人間や利害が複雑に絡み合う職場では、自分の本心は抑え込んで「上司が怖いから仕方なく従う……」「正しい人を尊重したいけど賛同できない……」なんてことも多々あるのではないだろうか。今回、300人の男女に「仕事で板挟みになったとき、『偉い人』と『正しい人』のどちらにつきますか?」をアンケートしてみた。

  • 仕事で板挟みに……あなたはどっちにつく? 「偉い人」と「正しい人」

    仕事で板挟みになったとき、『偉い人』と『正しい人』のどちらにつく?

結果:「偉い人」26.8%、「正しい人」73.2%

とにかくトップダウンを重要視してきた過去とは異なり、リベラルな働き方を尊重する企業もどんどんと増えてきている現在。「正しい人」と回答した方が73.2%と大多数に及んだのは、そんな風潮を反映している結果と言えるのかもしれない。

  • アンケート結果は、73.2%で「正しい人」が大多数に

どのような想いから、回答を選択したのだろうか。ここからは「偉い人」「正しい人」それぞれの回答理由を見ていきたい。

【正しい人を選んだワケ】「自分に嘘はつきたくない」

回答理由は大きく二分。ひとつは「正義感が強いから」「自分に嘘をつきたくない」など"自分のポリシーに従う"という意見だ。

「私は正義感が強いから」
「自分の性格」
「自分の信念だから」
「それが幼少期からの自分に根付いている生き方だから」
「いつもイエスマンにはなりたくないと思っていますので、仕事で板挟みになったときは自分が共感出来ると思う方につきたいです」
「性格的に、正しい人や弱い人に肩入れする傾向にあるので」
「誰かに媚を売るような働き方はしたくない」
「自分が正しいと思う人につきます。それでダメなら仕方ないです。実際に失敗しましたけどね。後々後悔するよりマシだと思います」
「自分の行動に、後悔したくないから」
「自分の正しいと思う道を進む」
「一度でも誤ったことを良しとすると、この先のこともどっちでもいいんじゃないかと考えてしまうと思うから」
「本当に出来るかは分からないが、そうしたい」
「あくまで希望」

もうひとつは「後々のことを考えたときに有利に働くのは正しい人」という、先を見越した意見。これからの時代は上下関係や役職、肩書などを重要視すべきではないとの回答も目立った。

「きっと、後に有利になるから」
「最終的には『正義は勝つ』と信じているから」
「現状で高い地位にあったとしても、誤った選択を続ける者は遠からず失脚する。一方で正解を導く人材は重用されるので」
「正しい人に付いたほうが会社もいい方向に向かいそう」
「偉い人についていくと、あとあと自分の正当性を支持してもらえなくなるから」
「正しい人の方が、後に偉くなると思うから」
「常に偉い人を優先すると、組織は破滅へ向かうと思う」
「会社の役職は所詮、水物。正しいと思うことに従うことが自分自身のためにもなる」
「正しい人についた方が、安心して物事を解決してくれるから」
「理論的に正しい人にはやはり多くの人が味方についてくれるはずなので、いくら上司が違う意見を言ったところで筋が通らなくなるはず」
「これからの時代、上下関係を意識するのは意味がないと思うから」
「上司の間違った考えについていくと、仕事効率が悪くなります」
「先を考えると、落ち着いて正しく導いてくれる人が良い」
「正しいことが通らないなら、そこに居ることもないと思います」
「昔と違って、間違いはきちんと整理すべきだと思います」
「偉い人について媚びているのが見えると、周りのそれ以外の人から嫌われて最終的にやりにくくなるから」

【偉い人を選んだワケ】「逆らって損したくない」

対する「偉い人」を選んだ方々の意見は、「会社で居づらくなりそう」「異動させられそう」といった何らかの報復を恐れ、保身を第一に考えるという意見が大多数であった。

「世の中うまく渡りたいから」
「面倒なことにしたくないから」
「難しい選択ですが、その後の会社生活を考えると偉い人につきます」
「自分は弱い人間なので、今後の仕事に悪影響が出そうで怖い」
「表面では上司や偉い人に合わせておいた方が仕事がやりやすい」
「気持ち的には正しい人につきたいけれど、実際には偉い人につかないと不利益を被る可能性が高く、不利益を被ってまで正しい道を選べるかどうかは難しい」
「一企業で生き残っていくには、ズルいけどある種の処世術が最後まで必要だと思います」
「偉い人についた方が後々得する」
「以前正しさを求めて異動になった」
「仕事とは金を稼ぐ手段であり、金を稼ぐためには正しさよりも自己保身を優先しなければならないから」
「理想は正しい人、現実は力こそ正義」
「より多くのお金を稼ぐことにつながると思うから」
「世の中そんなに甘くない」
「偉い人につけば会社生活は安泰だから」

また、次いで多くみられたのが「正しい人」を選んだ方々とは正反対ともいえる「大事なのは年功序列」や「偉い人を従うのは当然」といった意見。ほかにも「意見したところで、結局は偉い人が正しくなる」といった諦めとも感じられる声も。

「会社では責任ある人間がすべてを判断すべき」
「大事なのは年功序列」
「偉い人が言うことにも一定の説得力があると思うので」
「自分より偉い立場の人に従うのは当然のことだから」
「結局、偉い人の意見が正しいことになる」
「長いものに巻かれた方が楽だから」
「権力にはなかなか勝てないから」
「権力者に逆らうほどの実力がないから」
「偉い人の意見は大事だから」
「正しい人がいつも正しいとは限らない。それが会社です」
「正しい人は弱い」
「結局、偉くないと正しいことができないから」

自分のポリシーを貫くために「正しい人」を選ぶのか、生活や家庭を守るべく保身のために「偉い人」を選ぶのか。働く理由にもつながるような、それぞれの仕事への向き合い方が窺い知れるアンケートとなった。