フジテレビは、激戦区と言われる日曜ゴールデンタイムに、この10月から新たな単発スペシャル枠『日曜THEリアル!』(毎週日曜20:00~21:54)を編成。“家族で楽しめるノンフィクションエンタテインメント番組”が週替りで登場する枠で、きょう20日に初回の『世界法廷ミステリー ~魔女の微笑~』が放送される。

『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)と『ポツンと一軒家』(ABCテレビ・テレビ朝日系)という人気番組が視聴率を競っている時間帯だが、『世界法廷ミステリー』を事前に視聴すると、この番組で激戦区に挑む意味が見えてきた。

  • MCの宮根誠司(左)と加藤綾子=フジテレビ提供

『世界法廷ミステリー』は、実際の裁判映像や証言を手がかりに、殺害現場に残された証拠などから事件の謎に迫る人気シリーズ。第12弾となる今回まず取り上げるのは、1996年、テキサス州で会社経営をしていたセレブ一家を何者かが襲撃し、6歳の長男と5歳の次男が命を落とした事件だ。

子どもたちの墓参りにいった母・ダーリーが笑みを浮かべていた映像がスクープされたことを引き金に、両手に10個の指輪をはめていたり、豊胸手術を施したりと、贅沢三昧な暮らしを送っていたことが続々と明かされ、一気に疑惑の目を向けられることに。その空気に陪審員も飲まれてしまうが、果たして真実は…。

  • 裁判に出された母・ダーリーがケガを負った証拠写真

  • 殺害された次男・デイモン(左)と長男・デボン

  • 家族写真

ところで、『イッテQ』は、世界を舞台にさまざまなチャレンジに挑む姿が人気で、『ポツンと一軒家』は、田舎を舞台に人々から情報を得ながら目的の一軒家を探すという、バラエティ番組の体をなしながら、ドキュメンタリーの要素を多く含んでいる。いずれも冒険的な感覚が味わえ、そのドキドキ感が支持受ける1つの要因と言われる。

立ち返って、『世界法廷ミステリー』で前述したエピソードでは、ダーリーが笑みを浮かべている決定的瞬間や、日本ではありえない法廷での姿など、実際の映像が次々に登場し、圧倒的なリアル感を演出。これが、ドキュメンタリーとしての迫力を増幅させており、ドキドキ感は『イッテQ』『ポツンと一軒家』とも十分戦えるクオリティだ。

そんな緊張感あるVTRから打って変わって、スタジオパートは宮根誠司&加藤綾子のMCで、ゲストに朝日奈央、アンミカ、伊集院光、カズレーザー(メイプル超合金)、長嶋一茂、古市憲寿という、一癖も二癖もある面々。真面目に推理合戦を繰り広げるが、そこを宮根が“惑わし”でミスリードしたり、古市が一茂を執拗におちょくったりと、どこか脱力でバラエティな雰囲気もあって楽しませてくれる。

『イッテQ』『ポツンと一軒家』は、しばしば“ドキュメントバラエティ”というジャンルに分類されるが、こちらも、VTRの緊張感とスタジオの脱力感で、ドキュメント+バラエティのハイブリット構造と言えるだろう。

  • (前列左から)宮根誠司、加藤綾子 (後列左から)古市憲寿、朝日奈央、長嶋一茂、伊集院光、アンミカ、カズレーザー=同

今回の放送では、1986年、米・ロサンゼルス郊外の高級マンションの一室で女性が銃殺された事件も取り上げる。結婚3カ月の新妻、シェリー・ラズムゼンが殺されたものの、解決に至らず、迷宮入りの“コールドケース”となっていたが、捜査技術も進化した23年後の2009年、未解決事件を担当した4人の刑事が、謎を解き明かしたのだ。

容疑者として6人の名前が挙がるが、彼らを調べていく中で浮上した違和感が伏線となり、最後にものの見事に回収されていく過程が実に痛快。6人が皆あやしく見えるが、それにも理由があり、スタジオではヒットドラマ『あなたの番です』(日テレ系)ばりの考察合戦が展開される。事件解決の決め手は、VTRから得たヒントを元に、視聴者にも導き出すことができるものだ。

  • 殺害されたシェリー・ラズムゼン(右)と夫・ジョンの結婚写真

ドキュメンタリー、バラエティに加え、ミステリーの謎解き要素まで、まさにいいとこ取りとも言える同番組。『日曜THEリアル!』枠の狙い通り、日曜ゴールデン帯にふさわしい“家族で楽しめるノンフィクションエンタテインメント”に仕上がっている。

同枠では今後、超難関金庫に天才カギ開け師が戦いを挑むドキュメントバラエティ『開かずの扉』(10月27日放送)、元FBIの特別捜査官や専門家たちが日本の未解決事件に挑む『特捜!最強FBI緊急捜査』(11月10日放送)をラインナップしていく予定。激戦区に風穴を開けることができるのか、注目していきたい。

(C)フジテレビ