キャッシュレス決済が急速に進みつつある昨今、電子マネーやQRコード決済が注目を集めていますが、それよりもかなり前から存在するキャッシュレス決済手段がデビットカードです。使い過ぎが気になってカード払いを躊躇している人にも安心のサービスで、家計管理も楽になるデビットカード。活用法を紹介します。
デビットカードなら使い過ぎを防ぎながらキャッシュレス
デビットカードの最大の特徴がカード決済したお金が即時に自分の銀行口座から引き落とされるという点です。普段私たちは銀行にあるお金使うときにはまずATMで現金を引き出してお買い物の際にその都度キャッシュを出して払いますが、この一連の動作をカード1枚でできてしまうのがデビットカードの便利な点です。
使い方はクレジットカードとほぼ同じです。支払いの際にデビットカードを出して、支払い金額を確認し、お店の端末に暗証番号を入力するだけ。クレジットカードは払った金額が後日請求されますが、デビットカードは銀行口座に直結しているので、払ったその場で紐づけされている銀行口座から即座に引き落とされます。分割払いやリボ払いはなく、すべて一括払いで支払われます。
自分の銀行口座に入っているお金から支払われるので、口座残高以上のお金を使うことはないため、クレジットカードのように使い過ぎる心配もありません。プリペイドタイプの電子マネーのようにチャージする手間もありません。
銀行のキャッシュカードを持っていればわざわざ作らなくても◎
デビットカードをわざわざ作るのが面倒と思っている人はお財布の中を見てください。銀行のキャッシュカードが1枚はあるはずです。そのキャッシュカードがそのままデビットカードとして使えることをご存知でしょうか?
メガバンクやゆうちょをはじめ、地方銀行、信用金庫、信用組合、JAなどの銀行が発行しているキャッシュカードの多くは、J-Debitというデビットカード機能が自動的についています(一部の金融機関では事前申し込みが必要な場合もある)。そのため、J-Debitで支払えるお店なら、銀行のキャッシュカードを出して「J-Debitで」と言えばデビットカード払いが可能なのです。
最近はそれに加えてVisaやJCBなどのブランドのついたデビットカードも増えています。銀行のキャッシュカードにVisaなどのブランドロゴとともに「Debit Card」「デビット」などの文字がカードに入っているのが目印です。こちらのデビットカードはそのブランドの加盟店などブランドが利用できるお店ならどこでもクレジットカードと同じようにデビットカード払いができます。
ポイントが貯まる! キャッシュバックがある! おトクなデビッドカードも
ここ数年増えているブランドデビットカードのメリットの一つが、利用金額に応じてポイントがもらえたり、キャッシュバックが受けられたりするなどおトクに使える選択肢ができたことです。たとえば楽天銀行のデビットカードを使うと1000円につき10ポイント分の楽天ポイントがもらえる、といったようにお得になるサービスを提供している銀行がある点が注目です。
その他に利用金額に応じてポイントがもらえるのは、住信SBIネット銀行が1000円につき6ポイント、ジャパンネット銀行は基本的に利用金額の0.2%などポイントが付与されます。
利用金額に応じたキャッシュバックがある銀行も見逃せません。たとえばソニー銀行では利用金額や取引実績に応じて0.5%~最大2%のキャッシュバックがあります。そのほかにみずほ銀行では「Smart Debit」または「みずほJCBデビット」利用者に12月15日までの期間限定で最大1万円のキャッシュバックなど、各銀行のキャンペーンも増えつつあります。
10月から消費税増税に伴ってキャッシュレス・消費者還元事業がスタートしますが、デビットカードもその対象となっています。通常ではポイント還元などを行っていなかったJ-Debitも還元事業の対象となっているので、普段のお買い物で利用するお店が対象店舗になっているかチェックするといいでしょう。
家計管理を簡単にする便利な使い方と注意点
デビットカードの魅力は、自分の口座から直接支払いができ、その支出明細は記録が残るという点です。普段の家計用として利用している銀行口座からデビットカードで支払うようにすれば、利用明細が家計簿代わりになります。口座の引き落としやクレジットカードの利用代金の引き落としなどとともに、デビットカード決済を同じ口座に集約すれば、家計の支出管理がとても楽になります。
また、J-Debitではイオンなど一部の店舗でキャッシュアウトサービスも行っているので、現金が必要な時にも銀行のATMに行かずに対応店のレジで自分の口座から現金を引き出すことできます。ただし、J-Debitが使えるお店のすべてでキャッシュアウトができるわけではないので、よく利用する店舗で可能かどうか確認してください。
その他にもブランドデビットカードの場合には、海外でも利用ができ、ソニー銀行や住信SBI銀行など外貨預金口座から利用金額を支払うことができる銀行もあります。また、15歳以上(中学生は不可)からカードが作れる銀行が多いので、海外に出かける際にクレジットカードを持てない子どもに持たせることも可能。カードの発行や維持に手数料や年会費がかかるケースもあるので、コストがかからないかカードを作る前に必ずチェックしましょう。
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堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。