JR東日本は8日、ドップラーレーダーを用いた突風に対する列車運転規制の取組みについて発表した。同社は2005年12月25日に羽越本線砂越~北余目間で発生した列車事故の対策として、2017年12月19日からドップラーレーダーを用いた突風に対する列車運転規制を実施している。
ドップラーレーダーは、上空にある雨などの降水粒子からの反射波を用い、粒子の移動速度と方向(レーダーに近づいているのか、遠ざかっているのか)をドップラー効果により観測する装置。ドップラーレーダーに近づく風と遠ざかる風を観測でき、回転性の風である上空の渦はドップラーレーダーに近づく風と遠ざかる風のペアとして観測され、そのペアを検出することで渦を探知するという。
JR東日本はこれまで、ドップラーレーダーの列車運転規制実施エリアの拡大や、突風の探知精度の向上について、気象庁気象研究所との共同研究を進めてきた。今回、範囲拡大に関するデータの評価結果から運用開始のめざが立ったため、列車運転規制に用いるレーダーの観測範囲を半径約30kmから約60kmに拡大すると発表している。
これにより、ドップラーレーダーを用いた列車運転規制の範囲は、これまでの羽越本線五十川~女鹿間・陸羽西線余目~清川間から、羽越本線今川~西目間・陸羽西線余目~清川間へと拡大される。列車運転規制の開始日は11月1日を予定している。
また、現在進めている気象庁気象研究所との共同研究として、今回の列車運転規制範囲の拡大に加え、この手法の他地域への展開に向けた検討や、AIを用いた突風探知手法の開発にも取り組んでいる。