豊島将之名人への挑戦権を争う第78期A級順位戦3回戦の渡辺明三冠―佐藤康光九段戦が19日に行われ、渡辺三冠が勝利しました。両者はともに成績を2-0で本局を迎えており、渡辺三冠はリーグ内唯一の全勝キープとなりました。
佐藤康光九段との全勝対決を制し、唯一の3連勝
佐藤九段は得意の角交換振り飛車を採用し、積極的に仕掛けていきました。しかし構想に無理があったようで自然に対応した渡辺三冠が優位に立ちます。その後ともに敵陣に大駒を打ち合う激しい展開となります。自玉と敵玉の距離感を正確につかんだ渡辺三冠が一直線の寄せ合いに踏み込み、肉を斬らせて骨を断つ指し回しで一手差で勝利を収めました。
前々期、初昇級から8期連続で守ってきたA級からまさかの降級となった渡辺三冠。しかし前期はB級1組を12-0という圧倒的な成績で駆け抜け、A級に復帰。タイトルも王将を獲得、棋王を防衛、さらに棋聖を新たに獲得。今年度成績は豊島名人に3度負けただけの15-3で勝率8割越え(未放映のテレビ対局を除く)と完全復活を印象付けています。
まさに手の付けられない絶好調状態の渡辺三冠がリーグ前半戦をリードしていますが、全9回戦の長丁場はまだ始まったばかり。このまま渡辺三冠の勢いが止まらないのか、それとも誰かが土を付け全勝者のいない混戦模様になるのか。引き続き大注目です。