JR東日本はこのほど、業務における危険を察知し、事故を未然に防止する知識や技能を習得するために導入している各種シミュレータを活用した安全・安定輸送の取組みについて発表した。安全・安定輸送の取組みで活用されるシミュレータには、乗務員区所シミュレータ、鉄道工事従事者訓練シミュレータ、ホームドア訓練装置があるという。
乗務員区所シミュレータは、基本動作の教育と車両応急処置能力向上を目的に、乗務員の所属する職場・担当する線区に特化した教育を繰り返し行うために導入。実際の乗務に近い訓練が実施できる「運転士用シミュレータ」や「車掌用シミュレータ」、異常時を想定した各種訓練のシナリオの設定などを行う「運転士用・車掌用教師卓」があり、運転士・車掌の基本的な取扱いのほか、さまざまなトラブルが発生した場合の対応を学ぶことができ、運転士用と車掌用を連動させた訓練も可能となっている。
鉄道工事従事者訓練シミュレータは、基本動作と正しいルールを理解するとともに、異常時における対応能力を習得するため導入されたVR(バーチャル・リアリティ)によるシミュレータ。線路内作業をCGで再現する「列車防護訓練シミュレータ」、作業区間に列車を進入させない手続の訓練と手続を誤った際の事故体験を行える「線路閉鎖工事手続シミュレータ」、電気を止めて行う工事をする際の手続や作業手順の確認などを行える「停電工事手続訓練シミュレータ」があり、設備のメンテナンスにかかわる基本技術の習得、各種手続やルール、異常時対応などに生かされている。
ホームドア訓練装置は、ホームドアに関する基礎知識や取扱いを習得するために導入された。ホームドア各機器の機能や開閉のしくみを学ぶことができ、異常時における各種対応(線路内落し物拾得や荷物挟まり、機器故障等)を再現することで、取扱いや手順の確認が可能となっている。