「固定5年」と変動金利の「変動10年」の3種類がありますが、必ずしも満期まで保有する必要はなく、購入から1年が経過すれば1万円単位で換金が可能となっています。なお、いずれのタイプも0.05%が最低金利として保証されています。
3.地方債
個人向け国債が国の発行する債券であるのに対し、地方債とは、地方公共団体が発行する債券です。個人向け国債と同じように、厳密には元本保証の商品ではないものの、国債に次いで安全性や信用度は高い債券となっています。地方債は、自治体が個別に発行するものと、複数の自治体が共同で発行するものに分かれています。
地方債の購入単位は1万円や10万円で満期は5年や10年(またはそれ以上)のところが多いですが、発行の形態は様々です。一般的に、満期が長いほど利回りは高くなり、国債や定期預金と比較しても高い金利となっています。
4.個人向け社債
個人向け社債は、会社が資金調達のために個人向けに発行している債券です。発行している会社によって利回りは異なりますが、個人向け国債と比べて高い傾向にあります。証券会社を通して購入でき、元本は保証されませんが、会社が倒産しない限り、満期時には利子がついて戻ってくるため、安全性は比較的高いと言えます。
1万円や10万円単位で購入でき、人気のある社債は発売してすぐに完売してしまうこともあるほどです。また、個人向け社債は買付手数料がかからない点もメリットです。
5.貯蓄型の保険商品
貯蓄型保険は、契約で決められた期間、保険料を支払い積み立て、保険料払込期間が終わると、解約によって解約返戻金を受け取れる仕組みの保険です。たとえば、学資保険や終身保険、個人年金保険などがこれに当たります。
貯蓄型保険は、払い込んだ保険料の総額よりも、解約返戻金が大きくなります。ただし、保険料払込期間中に解約してしまうと、支払った保険料よりも受け取る金額が小さくなって元本割れしてしまう点や、途中で現金に戻しにくい、他の使い道には使えないといった点には注意が必要です。
6.デパート積立(百貨店積立、百貨店「友の会」積立)
デパート積立とは、毎月一定額をデパートに積み立てることで、1年後(半年もあり)の満期時にボーナスとして積み立てた金額以上の買い物券(買い物カード)がもらえるというサービスです。
1ヶ月の積立金額と同額がボーナスとしてもらえる積立が多く、たとえば、月1万円を1年間積み立てると、満期時には13万円分の買い物券が受け取れることになります。年利に換算すると、なんと8%です。さらに、ホテルやレジャー施設などで使える優待サービスが特典として付いている場合もあります。
ただし、買い物券は積み立てたデパートでしか使えず、また、解約時にはボーナス分を返金する会則を設けているデパートが多い点には注意が必要です。デパート積立は金融商品ではありませんが、いつも利用している店舗があるなら、デパート積立は元本保証のうえ高利回りのお得な運用方法と言えるでしょう。
7.旅行積立
実は、旅行にも積立のサービスがあります。旅行積立は、旅行会社や航空会社にお金を積み立て、満期時にはボーナス(サービス額)が上乗せされることで、積み立てた金額以上の旅行券が受け取れるものです。
積立方法は、毎月一定額を積み立てるか、もしくは、一括での積立となります。利率は、積立期間によるものの、一般的には1.5~3%というところが多いようです。こちらも用途はパッケージツアーや航空券、宿泊などに限られますが、毎年決まって帰省していたり、必ず行くと計画している旅行があったりする場合は、お得に旅行費用を運用することができます。
リスクが低い仕組みも利用する
今回は、元本保証の金融商品やサービス、ローリスクの金融商品をご紹介しました。これらは、元手が減らないという点では安心して利用できるかもしれません。しかし、元本が守られるとしても、将来的に物価が上昇すれば、実質的にはお金が目減りすることになります。
そのため、お金を少しでも増やすなら、元本保証のみにこだわらず、投資も検討してみましょう。たとえば、「つみたてNISA」なら、長期投資に適しリスクの低い商品が厳選されています。元本保証でかつ流動性の高い商品で備えながら、一方では、投資でお金を増やす。バランスの取れた資産運用ができるといいですね。