三井住友カード、GMOペイメントゲートウェイ(以下GMO-PG)、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(以下Visa)は共同で、次世代決済プラットフォーム「stera」を展開すると発表した。リアル店舗、およびオンラインショップに向けて、事業者にも消費者にも便利で使いやすい決済インフラを提供していく考えだ。
stera(ステラ)とは?
三井住友カードの大西幸彦氏は「いまキャッシュレス決済の取り組みが全国で広がっている。三井住友カードでは、事業者も消費者もストレスなくキャッシュレス決済を利用できる環境を整えていきたい。安全・便利で、低コストの仕組みを提供できれば」と意気込みを語る。
steraの特長として紹介されたのが「ワンストップ」の思想。まず、オールインワンの新端末「stera terminal」(パナソニック製)を提供することで、あらゆる決済手段をひとまとめにする。
現行のリアル店舗には、レジ周りに電子マネーリーダー、PINパッド(暗証番号入力機)、バーコード・QRコードリーダー、電子サインパッドなどが並ぶことも珍しくない。
しかし「stera terminalが1台あれば、クレジットカード、電子マネー、QRコードなど様々な決済手段に対応できます。決済プロセスの簡略化、レジ周りの省スペース化が図れます」と大西社長はアピールする。
客側には4インチのタッチスクリーンを、店舗側には7インチのタッチスクリーンを備えた。OSにはAndroid OSを採用しており、機能の追加も「劇的に簡単になる」(大西社長)としている。三井住友カードでは、POSアプリ、免税アプリのほか、ポイントアプリ、ギフトアプリなど各店舗のニーズに沿ったアプリを必要に応じて入れてもらうことを想定している。
stera terminalの発売時期について、2020年3月までにリリースしたい、と大西社長。価格は従来製品より大幅に下げられるという。リプレース需要が見込める市場とあり「5年間で30万台の新規設置を計画している」と話していた。
総合決済プラットフォームに
三井住友カードではstera terminalにより店舗のレジ決済のオペレーションをワンストップにするだけでなく、キャッシュレス決済の裏側で行われている事業者を介した処理フローもワンストップで行いたい構え。
現行の決済サービスでは、加盟店で決済されたデータは、決済センター(50社ほどある)、ネットワーク、決済事業者(カード会社、電子マネーの発行事業者など)を通じて処理されている。steraでは、これを一気通貫で行う。「特に決済センターとネットワークには、多くの事業者が存在しており、シームレスな決済を阻害する一面もあると認識している」(大西社長)。
決済センターを、GMOフィナンシャルゲート(リアル決済センター)とGMOペイメントゲートウェイ(EC決済センター・決済処理事業)、三井住友カードの3社で担当。ネットワークはVisaと三井住友カードが、決済事業は三井住友カードが担う。
steraのその他の特長
このほか、オムニチャネル対応により、リアル店舗とオンラインショップ双方の決済データを統合。事業者には1つのダッシュボードで取引履歴、売上の集計、明細突合などを閲覧できるようにする。これにより、消費者の購買行動の分析もスムーズにできるようになるという。
全世界200以上の国と地域でネットワーク事業を展開しているVisaと組んだことで、毎秒6万5,000件を超える取り引きを安定的に処理できる強みを得た。また、年間680億件超のビッグデータを元にした不正検知ロジックを活かせると考えている。その上で、三井住友カードが国内事業で培った日本独自の決済手段もつけ加えていく方針だ。
パートナー企業も期待を寄せる
GMOペイメントゲートウェイの相浦一成氏は「いま国内の金融機関は、生き残るためにいかに経費率を下げられるか、というテーマを抱えている。そんな中、デジタルトランスフォーメーションの時代を迎えた。steraが、国内の金融機関の一助になれば」。
また、ビザ・ワールドワイド・ジャパンの外山正志氏は「Visaは、世界各国でネットワークを張り巡らして決済を担っている。多額の投資でネットワークを強化し、その上に機能を乗せている。三井住友カード様と一緒になり、リスク感知システムを確立させていきたい」と抱負を述べた。