インテルは10月4日に「インテル デベロッパー・カンファレンス/ソリューション・デイ 2019」を開催した。同カンファレンスはインテルのソリューションやテクノロジーを紹介するもので、「データセンタ」や「エッジ・コンピューティング」「ゲーム&メディア」といったテーマでセッションを実施。なかでも、カプコン第二編成部 プロデューサーの綾野智章氏を招いて、「eスポーツ」の取り組みを紹介していたのが印象的だった。
ゲームやゲーマーへの偏見をなくすために
インテルは東京2020に先立ち、対戦格闘ゲームの『ストリートファイターV AE(ストV)』と、クルマでサッカーを行う『ロケットリーグ(ロケリ)』の2つのゲームで、eスポーツの国別対抗戦「Intel World Open」を開催すると発表している。
「Intel World Open」はプロアマ問わず誰でも参加できる大会であり、綾野氏は「オンラインの技術を活用してより幅広いユーザーに参加してもらえるよう、参加のハードルを極力下げていきたいですね」と、目標を語った。
綾野氏といえば、『ストリートファイター』シリーズのイベントに春麗のコスプレをして登場することでも有名だ。だが、この日はカッチリとしたスーツでの登壇。その理由について綾野氏は、「eスポーツを見直した結果」だと話す。
「プロデューサーの仕事のひとつは、担当するゲームの売上を伸ばすことです。そのためには、ただ漫然と商品を作って販売するのではなく、何かの仕掛けをする必要があるでしょう。春麗のコスプレでイベントに登壇し、それが少しでも報道されたり、SNSで拡散されたりすれば、ストリートファイターの宣伝になるわけです」
と、まずは春麗のコスプレをはじめた理由を説明する。だが、eスポーツの大会の増加や環境の変化によって、その考えが変わったという。
「立場上、eスポーツの大会の表彰でメダルを贈呈することも増えました。そうなると、人生をかけてプレイする選手がいるのに、こんなふざけた格好はまずいのではないかと思うようになったのです。また、選手に対してだけでなく、春麗のコスプレをしているおっさんにメダルをかけてもらっている表彰写真を、友だちや親に見せられるのだろうかと――。その写真を見たご両親に早くゲームやめろと思われる可能性があるのであれば、コスプレは辞めたほうがいいかもしれないと考え、スーツを着るようになりました」
自分がスーツを着ることでゲームに対する偏見を少しでも払拭できるのであればと、綾野氏はコスプレを脱ぐ決意をしたのだ。
また綾野氏は、セッションのなかで2019年8月にソニー生命が発表した調査を提示。「中高生を対象にした将来なりたい職業ランキングで、プロeスポーツプレイヤーが第2位にランクインするほど、具体的な職業として若い世代に認知されはじめました。最近はeスポーツコースを開講する学校も出てきています。現在はまだゲームに対する偏見がありますが、少しでもゲームやゲーマーの社会的地位を向上させたい」と、目指す未来を述べた。
とはいえ、2019年9月12日~15日の「東京ゲームショウ2019」では、春麗のコスプレをしていた綾野氏。これについては「会社からの指示」とのことで、eスポーツ大会ではなく、『ストリートファイター』商品イベントなどでは、今後もコスプレをするかもしれないとのことだ。