東急不動産ホールディングスグループは、「渋谷ソラスタ」にある新本社において10月1日よりライブオフィスを始動させた。“働き方改革の見える化”を目指す同社は、従業員に対して脳波・脈拍・自律神経測定や位置情報・コミュニケーション分析などの実証実験を行いつつ、新しいオフィスのあり方・働き方の提案を進める。
コミュニケーション拠点「Call」の役割
東急不動産ホールディングスグループ(以下、東急不動産)は2019年8月、東京都渋谷区の渋谷ソラスタにグループ拠点を移転し、新本社として営業を開始した。新本社は「Call(コール)」と命名され、コミュニケーション拠点としてオフィス改革と働き方改革を推進していく。
Callは顔認証のみで入退館が行え、グループ内外との交流を促進するスペース「COLABO!」や「SCRAMBLE!」などを備えている。これらのスペースは打ち合わせやコワーキングスペースとして利用可能で、出会いの機会を生み、コミュニケーションを活性化させる狙いがあるという。
同社は10月1日よりこのCallの一部を公開すると発表。「ライブオフィス」化された、新しいオフィスから、オフィスのあり方・働き方の提案を行うと発表した。
新本社で行われる5つの実証実験
Callが目指すものは"働き方改革の見える化"だ。コミュニケーション活性化と生産性向上を可視化させるため、「スマートオフィス」「Green Work Style」「健康経営」の3つを柱とした取り組みを推進。「位置情報分析」「コミュニケーション分析」「脳波測定」「自律神経測定」「脈波測定」の5つの実証実験を行い、オフィスの在り方と働き方を提案する。
スマートオフィスは、IoTを活用した取り組み。9階・10階では、フリーアドレスとも異なる新しい働き方を目指す「グループABW(Activity Based Working)」が行われており、ブレストスペースや集中ブース、ファミレスブースなどの8ブースから業務内容に合わせて働く場所を自由に選ぶことができる。
これらオフィス共用部をスマートオフィスアプリ「MyPlace」によって可視化し、"どの社員がどこにいるのか"といった行動傾向や会議室の利用頻度の確認することで「位置情報分析」を、ウェアラブル端末でエリアや部門間の発話量を計測することで「コミュニケーション分析」を行いつつ、効率的な働き方をサポートするという。
Green Work Styleは、緑による取り組み。オフィスに効果的に植物を取り入れることで、働く人のストレス軽減、作業生産性、モチベーション向上などの効果を得られるという。植物を置いた空間において専用機器「感性アナライザ」による「脳波測定」を行い、よりよい職場環境の実現を目指す。
健康経営は、その名の通り健康に関する取り組みだ。オフィス内にフィットネスエリアや、瞑想が行える「メディテーション・ポット」を導入し、「自律神経測定」「脈波測定」を行うことで社員の心身の状態を定量化。健康増進をサポートするという。
多様性のある会議室と外気に触れられるテラス
目的に合わせた多様な会議室も特徴の1つといえる。シアタールームや大型タッチディスプレイを導入した会議室、サウナ室のような内装の会議室などさまざまな形態が用意されており、会議のみならずレクリエーション目的で利用することも可能だという。
一部の会議室では目的に応じた香りのアロマによって、生産性の向上を図っている。
各フロアにはテラスが用意されているほか、最上階にはスカイテラスとラウンジも用意。新鮮な外気に触れる機会を増やし、ストレスの軽減を狙う。
働き方改革関連法案の施行以降、制度や環境が整う一方で、定量的な効果が測れないという課題が増えている。東急不動産は、オフィスビルを提供する不動産会社として実際に実証実験を行い、働き方改革の効果を"見える化"していきたいとする。