アメリカを代表するキュートな女優・歌手、セリーナ・ゴメスが10月23日にリリースした最新曲『Lose You To Love Me』のミュージックビデオが公開されました。このミュージックビデオ、実は全編をiPhone 11 Proで撮影したのですが、完成度の高い映像作品として話題を呼んでいます。
iPhone 11 Proのカメラ機能のどこにプロのクリエイターたちは惹かれているのでしょうか? プロの声を紹介しながら、「私も最新のiPhoneで見栄えするビデオが撮りたい」という方のために役立つ、iPhone 11 Proのカメラを上手に活用するテクニックをまとめてみました。
全編iPhoneで撮影されたMVはセリーナの表情の変化に注目!
セリーナのファン待望の新曲「Lose You To Love Me」は、フェミニンな雰囲気が漂うしっとり系のバラードです。現在、最も注目されている映像ディレクターのひとりであるソフィー・ミューラーが手がけたミュージックビデオは、カメラをセリーナに向けて大胆にクローズアップしながら、彼女のあどけなさと艶っぽさが繊細に移ろい変わる魅力的な表情を巧みに捉えています。思わず息を吞んでしまう3分26秒のミュージックビデオは、現在YouTubeで公開中です。
iPhoneのカメラがプロのクリエイターを魅了
近ごろ、iPhoneを自身の映像制作のプロトタイピング用に、または作品そのものを撮影するために使う一流クリエイターが続々と増えています。
近年の事例では、映画監督のスティーヴン・ソダーバーグがバスケットボールを題材にしたスポーツ映画『ハイ・フライング・バード』や、サイコサスペンスの『アンセイン』をはじめとする作品の動画撮影にiPhoneを使用。自身にとっても野心的なチャレンジとなったiPhoneによる撮影の成果について、ソダーバーグは「フィルムメイカーとして自らを解放できた大きな体験」だったと振り返っています。
また、日本でも大ヒットを遂げたエマ・ストーン主演のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』の有名な冒頭フリーウェイでのダンスシーンでも、実はiPhoneが活躍しています。監督のダミアン・チャゼルは、緻密に計算された長回しの映像を撮るために、iPhoneを使ってダンサーたちと何度もリハーサルを行い、映画史に残るをシーンをものにしたそうです。
iPhoneがビデオカメラとしても一流クリエイターを惹きつける理由はどこにあるのでしょうか。
ひとつは、普段プライベートでも接しているiPhoneそのものであり、しかもカメラアプリを起動したらビデオや写真を素速く撮影できるところにあります。大がかりなカメラ機材を前にすると、どんなに場数を踏んできた名俳優でもつい身構えてしまうもの。日常使いのカメラとしても浸透しているiPhoneであれば、クリエイターと俳優との間に親密な距離感を作り出し、リラックスした雰囲気の中で素のままの表情や仕草をビデオに記録できると、多くのクリエイターたちが語っています。
最新モデルのiPhone 11 Proをいち早く映像制作に使ったクリエイターからは、その自然で正確な色再現力を高く評価する声も多く寄せられているといいます。目で見ている現実の風景に近い脚色のない映像が記録できるということは、撮影後の段階で動画にエフェクトを加えたり、色彩補正を行う際にも無駄な手間が省かれ、スムーズなプロダクションが可能になることを意味しています。
プロのクリエイターにとって、映画館の大きなスクリーンや高精細な4Kテレビでの上映にも十分に耐えうるほどの高精細なビデオが撮れることは、何より大切な条件です。最新のiPhone 11 Proは、4K/60pのHDRビデオが撮影できるだけでなく、iMovieアプリでの編集やファイル出力までを1台でカバーできる点が、既存のビデオカメラにはない点として注目されています。
iPhone 11 Proでプロに迫るビデオを撮るためのテクニック
ビデオ撮影でも高いパフォーマンスを備えるiPhone 11 Proさえ手元にあれば、実はプロの映像クリエイターに迫るハイクオリティなビデオを誰でも簡単に撮れます。そこで、みなさんのiPhoneでもすぐにでも実践できるいくつかのテクニックを紹介しましょう。
まず、ぜひ「4K動画撮影」から試してみましょう。カメラアプリの「設定」メニューから、ビデオ撮影の画質を変更できることはご存じでしょうか? リストには、最大4K/60pまでの画質設定の項目が並んでいます。画質を高く設定するほど、ビデオのファイルサイズは大きくなりますが、撮影後にAirDropなどを活用してMacに転送しておけば内蔵ストレージの空きは確保できるので心配いりません。
カメラアプリを起動すると、画面に「4K・60」といった具合に設定した画質が表示されます。4K撮影時には、広い明暗の幅を映像に記録できるHDR(ハイダイナミックレンジ)撮影になります。フレームレートを30fpsよりも高い60fpsに設定すれば、被写体の動きが滑らかに記録されることも覚えておきましょう。
iPhone 11 Proは、フロント側のTrueDepthカメラも12メガピクセルの高画素センサーを搭載しています。最大4K/60fpsのビデオ撮影や、1080p/120fpsのスローモーションビデオ撮影にも対応しました。例えば、親しい友だちや家族、恋人を被写体にして映像作品を撮る場合、思い切ってその人にiPhoneを預けてセルフィムービーを撮ってもらうと、素のままの魅力的な表情を捉えたビデオが記録できるかもしれません。4K画質で記録しておけば、プロフェッショナル級の映像作品を作る素材としても十分な品質が確保できます。
iPhone 11シリーズで搭載された超広角レンズは、ビデオ撮影にも大いに活躍します。写真撮影の場合と同様に、カメラアプリに表示される倍率を切り替えるアイコンを「0.5×」に選択するか、または画面のピンチイン・アウト操作でも画角が切り替わります。フレーミングが決まったら、あとはビデオ撮影開始アイコンをタップするだけ。
最新のiOS 13では、「写真」アプリに簡単に使える「編集」機能が追加されました。iPhoneのカメラで撮影したビデオの明るさや色合い、画角のトリミングを撮影後にも細かく調整できるのでとても便利です。
日常生活の何気ないワンシーンも、iPhoneのカメラで撮って編集すれば、驚くほどにアーティスティックな作品に生まれ変わるかもしれません。早速試してみてはいかがでしょうか。
なお、冒頭で紹介したセリーナの新曲『Lose You To Love Me』はApple Musicでも配信がスタートしています。こちらも要チェックです。
著者プロフィール
山本敦
ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ハイレゾやAI・IoTに関わるスマートオーディオ、4KやVODまで幅広いカテゴリーに精通する。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。