NVIDIAは2019年8月20日に公開した「Gamescom Game Ready Driver」と名付けられたGeForceシリーズ向けのドライバ(バージョン436.02)で、パフォーマンスの向上や入力レスポンスの高速化を可能になる「Ultra-Low Latency」など複数の機能が追加されだが、ここではその一つ「整数スケーリング」に注目したい(バージョン436.02以降なら利用可能)。
解説に移る前に、一つ注意事項がある。「Gamescom Game Ready Driver」はGeForceシリーズに導入可能だが、「整数スケーリング」はGeForce RTXまたはGeForce GTX 16シリーズといわゆるTuning世代でのみ使える機能であること。古い世代のGeForceシリーズでは使えない点は注意が必要だ。
本題に移ろう。「整数スケーリング」は、簡単に言えば低解像度のドット絵を高解像度で表示してもドットがぼやけないようにする機能。例えば640×480ドット解像度のゲームを3,840×2,160ドット(4K)のディスプレイで全画面表示させると、3,840×2,160ドットに合うように拡大され、その結果、全体がぼやけた表示になってしまう。古いゲームは低解像度、しかも全画面表示でしか動作できないものもあり、この“ぼやけ”が気になることが多い。
しかし、「整数スケーリング」はゲームとディスプレイの解像度が一致していなくても、ドットがぼやけなくなる。低解像度のゲームを4Kディスプレイで全画面表示させてもドットがくっきりする。その違いは画面を見ればハッキリと分かる。
その設定方法は簡単だ。「NVIDIAコントロールパネル」の「デスクトップのサイズと位置の調整」にあるスケーリングモードを「Integer scaling」に変更するだけ。そのほかはデフォルトのままで基本的に問題ない。もし、解像度やリフレッシュレートの設定がディスプレイと合っていなかった場合は設定を変えよう。
ここではいくつかのゲームでの効果を見ていこう。表示には3,840×2,160ドットのディスプレイを使用。ミラーレス一眼カメラでディスプレイを直接撮影している。画面キャプチャーでは違いがわからないためだ。
まず一つは、Wolfenstein 3D。初期のFPS作品で、3Dとは言いつつドット絵の2Dゲーム。解像度は640×400ドットだ。整数スケーリングを有効にしないと全体的にぼやっとしてしまうが、有効にするとドットがクッキリとする。
次は初代のTomb Raider。解像度は640×480ドットだ。そのままの状態では、主人公ララクラフトの周囲もぼやっとした感じだが、整数スケーリングを有効にするとくっきりするのがわかる。
このように、整数スケーリングは解像度が低いゲームではハッキリと効果がわかる。最近はドット絵のゲームであっても解像度に合わせてドット表示を調整する機能がそもそも備わっていることが多いので、最新ゲームでは活躍の場面は少ないかもしれない。
しかし、RPGツクールなどで作られたフリーゲームでは解像度が640×480ドット程度の場合も多い。レトロゲーム好きやフリーゲーム好きにとっては非常にゲームライフを充実したものにしてくれる機能と言える。Tuning世代のグラフィックスカードを使っているなら、ぜひとも試してほしい。