紹介アプリ数をもっと増やしていくのが課題
「ここからアプリ」のサービス開始後、サイトの使い方を解説した冊子を作成して全国の商工会議所などに配布しており、講習会も実施している。さらに、東京商工会議所では「ITをあまり活用しない」または「関心が低い」60~70代の中小企業の経営者に向けて、「『はじめてIT活用』1万社プロジェクト」を今年11月から3年計画で実施予定であり、そこでも「ここからアプリ」が活用される。
「『はじめてIT活用』1万社プロジェクトによって、さらに広い展開が見込めるのでは期待しています」と青木氏は言う。
多くのビジネスアプリベンダーが前向きな反応を示しているが、現状「ここからアプリ」で紹介しているアプリの数は100に満たないため、今後ベンダーへの周知も広げながら紹介アプリ数を増やしていく構えだ。
「サイト上にアプリを掲載したい場合は申請をしてもらうようにしていますが、当初は想定していなかったベンダーからも掲載申請が来ています」と氏家氏。
青木氏も「今後はどのようにサイトを活用してもらい、それをいかにサポートしていくかが課題だと考えています。もっと具体的に導入効果がイメージできるサイトにしてほしいといった声もあるので、導入事例を増やしたり、セミナーなどの情報発信も行っていったりして、より使いやすいサイトとなるよう目指していきます」と語った。
AIを使ったチャットの経営相談サービスも
「ここからアプリ」の取り組みとは別に、中小機構自身のIT化の試みとも言えるのが、今年3月から提供しているAIを活用したチャットボットによる経営相談サービス「E-SODAN」だ。
E-SODANは、中小企業のためのチャットサービスの窓口となっており、経営に関する悩みに対し、AIを使ったチャットボットもしくは専門家とのチャットの2つの方法で対応する。
これまで経営相談というと、まず予約してから窓口に行き、そこで1時間話を聞いて……といったように手間と時間がかかることが当たり前だった。しかし、「E-SODAN」を使えば、オフィスや家などにいながら、PCを使って気軽に経営相談ができるようになる。
「中小機構としても、ITを活用した新たな支援に取り組んでいます。中小企業はもちろんですが、それを支援する機関もわれわれにとってはお客さまなので、これからも便利なツールを提供していきたいですね」(青木氏)