外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2019年9月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした今後の相場展望をお届けする。
【ドル/円 9月の推移】
9月のドル/円相場は105.739~108.475円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.7%上昇(ドル高・円安)。米中の対立激化を受けて市場心理が悲観に傾いた8月の反動が出た。
米中が7月以来の閣僚級通商協議の10月開催に合意したことをきっかけに上昇すると、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げを決めた18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後もドル高・円安基調が継続し、108.475円の高値を付けて8月1日以来の高値を更新。
その後は日銀金融政策決定会合で追加緩和が見送られたことなどもあって、一時調整局面に入ったが、106.90円台で下げ渋ると月末にかけて再び強含んだ。
【ドル/円 10月の見通し】
10月のドル/円相場は、過去10年で月足陽線を8回記録しており、上昇傾向が見られる。第4四半期(10-12月期)のスタートとあって、年末に向けたドル需要などが意識されやすく、下半期入りで日本の機関投資家が対外投資を行いやすくなるとの思惑もある。また、年末に向けていわゆる「クリスマスラリー」で米国株が上昇基調を強める傾向も見られる。
こうした中、今年も10月はドル高・円安の流れを見込むのが自然であり、8月高値の109.315円前後を超えられればチャート面の上昇余地も広がりそうだ。仮に「10月のドル/円上昇アノマリー」が不発に終わるとすれば、阻害要因となり得るのは以下のケースであろう。
(1) 10-11日にワシントンで行われる米中閣僚級通商協議が決裂する
(2) 29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利下げ観測が高まる
(3) 30-31日の日銀金融政策決定会合の追加緩和見送り観測が強まる
(4) 31日の期限に向けて英国の合意なき欧州連合(EU)離脱(ハードブレグジット)の可能性が高まる
いずれも、現時点ではメインシナリオには据え難い内容だが、10月相場のチェックポイントとして挙げておきたい。