シャープは、8K対応液晶テレビ「AQUOS 8K」の新モデルとして、新開発の8K画像処理エンジン「Medalist Z1」を搭載した“BW1ライン” 2機種を11月9日から発売する。価格はオープンで、店頭価格(税別)は70V型「8T-C70BW1」が50万円前後、60V型「8T-C60BW1」が35万円前後を見込む。

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    8K対応液晶テレビ「AQUOS 8K」のBW1ライン2機種。左が70V型、右が60V型

BW1ラインは「地デジも4Kも、8K 3,300万画素の高画質で楽しめる新カテゴリー製品」と位置づけており、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3に加え、BS 4K/110度CS 4Kチューナー×2を搭載。AQUOS 8Kシリーズで培った技術を投入し、性能向上も図っている。8Kチューナーは非搭載で、将来8Kチューナー(別売)をユーザーが追加することで、8K実用放送の視聴にも対応する。

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    70V型「8T-C70BW1」

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    60V型「8T-C60BW1」

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    シャープのテレビラインナップにおける、BW1ラインの位置づけ

70V型・60V型のどちらも8K(7,680×4,320ドット)対応の液晶パネルを搭載。フルHDの16倍、4Kの4倍という高解像度を生かし、目の前に実物があるかのようなきめ細かいリアルな映像表現を実現する。照明などの映り込みを抑える低反射パネルを採用した。視野角は上下左右とも176度。

光の透過率の高い「UV2A」液晶と、高輝度バックライト(直下型LED)を組み合わせ、映像信号の解析を元に、光源や反射部などを検出してLEDバックライトを部分駆動し、輝きを復元する「メガコントラスト」に対応する。また、広色域のカラーフィルターと蛍光体を組み合わせて豊かでリアルな色再現を実現する「リッチカラーテクノロジープロ」も採用している。

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    光の透過率の高い「UV2A」液晶と高輝度バックライト(直下型LED)を採用

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    新製品の70V型8K液晶テレビ「8T-C70BW1」(左)と、既存の70V型4K液晶テレビ「4T-C70BN1」(右)を比べると、8K液晶のほうが画素が高密度に並んで目立たないのがわかる

HDMI入力は5系統で、4K / HDR映像の外部入力に対応。HDMIのうち1系統(HDMI 2)はARC(オーディオリターンチャンネル)に対応している。なお、既存の8Kチューナー「8S-C00AW1」などHDMIケーブルを4本接続して8K映像を表示する方式には対応していない。

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    60V型「8T-C60BW1」の背面。HDMI端子は5系統で、写真には写っていない箇所にも1つある

シャープは8Kテレビユーザーの反応として、8K放送だけでなく、普段は4K放送や地デジ放送、YouTube動画もキレイに見たいという声があることから、「(8Kテレビは)スペシャルな8K放送と普段見る映像の両方を見るための、オールマイティなテレビとして期待されている」と分析。

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    8Kテレビ購入者の声

そこで新たな8K画像処理エンジン「Medalist Z1」(メダリスト Z1)を開発し、AQUOS 8KのBW1ライン2機種に搭載。従来のエンジンをベースに周辺回路を集約化し、8K液晶パネルの性能を最大限に引き出せるようチューニング。機能強化も図った。これにより、4K放送や地デジ放送、ネットコンテンツやBlu-rayソフトなどの映像を、超解像技術により8K情報量にアップコンバートして高精細化し、きめ細かく色鮮やかな映像を表示できるとする。画質の細かい調整は、ユーザーが任意に行うことも可能だ。

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    8Kの70V型「8T-C70BW1」(左)と、4Kの70V型「4T-C70BN1」(右)で同じ映像を見比べるデモ。8K超解像アップコンバートにより色の鮮やかさなど全体の画質が向上していた

具体的には、被写体が本来持つ精細感を推測して微細情報を補う「精細感復元アップコンバート」や、画素の周辺情報を分析して被写体の輪郭を滑らかに復元する「リアリティ復元アップコンバート」、映像の明暗レベルに応じてコントラストを自動調整する新機能「アクティブコントラスト プロ」、動的なノイズ低減処理を行う「3Dノイズリダクション」などで高画質化を図る。

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    新たな8K画像処理エンジン「Medalist Z1」(メダリスト Z1)を搭載。スポーツ大会を意識したネーミングを採用したとのこと

スポーツ中継を楽しむための新たな映像モード「8Kスポーツビュー」も搭載。8K表示によるきめ細かさに加え、120Hzの倍速技術とボヤケ低減効果のある黒挿入技術により、動きの速い映像も滑らかにくっきり映せるという。

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    新たな映像モード「8Kスポーツビュー」を搭載

黒挿入技術は、倍速補完された1枚1枚の映像の切り替わりにあわせて黒部分を挿入することで、人間の目の残像効果も利用しつつ、動きのボヤケを低減するもの。従来のAQUOS 8K(8T-C60AW1)で採用していた黒部分の挿入方法では、画面全体が暗くなるデメリットがあったが、BW1ラインではバックライトの輝き復元を最適化し、画面の明るさを保ったままでの黒挿入が可能になった。

具体的には、1枚1枚の映像を部分的にバックライトの順次消灯・点灯を繰り返すことで黒挿入を行い、消灯で余った電力を点灯部分に充当。これにより映像エリアごとのピーク輝度を高め、映像全体の明るさを確保する。映像内のスポーツ選手の姿を際立たせ、屋外フィールドの芝生なども明るく鮮やかに表示できるという。

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    8Kスポーツビューの処理の仕組み

BW1ラインの2機種は、スピーカー部にツイーター×2、ミッドレンジ×2、サブウーファ×2を内蔵し、実用最大出力は70W(20W+20W+30W)。この高出力音声の臨場感を高める「WIDE-AREA SOUND SYSTEM」を備え、音響補正技術「Elix PRISM」も搭載している。

さらに、8Kスポーツビューと組み合わせることで、観客の歓声など音の臨場感も高めるという「スタジアム音声モード」を追加した。

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    8Kスポーツビューのデモ。写真では分かりにくいが高精細な風景の写真を右から左に水平に流し、細部の精細感を保ったままで残像感やブレの少なさをアピールしていた

前述のとおり、地上/BS/110度CSのトリプルチューナーと、BS 4K/110度CS 4Kのダブルチューナーを搭載しており、別売のUSB HDDを組み合わせることで、4K放送を見ながらの4K放送+地デジ放送の2番組同時録画に対応する。4K放送の2番組同時録画はできない。

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    4K放送を視聴しながらの、4K放送と地デジ放送の2番組同時録画に対応

システム面も強化された。リモコンでの電源起動は、8T-C60AW1と比べて約20%高速化。最新CPUを採用してパフォーマンスを8T-C60AW1の1.3倍に引き上げ、内部メモリの容量は1.6倍、アクセス速度は1.4倍に向上した。ソフトウェアのバックグラウンド更新や、OSアップデートにも対応する。

Android TV(Android 9 Pie)をプラットフォームに採用。YouTubeやNetflixなどの映像配信サービスに対応する。リモコンにはマイクを内蔵し、Googleアシスタントボタンを押して音声検索ができる。見たいジャンルや俳優の名前から番組検索などの操作が行える。

シャープ独自の「COCORO VISION」も搭載。AIが家族のよく見る番組や視聴した時間帯を学習し、新4K衛星放送の番組を含めてオススメ番組を音声で教えてくれる。

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    BW1ラインに付属するリモコン

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    システム面をAQUOS 8Kの従来機種よりも強化した

本体背面にはチューナーやHDMI入力の他、アナログビデオ入力とヘッドフォン出力やアナログ音声出力、光デジタル音声出力を備えている。USB端子はメモリー用と、USB HDD用とUSBメモリ用の2系統。LAN端子は100BASE-TX。

消費電力は70V型が約520W、60V型が約510W。年間消費電力量は70V型が295kWh/年、60V型が290kWh/年。

スタンドを含む本体サイズと重さは、70V型がW156.4×D36.1×H99cm/約48.5kg、60V型がW135.6×D29×H87.1kg/約36.5kg。60V型「8T-C60BW1」は画面を左右に回転するスイーベル機構をスタンド部に備えている。

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    60V型「8T-C60BW1」は画面を左右に回転するスイーベル機構をスタンド部に備える。70型は「画面の重量やバランスを考えて非搭載にした」とのこと

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    AQUOS 8Kのラインナップ。既存のフラッグシップのAX1ライン3機種(手前)、BW1ライン2機種(画面奥)の5機種展開となる