接待の手土産として人気のある商品を集めた品評会が都内で開催された。これは手土産情報サイト『接待の手土産』を運営する、ぐるなびが2014年より開催しているもの。今回は全国から手土産53品目が集まり、業種・業態を超えた100社の現役秘書100名が参加した。味はもちろん、パッケージの見た目、重さなど、上司に推薦する上で重要視しているポイントを熱心にチェックする秘書たちの姿が、会場のあちらこちらで見られた。
『接待の手土産』とは?
ぐるなびでは「接待の手土産セレクション2020」として、今年は同様の品評会を全8回開催していく。筆者が訪れたのは9月25日に開催された5回目。お歳暮、お年賀が視野に入る時期とあり、定番のクッキー、お菓子のほかにも、あわび、鯛などを使った華やかな商品が目立った。
参加した秘書の業種をひもとけば、製造、建設、金融、情報通信と幅広い。中には議員秘書という方もいた。業種や企業風土によって、求められる商品は変わる。例えば、伝統ある企業であれば格式あるブランドの商品が、IT関連なら流行の商品が好まれる傾向があるようだ。
接待の手土産セレクション2020で開催される全8回の品評会では、その都度、参加秘書によるアンケート投票が実施される。それを元に、年度末には年間ランキングが決定。特に優れた30品目には「特選」の称号が、また良商品には「入選」のお墨付きが与えられ、ぐるなびの年刊『接待の手土産』に掲載される。全国の企業で参考にされる『接待の手土産』の特選30品目を目指して、出展企業がしのぎを削るという構図だ。
勉強の場として
何人かの秘書に話を聞いた。
参加するのは3回目という20代女性は、「お年賀として会社で配る商品を探していたところ、鯛を使ったお煎餅を見つけた。コンセプトがわかりやすいと渡しやすい。探していたものが見つかって良かった」と笑顔になった。
手土産のレパートリーを増やしたくて訪れた30代の女性は、「会場には買ったことのある商品も展示されていました。ゆくゆくは上司に『この方ならこれが良い』と提案できるくらいに勉強したいんです。でも自費で試すには限界がある。品評会なら、見て、味わって、重さを肌で感じられるので助かります」と話す。
出展者にも話を聞いた。
Takano Farm(山梨県)の「エアリーフルーツ 3種ギフトセット」(3,898円)は、完熟収穫にこだわる農園が作ったフリーズドライ食品。自社加工により、フルーツの旬の美味しさを凝縮しているという。実際に瓶の中の桃を1個いただいたが、まずは軽さに驚き、そして口に溶けてしまいそうな食感に驚いた。フルーツの旨味がまるごと閉じ込められている印象。
代表の髙野弘法氏は「普段なら接点のない企業の秘書さんとの出会いがあります。また、出展されている企業さんと横のつながりもあるんです。ギフトに特化した魅せ方など、参考にさせていただいています」と話していた。
コロンバン原宿サロン(東京都)の「特選パウンドケーキ 國輝」(8,640円)は、95年前に創業者が考案したレシピをそのままに、材料のグレードを上げて再現したもの。18種類のフルーツ・リキュール・スパイスを丹念に混ぜて6か月間熟成させた特製の「漬け込みフルーツ」を使っている。濃厚で味わい深かった。
出展者は「昔ながらの会社です。ブランドを信頼して購入いただいている企業様もあり、ありがたい思いです」と語った。
土産の文化は、気遣いの文化でもある。商品の重量が軽ければ、渡した相手の負担にならない。パッケージが渋めであれば、大人の男性が持ち帰ってもおかしくない。秘書は、そこまで考えて商品を選んでいた。言われてみれば、その通り。重役の男性に蛍光色を使った包み紙の手土産は渡しづらい。秘書たちに、この品評会が喜ばれている理由がよくわかった。