図面や資料の選定、送付の準備作業の時間が9分の1に短縮
LIXIL住宅研究所では現在、運営するアイフルホーム、フィアスホーム、GLホームの一部店舗でダンドリワークを先行導入している。まずは、子会社内での導入を行い、加盟店や協力業者への拡張を進めているところだ。
「子会社では、これまで送付する図面や資料の選定から、コピーや相手に合わせたメモ書きの作成、相手先ごとに異なる方法での送付という準備作業に、1物件当たり総計で9時間ほどかかっていたものが、1時間で済むようになったと好評です。また、現場の状態を見ての確認や図面指示の説明といった簡単なことが、ダンドリワーク上で写真などをやりとりすることで済ませられるようになり、現場へ出向く回数も減りました。協力業者との情報共有もスムーズになったと喜んでいます」と、市川氏は導入効果を語る。
すべての発注先でダンドリワークの利用を同時に開始できたわけではなくFAXでの発注作業が必要な業務もある。それでも、作業時間が9分の1にまで減るというのは大きな効果だ。しかし、その効果を得るまで、現場には多少なりとも抵抗感があり、今でも協力会社や加盟店への説明には尽力している最中だという。
「子会社には2017年7月から、3カ月のテストをかねて導入したのですが、自分のやり方を変えたくないという声もありました。しかし、現場へ出向く時間が多いことで、夕方から社内で事務作業をしているという人もいたので、ムダな残業を減らすためにも、効果への理解やチャレンジを促しつつ、導入しました。その後、協力会社向けに説明会を開きながら本格稼働へと移行させています」と市川氏。
1つの加盟店において、60から70の協力会社が存在するため、足並みをそろえての導入はなかなか難しいのが実態だ。中にはフィーチャーフォンしか持たせていないという企業や職人もある中、次回の機種変更時にスマートフォンを供給してもらうといったように余裕を持った形での協力を促しているケースもある。
「協力会社に対する説明会もダンドリワークスが行ってくれるのですが、同業界の企業だからこそ、うまく進めてもらえています。導入後の勉強会なども開催してくれますし、利用に際して発生する問い合わせもダンドリワークスがChatworkで直接対応してくれます」と、市川氏はいう。
シンプルな使い方で無理・無駄をなくすところから、次のステップへ
今後の展開としては、引き続き加盟店、協力会社への展開を進めて行くことに加えて、機能を十分に使いこなしたいという希望があるという。
「工程表や発注に関する専門的な機能がダンドリワークに用意されているのですが、今のところこれらはほとんど使っていません。今は、ファイル共有機能にPDF化した図面データなどを入れておき閲覧するという形で使っています。工程表は監督ごとにやりやすい作り方があるので、統一するのは難しいのですが、他社の事例なども参考にしながら取り組んでいきたいですね」と市川氏。
情報更新や閲覧履歴を取得する機能は存在するが、これによって状態を管理するよりも、まずは現場の負荷が小さい形で導入している状態だ。
「現場の無理や無駄をなくすことを優先して、ダンドリワークを導入しました。履歴機能など、便利な機能もありますが、それは付録です」と、市川氏は業務改善という目標達成に向けて、便利な機能は取り入れていきたいという意欲を語ってくれた。