アクサ生命はこのほど、長寿化にともなう認知症や介護、リタイア後の社会保障などをテーマに「人生100年時代、認知症・介護の備えと長期積立分散投資による資産形成」と銘打ち、FPやマスコミ、研究者などを対象に懇談会を開催した。同社の新商品「ユニット・リンク介護保険(終身移行型)」(略称:ユニット・リンク介護プラス)の開発背景と、同商品に対する事業戦略について説明が行われた。
ペイヤーからパートナーに
懇談会の冒頭で代表取締役社長兼CEOの安渕聖司氏が挨拶を行った。同氏は、アクサ生命グループ全体として「保険金を支払う者の立場の"ペイヤー"から、お客様の人生に寄り添う"パートナー"となる」という大きなビジョンがあることを説明。このビジョンを元に、高齢化社会と介護、認知症、リタイア後の社会保障など、社会問題に対応していく商品として、「ユニット・リンク介護プラス」と「ウェルエイジングサポートあすのえがお」を開発したことを語る。
同商品については、開発を担当した取締役専務執行役員兼チーフマーケティングオフィサーの松田貴夫氏が開発背景の説明を行った。介護保険について、今後の社会情勢を踏まえた上で絶対に必要になる商品であるという認識のもと、「求められているものは商品でもなく、サービスでもなく、セカンドライフを幸せに生きていくためのアドバイス」というコンセプトで商品を開発したという。
介護にかかる金銭的・精神的負担の現状
商品の詳細については執行役員プロテクション&セイビング事業本部長の松下健一郎氏が説明を行った。同氏は、「価値ある商品はアドバイス、保険商品のスペック、サービスの3つが必要」とコメントし、特に介護は、この3つがそろわなければ、商品として成立しないことを強調した。
介護に関しては、アドバイスが重要で、同氏は介護が必要になった場合、関係者は、まず「精神的・身体的な負荷」と「介護費用」の2つの大きな問題と向き合わなければならないことを指摘。この2つを解決することが「ユニット・リンク介護プラス」の大きな目的だと語る。
また同氏は、具体的に介護の経済的負担について「要介護2」となった場合の自己負担を例として、10年間でそれぞれ、施設介護を利用した場合は約2,860万円、在宅介護の場合は約711万円かかること、そして、在宅介護は、金銭的負担は軽いが、近親者の身体的負担、特に拘束時間が多くなり、精神的負荷が非常に高くなることを説明。加えて施設介護においては、平均的な厚生年金収入に対して1カ月の自己負担金が約6.3万円程度足りていないというデータを提示、ほとんどの人が介護資金を預貯金で負担している現状を説明した。
このように万全の介護を行うためには、前提として安定した資産が必要となってくる。そこで「ユニット・リンク介護プラス」は、資産形成に関しては、最低保証がないリスクのある変額保険を提案。適切なリスクを取りながらも、長期積立分散投資によってリスクを極力小さくして、資産形成をサポートしていく。また、保険料振込期間は特別勘定で運用し、保険期間が満了となった場合、積立金を一般勘定に移行し、積立金を元に一生涯保障の介護終身保険として運用するという。もちろん保険期間中、死亡・高度障害保険金と介護保険金(要介護2)を受けられる。
介護をするためには情報が重要
また、同氏は資産形成も重要だが、介護については特に情報が重要だと語る。介護に関する情報には特殊なものが多く、介護体験、介護施設の料金が妥当かどうか、介護判定の受け方など一般人には判断が難しい。介護判定に至っては全国一律ではなく、地方によって変わってくるため、プロのアドバイスが必要不可欠であるという。
そのような状況を踏まえた上で同社が「ユニット・リンク介護プラス」と共に提供するのが「ウェルエイジングサポートあすのえがお」だ。このサービスは、住友生命と共同で開発したもので、10月1日より一部地域で試験的に運用が開始されている。
内容は、介護分野のプロフェッショナルが、専用コールセンターと専用Webページで介護に関する相談、施設の案内、在宅介護のサービス、資産運用などを行うというもの。また、専門の業者である笑美面社の介護施設入居に関するコンサルタントを受けることができる。これは自身の介護だけでなく、親の介護のサポートにも利用できるという。
前述の松田氏は、同商品について「単に介護リスクにフォーカスした商品ではなく、すばらしい家族とのセカンドライフといった自身の人生設計シナリオを変えてしまうケガ、病気、認知症などの介護問題に対応するため、資産形成と介護サービスで対応する保険商品となるように開発した」と胸を張った。
人生100年時代といわれる長寿化と高齢化にともなう様々な諸問題に対しては、公共サービスだけでなく、自助努力としてこのような商品が必要になってくるのは間違いないだろう。そんな中、介護サポート、特に情報サポートに力を入れたサービスは心理的負担を和らげる点で非常に心強いものといえるのではないだろうか。