10月9日に東京「将棋会館」で、第50期新人王戦決勝三番勝負第1局(主催:しんぶん赤旗)、増田康宏六段―高野智史四段戦が行われました。

高野智史四段の粘りを振り切って、3度目の優勝へ王手

  • 増田康宏六段(左)と高野智史四段

増田六段は2014年に16歳でプロデビューすると、竜王戦では2年連続ランキング戦優勝、順位戦ではC級1組昇級、新人王戦では第47期、第48期で連覇を果たすなど輝かしい実績を挙げており、藤井聡太七段のライバルとしても注目されています。今期の新人王戦でも伊藤沙恵女流三段、古森悠太四段、黒沢怜生五段、早咲誠和アマを下して決勝三番勝負に進みました。

一方の高野四段は、2015年に21歳でプロデビュー。初参加の王将戦でリーグ入り直前まで勝ち進みましたが、まだ「実績」は残せていません。この決勝三番勝負がようやくつかんだ晴れ舞台で、渡部愛女流王位(当時)、澤田真吾六段、石井健太郎五段、八代弥七段を破ってきました。また高野四段は先月46歳で初タイトルを獲得した木村一基王位の弟子で、師匠に続けと気合が入っていることでしょう。

その第1局は高野四段が先手で相掛かりになりました。「掛かる」とは攻めるという意味で、激しい攻め合いになりやすいのが特徴です。まだ駒組みが続くと思われた矢先に、後手の増田六段が桂をポンと跳ねて攻めを開始しました。これに対して、高野四段は王手飛車をかけさせる強気な受けで応えます。

局面が進むと、桂損でも飛車を奪ったのが大きく、増田六段が優勢に。終盤戦では高野四段も師匠譲りの粘りを見せましたが、増田六段が手堅い寄せを見せて勝利しました。

増田六段が3回目の優勝を果たすか、高野四段が最終局に望みをつなぐか。決勝三番勝負第2局は10月21日に同じ東京「将棋会館」で行われます。