ソニー ヨーロッパは3日(現地時間)、フルサイズのミラーレスカメラ「α9 II」を海外発表した。10月に欧州で出荷する。価格は5,400ユーロ(約63万3000円)。プロのスポーツカメラマンやフォトジャーナリスト向けに、接続性を強化してワークフローを改善したモデルだ。国内発売に関しては現時点では発表されていない。【追記:国内での発売日は11月1日に決定した】
α9 II(ILCE-9M2)は、既存のα9の特徴を引き継ぎ、有効約2,420万画素の積層型CMOSセンサー「Exmor RS」のフルサイズCMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンのBIONZ Xをアップグレードし、フロントエンドLSIと連携してAF/AE検出、画像処理、顔検出の精度や速度を向上している。
メカシャッター撮影は、α9では秒間約5コマだったが、α9 IIでは約2倍の最大秒間10コマ撮影に向上した。電子シャッター撮影時は秒間20コマの高速連写対応で、α9と同じ。動画機能では、4K(3,840×2,160ドット)/30p/100Mbpsの動画撮影に対応する。
新たに最適化されたAFアルゴリズムを採用し、秒間最大60回のAF追従と自動露出が可能で、AFの精度とパフォーマンスを大幅に向上させた。スポーツ撮影時に被写体の動きにも、高精度で追従できるとする。さらに、右目/左目を選択できるリアルタイム瞳AFや、動物用リアルタイム瞳AF機能も搭載。新しいアルゴリズムで強化された、動画用リアルタイム瞳AF、リアルタイムトラッキング機能も備える。
また、スポーツイベント撮影に便利な機能として、フリッカー撮影モードを搭載。蛍光灯や人工照明を自動的に検出して調整し、画質を最大限に高めるという。本体のグリップの構成も改善し、さらに快適で確実なホールドを実現する。
接続性の強化ポイントとしては、USB Type-Cコネクタを新たに搭載(α9はmicroUSBのみ)。USB 3.2 Gen1に対応し、高速データ転送を可能にした。
また、プロフェッショナル用途向けのLAN端子を、最高約100Mbpsの「100BASE-TX」から、最高約1000Mbpsの「1000BASE-T」に変更。セキュリティの強化のためにSSL、またはTLS暗号化(FTPS)を介したファイル転送をサポートした。PCアプリの「リモートカメラツール」使用時のタイムラグ減少、ライブビュー画面の遅延減少も実現している。カメラの内蔵無線LANは、α9の2.4GHzに加え、より高速な5GHz(IEEE 802.11ac)の帯域を追加した。
報道機関のワークフローをより高速化するために、音声情報を画像に添付する「音声メモ機能」を新たに搭載。カメラマンが編集者に、音声メモを付けた画像を送信することで、編集に必要な情報を音声で提供できるようになる。
記録メディアはSDカードで、デュアルスロットを装備。UHS-I、UHS-IIに対応したSDカードも利用できる。カメラ天面のマルチインターフェースシューには、新たにデジタルオーディオインターフェイスがに追加され、別売の「ECM-B1M ショットガンマイク」や「XLR-K3M XLRアダプターキット」を接続して音声をよりクリアに録音できるようにした。別売オプションではこのほか、既存の縦位置バッテリーグリップ「VG-C4EM」も使用できる。