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【この記事のエキスパート】
防災・危機管理ファシリテーター&編集ライター:南部 優子
出版社の編集・執筆、地域NPOの政策企画・広報、危機管理コンサルタントを経て独立。 多彩な分野でファシリテーター兼編集ライターとして活動中。
編集・執筆の経験を生かした計画・マニュアルなどの各種資料作成・製本・出版や、企画会議運営・板書経験を活用したワークショップ・イベントの設計・運営、防災コンサルタント経験による各種調査・研究・組織開発支援など、公共団体や研究機関・企業・NPOとのプロジェクトを数多く実施している。
この記事では、防災ファシリテーター・南部優子さんにお話をうかがい、家具転倒防止器具の選び方と、おすすめ商品をご紹介。もしものときに、「対策をしておけばよかった」と後悔しないためにも、この記事を参考にして備えておきましょう。ニトリやカインズなどもピックアップ!
防災ファシリテーターに聞きました
家具転倒防止器具の選び方
日本は世界的にみても地震が多い国です。家具の転倒防止は、地震対策のひとつとして有効。阪神・淡路大震災のときの調査では、建物のなかで負傷した人の約半数が、家具の倒壊や落下によるものだったという結果が出ています。
防災ファシリテーター・南部優子さんに、家具の転倒防止用品を選ぶときのポイントを教えてもらいました。
【1】耐圧性能
【2】特殊な工具不要でかんたんに設置できるか
【3】家具とサイズや見た目がマッチするか
【4】耐震マットシートと突っ張りタイプの合わせ技
上記のポイントをおさえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
公的機関試験済みで、耐圧数値を公表しているものを
【1】突っ張って支えるタイプは「耐圧性能」を確認
【エキスパートのコメント】
家具と天井とをポールで突っ張って支えるタイプの場合、「耐圧性能」を確認することが大切。公的機関で試験済みのものや、耐圧の数値を明記しているものを選ぶと安心です。
なお、突っ張るタイプは、縦方向の力には強いですが、接する部分が点に近いと摩擦力が少ないため、横からの力にはそれほど強くありません。
家具側・天井側ともに、器具との接地面積が広いほど力が安定し、縦揺れ・横揺れの両方に強くなります。設置する場所は、必ず家具に対して左右対称になるようにし、圧力が均等にかかるように設置しましょう。
接着タイプは事前に目立たない場所でテストを
【2】特殊な工具いらずでかんたんに設置できる器具を選ぶ
【エキスパートのコメント】
特殊な工具を使う必要があると、つい設置がおっくうになってしまいますよね。また、むずかしい取りつけ方だと、耐震性能が上がらないかもしれません。
ハンドルやネジを回す、シートを貼るなど、日頃からよくやるかんたんな動作で調整でき、固定できるタイプのものを選びましょう。
なお、接着タイプの場合は、「きれいにはがせる」とうたっているものでも、壁紙や天井の素材によって跡が残ったりはがれてしまったりすることがあります。
家具の底面や隅のほうなど、できるだけ目立たないところで使うようにするとよいでしょう。
そのほか、家具の下に差し込んで使うタイプのものもあります。家具の手前に差し込み、高さをつけることで壁にもたれかけた状態をつくり、地震が発生したときの揺れで家具が手前へ倒れ込むのを防ぐ器具です。
差し込むだけのかんたんな作業なので、ほかの器具と併用して固定の強度をあげるとよいでしょう。
【3】家具とサイズや見た目がマッチする器具を選ぶ
【エキスパートのコメント】
耐震器具ですから、家具と天井面までの高さにあわせて強度をたもつことが重要です。このため、サイズ展開が幅広いものを選んでおくと調整しやすくおすすめです。
なお、耐圧や吸収性などの安全面の機能が最優先となるのは間違いないですが、お部屋の家具はいつも目に入ってくるものですので、デザイン的に家具となじむもののほうがよいのも確かです。
性能的によく似たものであれば、家具の色味にあったものを選ぶと、部屋になじみやすくなります。また、耐震器具のなかには収納ボックス兼用の多機能タイプもあります。
家具としての見た目や機能を損なわず、固定器具も目立たないため、むき出しの器具を設置するのに抵抗がある人は、家具となじみやすい多機能タイプを検討してみるのもよいでしょう。
耐震マットシートと突っ張りタイプの合わせ技を
【4】転倒防止器具を組みあわせて大きな揺れへの対策を
【エキスパートのコメント】
家具と天井や壁の間を固定する器具だけでは、震度6強や震度7といった大きな揺れになった場合、家具を支えきれなくなる可能性もあります。
とくに重い家具の場合は、補強する耐震グッズとして、マットやシートタイプをじょうずに活用した「合わせ技」がおすすめ。
マットやシートタイプを家具の下に敷き、家具の上と天井を突っ張り棒タイプで固定すると、L型金具を使用した場合と同じくらいの強度を出せるともいわれています。
うえに重い家具をのせても大丈夫なように、耐荷重が100kg以上、耐震が震度7など、具体的な数字が表記されている場合は、数字が大きいものを選ぶといいですね。
マットやシートは、ゲルなどの素材がもつ粘着力を活かして地震の震動を吸収します。このため、家具や床にぴったりとくっつくことが重要。
重い家具を支えるには、できるだけ底面を広く、安定的に支える必要がありますので、大きなもの、厚みのあるものを選ぶとよいでしょう。
なお、マットやシートはどうしても経年劣化がすすみます。重い家具の場合は差し替えも力仕事ですし、できるだけ耐久年数が長いものを選ぶことをおすすめします。
定期的に使用年数をチェックして、早めに取り替えるようにしましょう。
防災ファシリテーターからのアドバイス
複数の防災器具を組み合わせて総合的に防災対策を
【エキスパートのコメント】
壁や柱に耐震補強をせずにすませる転倒防止器具は、手軽な反面、本格的な耐震対策と比べると、どうしても強度が下がります。
そもそもの話にはなりますが、あまり背の高い家具は置かないとか、重いものを上のほうに置かないというような暮らし方を変えていく工夫も大切です。
また、家具が転倒しない場合でも、引き出しが飛び出したり、扉が開いてなかのものが落ちたり、ガラスが割れたりという被害も考えられます。引き出しや扉のストッパー、ガラス飛散防止フィルムなどを組み合わせ、部屋のなかでのケガを少しでも減らすように対策することをおすすめします。