パナソニックは24日、同社ノートPC「Let'snote」秋冬モデルを発表した。店頭向けには、新シリーズ「Let'snote QV8」を含め、SV8、LV8、RZ8の4機種を販売する。2019年秋冬モデルの注目は、クアッドコアCPU搭載の2in1で世界最小サイズを実現した「Let'snote QV8」だ。都内で開催された新製品発表会では、同機の“こだわりポイント”が披露された。

  • 9月24日に発表された12.0型のLet'snote QV8。画面のアスペクト比は3:2で、本体は正方形に近い印象を受ける

12.0型2in1にフルサイズキーボード搭載

Let'snote QV8(以下、QV8)の特徴は「A4用紙より小型」「3:2の画面サイズ」「頑丈&セキュリティ強化」の3点だという。

12.0型の液晶ディスプレイを搭載したQV8は、幅273×奥行き209.2mmとA4サイズ(297×210mm)より小型のフットプリントを実現している。12.1型の兄弟モデル、Let'snote SV8よりフットプリント・厚みともに小型化・薄型化しており、QV8では小型化を実現するため、キーボードの構造を変更した。

  • Let'snote QV8のキーボード面。2mmのキーストロークと19mmのキーピッチを確保した

現行のLet'snoteシリーズでは、キートップ1つ1つが独立配置されているアイソレーションキーを採用している。これまではキーボード部分を凹ませた上からキーと、キーを支える樹脂桟パーツを上からはめ込む方式を採用していた。この方式では、キーボード両サイドに樹脂桟と筐体の桟(トップキャビ)が必要となり、小型化の障壁になっていた。

今回、QVでは樹脂桟を省き、筐体の桟(トップキャビ)をキーボード面と一体成形して、キーボードを下からはめ込む方法に変更した。これにより、2mmのキーストロークと19mmのキーピッチを確保しつつ、本体左右の幅を大きく詰めることができたという。

  • 12.5型の2in1 PC、Let'snote MX5(2016年生産終了)のキーボード。このときはキーボード面に凹みを作り、その上にキーボードと樹脂桟(キーとキーの間を埋めるグレイの部分)を乗せる方式だった

  • Let'snote QV8のキーボード。キーボード面と桟を一体成型し、下からキーボードをはめ込む方式に変更した。キーボード左右のスペースも大幅にカットされている

  • キーボード面と液晶モジュールを小型化

また、液晶モジュールも従来から小型化。合わせて、ディスプレイ側面パーツで天板のエッジを覆う方式から、側面パーツの上に天板を乗せる付き当て方式に変更し、ディスプレイ幅も狭めている。

本体を薄型化、軽量化する一方で強度も確保するため、部品へかかる負荷をシミュレーションし、ピンポイントで負荷のかかる部分を厚くするといった補強を行う。補強は製品全体で行われているが、その一例が天板や本体のコネクタ部分だ。

天板は段差を設けて強度を高めるボンネット構造で、Let'snote SV8シリーズでは二重に段差を付けていたダブルボンネット構造だったのに対し、QV8では一重の段差で、段差の凹みがほとんどないシングルボンネットを採用し、天板を薄型化している。天板中央部をすり鉢状にわずかに凹ませる逆ドーム型ボンネット構造は、従来から引き続き採用し、負荷がかかる部分は厚くするなどの補強が行われている。細かな補強により、76cm落下試験や100kgf加圧振動試験など、従来と同じ耐久試験をクリアしたという。

  • Let'snote QV8の内部構造。メイン基板も軽量化したという。多くのコネクタはキーボード下に搭載されているが、D-Subなど高さが必要のパーツはバッテリ側に配置された。底面には本体がやや浮き上がる小さな突起が設けられている

  • 天板は0.4mm厚で、段差が1段のシングルボンネット構造を採用(中央に0.2~0.3mm程度のすり鉢状の凹みを採り入れている)。上部に通信用アンテナを搭載する

  • ボトムケースの裏側。コネクタ周りは抜き差し強度確保のため、細かく厚みを調整しているという

  • Let'snote MXのCPUファン(左)とQV8のCPUファン(右)。放熱は風の流路解析をシミュレーションして設計。薄型化しつつサイズを大きくし、クアッドコアの冷却に必要な放熱性を備えたという。ヒートパイプの長さや素材も最適化した

3:2のアスペクト比、B5書類をほぼ実寸で表示

画面サイズはWQXAGA+(2,880×1,920ドット)の高解像度で、3:2のアスペクト比とした。このため本体の形は正方形のように四角い印象を受ける(本体サイズW273.0×D209.2×H18.7mm)。

ディスプレイの情報表示量はフルHD(1,920×1,080ドット)の約2.7倍に高まり、B5(257×182mm)サイズの書類を99%~93%程度の“ほぼ実寸大”で表示できる。標準での拡大率は200%。画面には反射を防ぐアンチリフレクションフィルムが貼られている。

  • Let'snote QV8

ディスプレイはタッチ対応で、別売のアクティブペンも使える。開発を担当したパナソニック コネクティッドソリューションズ社 副社長 モバイルソリューションズ事業部 開発センターの上田大プロジェクトリーダーは、「少しの時間でサッとプレゼンでき、3:2の比率で書類を見るときの表示領域を有効活用できる」とQV8の魅力を紹介した。

セキュリティに関しては、Let'snote店頭モデルで初となる、タッチ式の指紋認証センサーをパームレスト部に搭載したほか、顔認証対応Webカメラも備えた。指紋認証はLet'snote2019年秋冬モデルの特徴として、Let'snote SV8やLV8でも搭載している。

  • 高精細となった3:2の液晶ディスプレイ

  • Let'snote店頭モデルで初となる指紋認証センサー

新幹線の座席テーブルにすっぽり収まる

パナソニック コネクティッドソリューションズ社 副社長 モバイルソリューションズ事業部長の坂本寛明氏はQV8について「Let'snoteで王道の12インチでもコンパクト。これはとても大事な点」とアピール。飛行機や新幹線での出張時、机に飲み物を置いてもPCがはみ出さず「すっぽり置くことができて使いやすい」と紹介した。QV8は小型軽量高性能を武器に、テレワークを中心とした働き方改革に役立つPCとして「皆様の仕事に貢献したい」と強調する。

同社はLet'snoteとTOUGHBOOKシリーズの販売台数は合計で、2017年に85万台、2018年度に96万台を実現。坂本部長はQV8の投入で「2019年度は100万台の達成に挑戦したい」と目標を掲げた。

  • パナソニック コネクティッドソリューションズ社 副社長 モバイルソリューションズ事業部長の坂本寛明氏と、今回もプロモーションキャラクターを務める女優の比嘉愛未さん

  • 2019年度はLet'snoteとTOUGHBOOKシリーズの合計販売台数100万台を目指す

  • 新幹線の座席テーブルに飲み物とLet'snote QV8本体を置いても余裕がある

  • Let'snote新製品発表会には、同社のバレーボールチーム「パナソニックパンサーズ」の選手も駆けつけた。左からオポジットの大竹壱青選手、セッターの深津英臣選手、アウトサイドヒッターの渡辺奏吾選手。3名揃ってのパンサーポーズを決める一幕も

Let'snote QV8店頭モデルの主な仕様

品番 CF-QV8GFRQR CF-QV8GDGQR CF-QV8FDPQR CF-QV8FDGQR
本体カラー シルバー
OS Windows 10 Pro 64bit(May 2019 Update)
CPU Intel Core i7-8565U(1.80GHz) Intel Core i5-8265U(1.60GHz)
メモリ 8GB 16GB 8GB
ストレージ 512GB PCIe SSD 256GB PCIe SSD
ディスプレイ 12.0型(2,880×1,920ドット)
光学ドライブ 非搭載
通信機能 1000BASE-T準拠の有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LAN、Bluetooth 5.0
WWAN LTE(nano SIM) 非搭載
カメラ 顔認証対応カメラ
指紋認証 タッチ式
バッテリ駆動時間 約10時間
本体サイズ W273.0×D209.2×H18.7mm
重さ 約0.979kg 約0.949kg
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