映画『カメラを止めるな!』で知られる上田慎一郎監督が、26日に放送されるBS日テレのバラエティ番組『チルテレ』(毎週土曜17:00~)に登場する。
あす18日に最新作『スペシャルアクターズ』の公開が控える上田監督だが、大ヒットを記録した『カメラを止めるな!』以降のプレッシャーは相当だったそう。
主人公について、自身とオーバーラップする部分を聞くと「物語を書くときに、自分の知っていることしか書けないので、いつも主人公は自分と重なってしまっていますね。重ねようと思っているんじゃなくて、気づいたら重なっているという感じではあるんですけど。で、緊張すると気絶するという設定は、物語的に主人公の葛藤を強くするということと、自分が今回脚本を書くにあたって、本当に『カメ止め』のプレッシャーで気絶しそうな日々を過ごしたというのがあって、その自分の経験を取り込んだっていう感じですね。だから自分を救うための映画でもあったんだろうなと思いますけどね」と語る。
今回も無名の俳優を起用した理由を問うと、「現時点では、売れない俳優役を売れている俳優が演じるっていうのは、ちょっと自分にとってはウソが大きすぎて作れないなっていうのはあるんですよ。フィクションの中にドキュメントが入っていないと映画にならないと思っているところがあるからですね」と回答。
その撮影時のドキュメンタリーな部分を聞くと、「主人公の大澤数人が10年間で3本しか役者の仕事の経験がなくて、その彼がいきなり長編映画の主役に抜てきをされ、とてつもないプレッシャーで、毎日ほんと気絶しそうな中、芝居をしてたんですよ。その気絶しそうな中、芝居をしているってことは、物語の中のフィクション上でもそうですし、当の本人も同じ状態で、今回は常に混ざり続けているって感じですね。具体的なポイントでいうと、和人がプレッシャーとか緊張に襲われた時に『魔法のボール』を揉んでいるんですけど、僕が台本上で書いてない時でも結構揉んでいるんですよ」と明かす。
また、「映画を作る上で大事にしていることは?」との問いには、「2時間、映画を楽しんでもらうということを一番真ん中に置いて作っていますね。やっぱりテーマとかメッセージから作り始めると、どうしてもちょっと説教臭くなる。押しつけがましくなってしまう。僕も今の時代を生きてる人間なのでテーマとかメッセージとか伝えたいことは自然と映画に入ってきちゃうと思う。そこの滲み出てくるところに任せていますね」と監督ならではの映画論も。
「映画を作ること以外にパワーを使いたくない」「映画以外のことを全て捨てている」と、日常生活に割と無頓着な様子も赤裸々に打ち明け、「思春期に没頭したもの、心が救われたものは?」という問いに、サッカー少年だった自分が中学に入り、漫画、映画、ゲームなどフィクションを愛する少年に変わり、日々救われていた。しばらく映画が観れないと栄養失調のようになって摂取しないとという気持ちで「フィクションは自分にとって食べものみたいなもの」と、独特の表現で若かりし日を語る。
ほかにも、座右の銘とする「一生青春」や、背中を押された言葉として岡本太郎の「正しい道はいつも茨の道」を選んだ理由、主演の大澤数人との撮影時の裏話や自身の映画に対する熱い思いまで語り尽くす。