相鉄・東急直通線(2022年度下期開業予定)用の車両として、2018年にデビューした相模鉄道20000系が今年、鉄道友の会ローレル賞に選ばれた。これを記念し、9月28日にかしわ台車両センター(神奈川県海老名市)で受賞式が行われた。
ローレル賞は鉄道友の会が年に1回、日本の鉄道車両の進歩・発展に寄与することを目的に、新造もしくは改造車両から選出している賞である。最優秀賞がブルーリボン賞であり、優秀賞がローレル賞である。
■鉄道友の会会長「設計が斬新」と評価
相鉄20000系は2018年2月から相鉄線で運行を開始した。鉄道業界全体において、車両のシステムなどに共通化が求められる中、鉄道事業者がコンセプトを定めた上で共通化に対応したことが評価されたという。
鉄道友の会会長の須田寛氏(JR東海相談役)は、自身が国鉄勤務時代、静岡鉄道管理局に配属されていた際のことを思い出しながら、「短い期間にめざましく変わった」と相鉄を評価。「あっという間に列車の運転間隔が縮まり、車両が長くなっていきました」と成長の過程を振り返り、20000系を「設計が斬新」と高く評価した。「首都圏の大私鉄として、ますます発展してほしい」と期待を寄せた。
ブルーリボン賞・ローレル賞の選考委員長を務めた鉄道友の会の加藤幸弘氏は、20000系にローレル賞を授与した理由を「落ち着きや透明性のある車内、新奇性のある構造などを評価しました」と説明した。
相模鉄道の代表取締役社長、千原広司氏は、「当社初のローレル賞は大きな励みになります」と謝意を示した。東急線との相互直通運転に向けた車両であり、デザインブランドアッププロジェクトに力を入れ、「選ばれる沿線」をめざすための車両であることを説明した。
■ローレル賞受賞記念のヘッドマークを披露
20000系のクリエイティブディレクターを務めた水野学氏は、「いろんな人の希望を乗せて走る、心に残るデザインにしたかった」と述べ、「これまで受賞したどんな賞よりもうれしい」と喜びを語った。
吊り革や車内インテリアを担当したプロダクトデザイナーの鈴木啓太氏は、「初めて鉄道車両のデザインを手がけましたが、これまでの仕事の中で最も難しいものでした」「賞をいただけたことが励みになりました」と感想を述べた。
緑色の月桂樹の葉があしらわれた受賞記念のヘッドマークが除幕され、報道関係者らに披露された。このヘッドマークと同じデザインのマークが、今回の受賞式に臨んだ編成の1号車に飾られている。
当日は鉄道友の会会員が参加して洗車の様子を体験し、車両の撮影会も行われた。相鉄初というローレル賞受賞は、相鉄のコンセプトを練り上げていくデザインブランドアッププロジェクトによるところが大きい。この日はヨコハマネイビーブルーを初めて採用した9000系リニューアル車両、相鉄・JR直通線用の新型車両として今年デビューした12000系も並んで展示され、20000系の晴れの日に華を添えた。
「共通」と「独創」の相矛盾する要求を高い次元でまとめあげた相鉄20000系。東急線との相互直通運転で本領を発揮することを期待したい。