千葉市が千葉都市モノレールの延伸計画を廃止すると発表した。延伸した場合の費用対効果が低く、モノレール会社の経営状況に影響が生じると判断したという。
千葉モノレールは現在、千葉みなと駅と県庁前駅を結ぶ1号線(3.2km)、千葉駅と千城台駅を結ぶ2号線(12km)の計15.2kmの区間で営業しており、1日あたり約5万3,000人の利用がある。このうち、1号線については県庁前駅から市立青葉病院前まで延伸させる「病院ルート」の計画がかつてあったが、約10年前に建設コストやモノレール会社の経営状況を理由に凍結されていた。
千葉市は地域公共交通網形成計画策定に先立ち、骨格交通であるモノレールの延伸可否について決定する必要があることから、計画の再検証を実施。あわせて2号線を穴川駅からJR稲毛海岸駅へと分岐させる「稲毛ルート」の構想についても検証した。
検証結果によると、「病院ルート」の概算整備費は196億円で、延伸区間を1日3,200人が利用すると予測。一方、「稲毛ルート」の概算整備費は494億円で、延伸区間を1日1,200人が利用すると予測された。数値が1以上であれば妥当とされる、費用対効果を示す指標「費用対便益費」は「病院ルート」が0.87、「稲毛ルート」が0.73となり、いずれも費用対効果が低いと判断された。
これらをもとに、公共交通の有識者2名からの評価も踏まえ、「病院ルート」の延伸計画は「廃止」、構想段階にあった「稲毛ルート」も「モノレール導入は行わない」と結論づけた。モノレール延伸計画廃止により、現状のバス路線での対応となることから、千葉市は今後、バスの走行環境や利用者の待合環境、乗継ぎ利便性の改善などについて検討するとしている。