外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2019年9月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした今後の相場展望をお届けする。

【ユーロ/円 9月の推移】

9月のユーロ/円相場は115.861~120.006円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.9%上昇(ユーロ高・円安)した。前月の軟調推移を引き継ぎ3日には115.86円前後まで下落して2017年4月以来の安値を更新した。

しかし、米中閣僚級協議の再開が決まり(5日)市場心理が改善すると、ユーロ買い・円売りへと流れが反転。欧州中銀(ECB)がマイナス金利の深堀りと資産買い入れや長期資金供給オペの再開を組み合わせた包括緩和を発表したにもかかわらず、出尽くし感からユーロ高が継続し13日には1カ月半ぶりに120円台にワンタッチした。

ただ、欧州景気の弱さが意識されると、仏独PMIの悪化を受けて再び117円台へと反落。27日には四半期末を控えたポジション調整と思しき買いが入ったものの、戻りは限られた。

【ユーロ/円 10月の見通し】

ユーロは域内の景気後退懸念が根強く弱含みの展開が続いており、9月30日には対ドルで2017年5月以来の1.08ドル台に沈んだ。中核国であるドイツの経済低迷や、英国の欧州連合(EU)離脱=Brexitを巡る不透明感に加え、ドルが強含みやすい季節性も考慮すると、当面はユーロが下値を探る展開になりやすいと考えられる。

10月のユーロ/円は、ドル/円の上昇に支えられる場面があっても上値は限られそうだ。テクニカル面でも、右肩下がりの13週移動平均線に抑え込まれる展開が続いており、執筆時点で118円台後半に位置する同線を明確に上抜けない限り反発局面入りの見方は強まりそうにない。仮に上抜けても、121円前後を通る26週移動平均線がさらに強力な上値抵抗として控えている。

ユーロ/円相場が最後に13週移動平均線を上抜けたのは5カ月以上前の4月だが、この時も26週移動平均線に上値を阻まれており、翌週には失速した。

なお、欧州中銀(ECB)のドラギ総裁は10月31日付けで退任する。後任は国際通貨基金(IMF)専務理事のラガルド氏。24日の理事会は前月の包括緩和の直後とあって政策変更は見込まれないが、ドラギ総裁の最後の花道となるだけに、理事会後の記者会見には注目が集まりそうだ。

【10月のユーロ圏注目イベント】