主人と二人の結婚生活も10年近くが経ち、この先もきっとこんな感じで年を重ねていくだろうから気の知れた友人と美味しいものを食べに行ったり、古い住まいをリフォームしたりしながらのんびりと暮らしていけたらいいな、なんて想像し始めていた頃。なにやら体調がすぐれず、もしやと訪れた病院で子どもを授かったことを伝えられました。産婦人科で小さな命を授かったことがわかり、気持ちを落ち着かせるために向かった場所は、カフェのカウンターでした。
小さなカフェとギャラリーを営んでいた私は、あれをどうしようこうしようと目の前のことで頭がいっぱい。ふと目の前にいる主人の顔を見ると、とても穏やかに微笑んで「まずは遠く離れた両親に電話をしよう」と一言。それぞれに報告をし電話を切った途端、なんだかホッとしてさっきまでの不安よりも喜びがじわじわと込み上げてきました。妊娠5週目の終わり頃のことです。
そこから始まったつわりの日々。みるみるうちに様々な匂いや食べ物が受けつけられなくなりました。近くに子育てをしている知り合いがあまりいなかったので、イメージしていたのはドラマの中の世界。うっと吐き気がしてお手洗いに駆け込んだり、グレープフルーツが無性に食べたくなったり。でも想像していたそれとはなんだか違っていました。