健康診断とか歯の検診などは、あまりに期間を空けると再受診するのが怖いですよね。せめて血圧などはまめにチェックしておきたいものですが、装着するのに時間がかかるとついついさぼりがち。というわけで今回レビューするのは、健康データを計測するスマートウォッチ「ASUS VivoWatch BP (HC-A04)」(以下VivoWatch BP)です。

  • ASUS VivoWatch BP (HC-A04)

「PTT(脈波伝播時間)」を計測できるスマートウォッチ

最初にお伝えしておきますが、VivoWatch BPは血圧ではなく、心拍数、睡眠品質、活動記録、ストレス解消指標(HRVスコア)に加えて、「PTT(脈波伝播時間)」を計測できるスマートウォッチです。実際、ASUSの製品公式サイトにも「ASUS VivoWatch BPは医療機器ではなく、病状の診断を目的とするものではありません。測定結果は参考値です。」と記載されています。

従って血圧は測れません。が、実はPTTの数値を基に血圧のめやす(あくまで参考値、医療情報としては使えません)を知ることができるんですね。本製品は「ECG(心電図)センサー」が測定した心拍数と、「PPG(光電容積脈派)センサー」が測定した脈拍をもとに、PPTをソフトウェア処理で算出。このPPTを基に血圧のめやすを算出するそうです。計測にかかる時間は15~20秒前後。これだけ短時間で計測できるなら、こまめにデータを記録できますね。

  • VivoWatch BP ASUS

    VivoWatch BPのECGセンサー・PPGセンサーの仕組み

  • VivoWatch BP ASUS

    左側の上がECGセンサー、下がPPGセンサー。人差し指で両方を覆うように軽く乗せると、15~20秒後に計測結果が表示されます

  • VivoWatch BP ASUS

    パッケージには、VivoWatch BP本体、充電スタンド、USBケーブル、説明書が同梱されています

  • VivoWatch BP ASUS

    本体前面。ディスプレイは1.28インチ反射型TFTカラー液晶(8色、176×176ドット)でタッチ操作に対応。左上にECG(心電図)センサー、左下にPPG(光電容積脈派)センサーが配置されています。ディスプレイ面はコーニング製強化ガラスでカバー。防水・防塵性能はIP67です

  • VivoWatch BP ASUS

    ステンレス部分がECG(心電図)センサー、中央がPPG(光電容積脈派)センサー。指先と手首の両方で計測することで、高い精度を実現しているとのことです

  • VivoWatch BP ASUS

    右側面にはホームボタンを用意。どの画面を表示していても押せばホーム画面に戻ります

  • VivoWatch BP ASUS

    左側面には充電用の金属接点が配置されています

  • VivoWatch BP ASUS

    一度充電すれば公称値で28日間利用可能です

なるべく正確に測るには事前に「較正」が必要

VivoWatch BPを利用するためには、AndroidまたはiOS搭載スマートフォンに専用アプリ「ASUS HealthConnect」をインストールする必要があります。このASUS HealthConnectは、過去の健康データを確認したり、スマートフォンの各種通知を受け取るのに使用します。セットアップの際に重要なのが「信頼性の高い測定器」で計測したデータで「較正」(こうせい。精度を高める調整、キャリブレーションのこと)を実施すること。これによってより正確なPTTの計測が可能となります。

  • VivoWatch BP ASUS

    専用アプリ「ASUS HealthConnect」

  • VivoWatch BP ASUS

    ホーム画面では健康データが一覧表示されます

  • VivoWatch BP ASUS

    過去の健康データは日単位、週単位で確認可能です

  • VivoWatch BP ASUS

    PTTを正確に測定するために重要なのが、「信頼性の高い測定器」で計測したデータで「較正」することです

  • VivoWatch BP ASUS

    今回は上腕式の血圧計で較正しました

  • VivoWatch BP ASUS

    血圧計で計測した値をアプリ「ASUS HealthConnect」に入力し、VivoWatch BPでキャリブレーションを実行すれば準備は完了です

さて、較正を済ませたVivoWatch BPと上腕式血圧計で交互に計測を実施してみたところ、6回測って両者の誤差は最大で「8」に留まりました。そもそも上腕式血圧計で連続計測しても数値はばらつくのですから、簡易的にPTTを計測するウェアラブルデバイスとしては健康管理の参考になりそうです。

長持ちバッテリーでスマートウォッチとしての使い勝手も良好!

VivoWatch BPは、Apple Watchのようにスマホ経由で通話する機能などは備わっていませんし、アプリも追加できませんが、通知を知らせ、内容を表示するなどの必要最低限のスマートウォッチとしての機能は実装されています。個人的には通知さえしてくれれば、あとはスマホで確認・操作するので、VivoWatch BPの機能に不満はありません。むしろ最大約28日間無充電で利用できる点が非常に気に入りました。

  • 画面を右にスワイプすると、(PTT)測定、心拍数、アラーム、設定、エクササイズ、メッセージ、睡眠、ステップ数と画面が切り替わります

  • 文字盤は14種類用意されています

自分の健康状態をきめ細かく管理したい人に!

VivoWatch BPを初めて体験したのが2018年6月5日に台湾で開催されたASUSのプレスイベント。それから約1年と2カ月が経過した2019年8月2日に本製品は日本でも発売されたわけですが、想像以上によくできているというのが率直な感想です。

もちろん、日ごろ血圧が気になっている方は、医療機器の血圧計を購入して、週1で計測するべきです。しかしVivoWatch BPは思い立ったときに、血圧のめやすがわかるというメリットがあります。日々、PTTを初めとした健康データを計測し、自分の健康状態をきめ細かく管理したいという方に、VivoWatch BPはもってこいのウェアラブルデバイスと言えます。