10月17日に東京・将棋会館で第78期A級順位戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の▲三浦弘行九段-△稲葉陽八段戦が行われました。結果は125手で三浦九段の勝ち。両者ともに2勝2敗となりました。
両者ともにリーグ成績は2勝2敗に
本局は先手の三浦九段が相掛かりに誘導しました。今年度に入ってから三浦九段は先手の相掛かりで6勝1敗の好成績を収めています。倒してきた相手も広瀬章人竜王、豊島将之名人、羽生善治九段など強豪ばかりです。稲葉八段も相掛かりを得意としているため、真っ向から受けて立ちました。
先に動いたのは三浦九段。序盤早々に桂を単騎でぴょんぴょんと跳ね、先制攻撃を仕掛けました。通常、桂はある程度攻撃陣が整ってから敵陣に向かっていくものです。「桂の高跳び歩のえじき」という格言があるように、あまりにも早く跳ねるのはよくないとされています。しかし、そこはもちろん棋界有数の作戦家である三浦九段。十分に成立している仕掛けで早くも戦いが起きました。
戦いはいきなり起きたものの、それですぐに決着がつくほど将棋は簡単ではありません。稲葉八段は仕掛けにしっかりと対応し、局面が落ち着きます。ともに竜を作り合い、三浦九段は攻めに活用、稲葉八段は自陣に引き付け受けに活用するという対極的な展開に。長い中盤戦が繰り広げられました。
手数が100手に迫ろうとする終盤に局面の均衡がついに崩れました。稲葉八段に失着があり、攻めの軸として活躍していた竜を見捨てる強い踏み込みを見せた三浦九段が優勢に。そのまま一気に押し切りました。
全9回戦の長丁場となるA級順位戦は、現在4回戦を消化中。次に行われる対局は10月21日の▲佐藤康光九段-△佐藤天彦九段戦の「佐藤対決」です。