米ニューヨーク5番街にあるAppleのフラッグシップストア「Apple Fifth Avenue」が9月20日に改装オープンする。

  • 9月20日に改装オープンする「Apple 5th Avenue」

    高いビルや高級ブランドが並ぶ街で独特の雰囲気を放つ「Apple Fifth Avenue」

「ガラスキューブ」と呼ばれる同ストアが開店したのは、初代iPhoneが登場する前の2006年だった。背の高いビルが建ち並ぶミッドタウンから五番街をセントラルパークの方へと進むと、突如ビルのない空間が開けて巨大なガラスキューブが現れる。一見すると、それがお店だとは分からない。ビルの街ニューヨークに置かれたガラスのキューブはアート作品のようなたたずまいで、Fifth Avenue店はすぐにニューヨークの観光名所の1つに加わった。ストアは地下にあり、ガラスキューブの入り口から買い物客はらせん階段またはエレベーターを使って降りていく。

Fifth Avenue店の改装は今回で2回目だ。前回は2011年にガラスキューブを作り直し、使用しているガラスを90枚から15枚に減らした。それまで1面あたり18枚だったのが、1面あたり3枚になって、継ぎ目が目立たない透明なガラスキューブになった。そして2017年始めから2年半に及ぶ大規模な改修となった今回は、地下のストアの刷新と買い物体験の向上がポイントになっている。

以前のストアではガラスキューブのデザインと面白さを楽しめたが、リテールストアとして地下にあるデメリットを感じるところもあった。例えば、買い物客以外に観光客も立ち寄る店なのに入り口が1つなので、ホリデーシーズンなど来店客が多い時期にはガラスキューブの入り口がボトルネックになって行列ができていた。

  • 店内から見たガラスキューブの入り口

    地上と続いているように自然で、広々とした店内

新しいFifth Avenue店は、従来よりも天井が高く、広さはオリジナルストアの二倍近い広々とした空間になった。ガラスキューブ部分に加えて、天井に設けられた62個の丸い明かり窓、「Skylense」と呼ばれるミラーガラスを用いた18個の採光機構 (地上ではベンチとして利用可能)から、地上の光がふんだんに店内へふりそそぐ。雲のようにゆるやかにカーブした天井にはファブリック素材が用いられており、その中に組み込まれたLEDライトが柔らかい光を放つ。地上の光に組み合わせてLEDライトが用いられる時には、不足する明るさを補うだけではなく、自然光に合わせてLEDのトーンを調整し、時間や天気に応じた自然な明るさを演出する。地上から続いているような自然な空間であり、そして5番街の喧騒を忘れさせる。広々とした空間でゆっくりと製品を試したり、集中してワークショップに取り組める。

  • 雲のように自然でやわらかい天井

    天井にはたくさんの明かり窓、LEDのバックライトを組み合わせた自然な光り

以前は全てがガラスだったエレベータとらせん階段には、鏡のように磨かれたステンレスが用いられており、反射とソリッドなデザインを楽しめる。また、ガラスキューブの他にも出入り口が2つ設けられた。ガラスキューブを体験する必要のない地元の買い物客が別の出入り口に分散すれば、メインの入り口の混雑が緩和される。

  • ガラスとステンレスを組み合わせたらせん階段

    ステンレスの階段とエレベータには、大きなガラス越しの外の風景、明るい店内が写り込む

Apple Fifth Avenueの場所は5番街の58丁目と59丁目の間。Appleの直営店で唯一の年中無休、24時間営業のストアだ。