「人生100年時代」というワードをよく耳にするようになった昨今。寿命がのび、長く人生を歩んでいくためには、誰もが今まで以上に"健康"を意識するようになるに違いない。そんなすべて人々の健康に、飲料メーカーとして寄り添いたいと近年さまざまな取り組みを行っているのが「サントリー食品インターナショナル」だ。
同社は10月9日、昨年より取り組んでいる「100年ライフプロジェクト」の一環として「ウェルビーイングトレンドサーベイ2019」の調査結果を発表。合わせて、「これからのウェルビーイング」について予防医学者・石川善樹氏の講演も行われたので、リポートをお届けしたい。
サントリーの「100年ライフプロジェクト」とは
冒頭に登壇した同社常務執行役員・沖中直人氏より、「100年ライフプロジェクト」の概要と「ウェルビーイングトレンドサーベイ2019」の解説が行われた。
まず「100年ライフプロジェクト」については、「美味しいだけじゃなく、体にいいものを作っていくことが経営理念だと思っています」と沖中氏が語るように、"人間らしくやりたいナ"をスローガンに掲げ、飲料メーカーとして人々の健康に寄り添うべく下記のようなプロジェクトに取り組んでいるという。
【100年ライフプロジェクト】
・外部研究機関等との共同研究
→疫学研究における世界的権威である「久山町研究」を推進する九州大学との共同研究
・健康飲料 ポートフォリオ強化
→「生活習慣病対策」をテーマにした商品ラインナップ
・健康生活提案サービス
→店舗展開や様々なデバイスと連動したサービス
将来の不安は「がん」より「認知症」に
これらの活動に加え、"生活者の実態を把握し、健康行動へのきっかけづくりを行いたい"という想いから実施されてたのが「ウェブビーイングトレンドサーベイ2019」とのこと。その主な調査結果は、以下の通り。
1.人生100年時代、将来の不安は「がん」より「認知症」
気になる健康ワードは高血圧や糖尿病などの生活習慣病が上位に
■「人生100年時代」の認知は85.2%。年代を問わず広く浸透している
■健康寿命への意識の高まりから、「がん」よりも「認知症」を不安視する傾向
■「気になる健康キーワード」は、「特になし/わからない」が半数を超える一方で、「高血圧」「糖尿病/高血糖」など生活習慣病が上位に
■健康に関するトレンドワードで気になるものは「メタボリックシンドローム」「免疫力」「糖質制限」「腸内フローラ」が上位
2.「人生100年時代」の受け止め方に世代間ギャップ!?
自分事化し備える20代男性、今を生きる50代女性、元気なシニア
■「人生100年時代」を自分事として受け止める傾向は、男性では20代、女性では30代で高く、ともに70%を超える
■一方、50代女性では「関係ない」「行動を起こしたくない」の回答割合が高い。100年時代は「幸せ」よりも「負担」に思う人が多く“今”を楽しみたい傾向
■70代シニアは「同世代より健康」と回答、活気に満ちた姿勢が見られる
■若い世代ほど短期的成果を求め、ストイックに健活に励む傾向
3.無理なく習慣化し、楽しく効果を出せる「予防健活」が新たな兆しに
■70%以上が健康行動を実施しているものの、習慣化に至る割合は37%にとどまる
■健康行動ができない理由として「お金がかかる」「意思が弱い」「手間がかかる」が上位
■予防の意識が高く、約75%の人が無理なく楽しくできる健康対策を望んでいる
■若い層で伸張する健康管理系ウェブサービスの利用率。20代男性には健康データに関心の高い"ウェルテック男子"の傾向がみられる
※調査概要
地域:全国
期間:2019年8月13日~8月16日
手法:インターネット調査
対象:20~70代
人数:スクリーニング調査30,000人
本調査2,700人
ビジネスマンは土曜に早起きすべし!?
ダイエットをしよう、ジョギングを始めよう……などなど、健康にまつわる新しいアクションを起こすとき、多くの人が区切りのいい「月曜日」から始めようと考えるのではないだろうか? 予防医学者・石川善樹氏の講演は「それを、土曜日の朝から始めましょう」という、思わぬひと言から話がスタートした。
何を始めるのかと言うと「早起き」。早起きと言っても、早朝に目覚めるのではなく、いつも出勤する平日と同じ時間に起きるだけだという。その理由は、前述した「認知症」の予防が関わっている。
「今、日本人がもっとも気になる病気が『認知症』。その認知症を引き起こす危険因子の一つが『生活習慣病』です。さらに、その生活習慣病の表面的な原因は運動不足や食生活の乱れですが、その根本的な原因は『睡眠』にあります。つまり、睡眠を整えることが認知症や生活習慣病の予防にも繋がるということになるわけです」
ビジネスマンの皆さんは、平日に遅くまで働いていて寝不足ということもあり、休日に寝だめをしているという人も多いはず。データによると「平日より2~4時間、遅く起きる人が多いそうです」とのこと。実は、この寝だめが良くないのだという。
「月曜日の朝から調子が悪いという人は多いと思います。それは、休日の寝だめによる『社会的時差ボケ』が原因。平日より2~4時間も寝だめする人が多いといいますが、これはアメリカの西と東の時差ぐらいに相当します。この時差ボケによって月曜日から不調で、ようやく木・金曜日で持ち直しても、また土曜日で時差ボケしてしまう。この負のサイクルを断ち切るために、土曜日も平日と同じ時間に起きるのが効果的なのです」
正直「毎日、早朝に起きてランニングをしろ」と言われても続けられる気がまったくしないが、「土曜に平日と同じ時間に起きる」というだけなら、なんとなく続けられそうな気がする。このように"日ごろの習慣を少しだけ変えること"に意味があると、石川氏は話す。
「そもそも、"新しいこと"は続きにくいですが、"毎日やってること"をちょっと変えるのは続けやすいものです。私たちは習慣の生き物で、習慣は連鎖します。このように土曜日の朝に早起きすることが睡眠サイクルを整えることに繋がったり、お昼のご飯おかわりをやめることがダイエットに大きく貢献したり、どこが連鎖のスタートなのかを見極めるのが重要。一日全体が変わるようなコトを見つけて変えることを『キーストーン習慣』と言います。ぜひ自分の1日に向き合い、キーストーンを見つけてみてください」
これからの「人生100時代」を健やかに生きていくためには、自身の健康管理は必要不可欠。今一度、自分のライフスタイルに向き合い、何か変えるべき習慣はないか考えてみるといいだろう。