普段、光熱費の節約を心がけている人でも、夏は暑さに負けて、エアコンをつける頻度が高くなり、電気代がかさみがちに。今回は暑い夏に節電しながら、快適に暮らせるコツを紹介していきます。

1. エアコンの節電

「ドライ」が必ずしも節電というわけではない

夏に電気代がかかる原因のひとつは、やはりエアコンでしょう。エアコンの設定は「冷房」より「ドライ」の方が電気代の節約になると思っている人が多いようですが、必ずしもそうとはいえません。

「ドライ」には、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」と2タイプあります。弱冷房除湿は、電気代は安くなりますが、除湿も冷房も弱い状態。再熱除湿は、湿度は下がりますが、室温は下がりません。梅雨どきなど「室温は下げなくてもいいけど、湿度を下げたい」というときに適していますが、暑い真夏には不向き。しかも「冷房」より電気代がかかります。リモコンでドライの温度設定が出来る場合は再熱除湿の可能性が高いのでリモコンをチェックしてみましょう。

結論としては、室温を下げて快適に過ごすには、「ドライ」より「冷房」がコストパフォーマンスにおいては勝っていることになります。

温度設定は28度が目安

「冷房」のほうがコスパがいいと言っても、室温をガンガン冷やしては電気代がかかります。温度設定の目安は28度。

経済産業省 資源エネルギー庁「家庭の省エネ徹底ガイド春夏秋冬」によると、夏場の「冷房」設定温度を27℃から28℃に、わずか1℃上げるだけで、ワンシーズン820円の電気代の節約になるといいます。

風向きは水平に

冷たい空気は下にたまるので、風向を水平にすると、冷たい空気が部屋全体に行きわたります。

一方、冬場に利用する際の「暖房」では、暖かい空気は天井付近にたまるので、風向を下向きにすると、温かい空気が足元の方までまわりやすくなるので覚えておきましょう。

扇風機を併用する

前述したように、冷たい空気は下に行くので、扇風機をまわして空気を循環させるのがオススメ。足元ばかりを冷やさず、室内全体に冷たい空気が届くことで体感温度が下がります。

フィルターの掃除をする

フィルターは月1~2回掃除をするのが目安。掃除をするのとしないのとでは、ワンシーズンの電気代に860円の差が。

また室外機の吹き出し口をふさぐと、エアコンの効率が悪くなります。植木や物などで通風を妨げないよう、室外機のまわりにはものを置かないことも大切です。

カーテンをする

直射日光が室内に差し込んでいては、いくらエアコンの設定温度を下げても効果薄。それこそ電気代のムダです。カーテンやブランドで日差しを遮りましょう。窓の外に葦簀や緑のカーテンをするのもオススメです。

2. 冷蔵庫の節電

庫内は「コの字」にものを入れる

エアコンに次いで、夏場に電気代がかかるのが冷蔵庫。いろいろ詰め込んで、さらに設定を「強」にすると、消費電力量がどんどん増えてしまいます。

冷蔵庫の節電のポイントは、まずドアが開いている時間を短縮することです。それには、取り出したいものがパッと見で見つかることが大事。庫内は真ん中を空けて、内壁に沿ってコの字にものを入れると、ものが見渡しやすくなります。

ちなみに、ドアを開けている時間が20秒の場合と、10秒の場合では年間で電気代に160円の差が!

常温で保存できるものは入れない

冷蔵室がギューギューに詰まっていると、冷気の循環が悪くなります。冷蔵室に入れる必要がなく、常温で保存できるものが混じっていませんか?缶詰やビン詰めは未開封のものなら冷蔵室に入れる必要はありません。

ちなみに、ものを詰め込んだ場合と、半分にした場合では年間で電気代に1180円の差が。

熱いものは冷ましてから入れる

夏場にカレーやみそ汁が余った場合、鍋ごと冷蔵室に入れることもあるでしょう。その場合は必ず粗熱をとってから、が鉄則。熱いまま入れると、庫内の温度が上がり、それを下げるために電力を消費します。また他の食品が傷みやすくなるので絶対にNGです。

ビニールのカーテンはしない

冷蔵庫の開閉時に冷気が逃げないよう庫内にビニール製のカーテンをつけている人がいますが、実はあまりオススメできません。というのも、カーテンが邪魔になって、ものを取り出すのに時間がかかったり、ドアポケットまで冷気が届きにくくなったりとデメリットがあるからです。

3. 炊飯器の節電

保温時間は4時間までを目安に

炊飯器の保温時間が4時間以上になると、保温するのにかかる電気代よりも、電子レンジで温め直す電気代の方が安くなります。

また約7~8時間以上保温するなら、2回に分けて炊いた方が節電に。炊き立てのご飯が食べられて◎。

使わないときはプラグを抜く

1日に7時間保温して、プラグをコンセントに差し込んだままの場合と、保温しないでプラグを抜いた場合では年間で電気代に1240円の差が。

4. 電子レンジの節電

火を使わない調理法を取り入れる

キッチンでガスコンロを使うと、室内の温度が上がり、消費電力量も増加します。調理する人も暑くて大変。

そこで、火の通りにくい野菜は、ガスコンロでお湯を沸かして下茹でする代わりに、電子レンジでいったん加熱。その後、鍋に移して加熱すると、火を使う時間が短縮できます。

野菜を洗ったときの水分を残しておく

電子レンジで野菜の下ごしらえをする際には、野菜を洗ったときの水分を適度に残しておいたままチンすると、上手に加熱できます。

また食材の大きさや厚さをそろえてカットすることで、熱のとおりがムラなく仕上がります。最初は加熱時間を短めにして、様子を見ながら加熱するのがコツです。

夏場に電気を使うエアコンや冷蔵庫などの使い方をちょっと工夫するだけで、節電効果がアップします。電気代のためだけではなく、地球のためにも電気の使い過ぎには気をつけたいもの。まだまだ暑い日が続きそうですので、できるものから始めてみましょう。

※電気代の計算は「経済産業省 資源エネルギー庁『家庭の省エネ徹底ガイド春夏秋冬』を参照

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。