東映Vシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』(監督:中澤祥次郎)の大ヒットを記念し、主演の仮面ライダーグリス/猿渡一海役・武田航平と共演者を迎えての大ヒット御礼舞台あいさつ「武田航平ナイト3」が18日、新宿バルト9にて催された。
『ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス』とは、2018年に放送を終了した特撮テレビドラマ『仮面ライダービルド』のスピンオフ作品として、Vシネクスト『ビルド NEW WORLD 仮面ライダークローズ』(監督:山口恭平)に続いて発表された作品である。『ビルド』テレビシリーズ最終回で、地球外生命体エボルトの犠牲になった大勢の人々を救うべく「新世界」を創り上げた仮面ライダービルド/桐生戦兎(演:犬飼貴丈)だったが、平和を取り戻したはずの新世界にも新たな滅亡の危機が到来。『仮面ライダークローズ』では仮面ライダークローズ/万丈龍我(演:赤楚衛二)をメインに据え、仮面ライダーローグ/氷室幻徳(演:水上剣星)、仮面ライダーグリス/猿渡一海(演:武田航平)もかつての「旧世界」での記憶を取り戻し、ふたたび愛と平和のために邪悪な敵に戦いを挑んだ。
今回の『仮面ライダーグリス』は『クローズ』の続編にあたる作品で、一海を演じた武田航平の強い要望と、グリス主演作を望む大勢のファンたちの熱き応援が盛り上がり、製作が決定したという。本作では一海と、彼を「カシラ」と呼んで慕う猿渡ファームの「三羽ガラス」=赤羽(演:栄信)、青羽(演:芹澤興人)、黄羽(演:吉村卓也)との強い"絆"や、一海の憧れのアイドルであり、共に邪悪な敵と戦った大切な仲間の"みーたん"こと石動美空(演:高田夏帆)とのコミカル色の強い恋愛模様を織り交ぜながら、世界征服を狙うテロリスト組織に立ち向かう"仮面ライダー"たちの活躍を描いていく。
『仮面ライダーキバ』(2008年)では仮面ライダーイクサ(後に仮面ライダーダークキバ)に変身する天才バイオリニスト・紅音也を演じ、『仮面ライダービルド』では仮面ライダーグリス/猿渡一海を演じた武田は、自ら"平成仮面ライダーの申し子"というキャッチフレーズを多用するなど、仮面ライダー役に強い愛着とプライドを持ち、"変身"の構えに代表される仮面ライダーとしての"カッコよさ"にこだわる姿勢もあって、ファンから絶大なる支持を集めている。
今回の「武田航平ナイト3」でMCを務めるのは、東映プロデューサーとして大森敬仁氏と共に『仮面ライダービルド』およびスピンオフ作品を手がけた谷中寿成氏。谷中氏は最初に「武田さんから一点、伝言を預かっております。『俺は、キャーキャー言われるために仮面ライダーになったんだ!』ということですので、みなさんキャーキャー言っていただいていいですか?」と、武田の登場時に客席から声が上がるよう、前フリを行った。その直後『仮面ライダーグリス』主題歌「Perfect Triumph」に乗って、出演者が登壇。前フリの効果もあって、客席からは大きな拍手と歓声が巻き起こった。
仮面ライダーグリス/猿渡一海を演じる武田航平は、女性ファンからの黄色い声を浴びてご満悦ではあったが、同時に「カズミン~!」という男性ファンの野太い声を聞いて「俺は男にキャーキャー言われるためにやってねえんだよ! 黙れコノヤロー(笑)!」とあえて毒づいて、笑いを誘った。
旧世界で「みーたん」と名乗ってネットアイドル活動を行い、一海の心をつかんでしまった石動美空役・高田夏帆は「私も"みーたん"の声を聞きたい!」と観客に大きな声援をリクエストした後「みんなのアイドル~、みーたんだよ!」という決めゼリフを放ってまぶしい笑顔を見せた。
情報収集力に長けた美人ジャーナリストで、本作のラストで"衝撃的な展開"を迎えて観客を騒然とさせた滝川紗羽を演じる滝裕可里は、「最後なのでやりたいんですけど……いきますね」と前置きし「すべては『仮面ライダーグリス』のために!」と、旧世界で"難波チルドレン"だったころのセリフをもじりながらポーズを決め、客席を沸かせた。
元格闘家で仮面ライダークローズに変身する万丈龍我役・赤楚衛二は「よろしくお願いしまーす! "負ける気がしねえ!"」と、万丈の決めゼリフをひさびさに、努めてさわやかに発しながら挨拶した。
この舞台挨拶では、冒頭10分が武田航平のインスタライブで生配信されるという「武田航平ナイト」初の試みが行われた。スマホカメラを手にした武田は仲間たちと思い思いのポーズを決め、会場の盛り上がり具合を視聴者に伝えようとしていた。
武田は「武田航平ナイト」の第3弾が実現したことに対して「ありがたいというか、うれしいというか。僕がやってきたこと……というより、みなさんのおかげだと思っています。もっとキャーキャー言っていいんですよ(笑)!」と、応援してくれた大勢のファンの力があってこそ、作品の製作や「武田航平ナイト」が実現したのだと改めて感謝の言葉を述べた。
続いて谷中氏から『仮面ライダーグリス』が「仮面ライダースピンオフ映画」史上で"記録"を達成しそうだ、という話題が振られ、武田が「興行収入が9,500万円を突破したそうです!」と、かつてない好成績を挙げたことを発表。「赤楚くんが主演の『クローズ』も9,000万越えをしているんで、『グリス』と合わせておよそ2億円の興収になるんだよね」と武田が言うと、赤楚は「そのうち、5,000万くらいこっちに入ってこないですかね(笑)」とジョークを飛ばし、これを受けて高田が「そうしたら叙々苑に連れてって!」と笑いを取る場面が見られた。
高田は映画を初めて観たときの感想を訊かれ「まさに"ドルオタドリーム"! 試写室で、あまりの凄い展開に航平さんが鼻血を出していたのが印象的でした」と興奮気味に語った。これを聞いた武田は「僕のとなりでは栄信が感動のあまり涙ぐんでいました」と、カシラと三羽ガラスとの関係性が描かれている本作の"感動"ポイントがあることを強調した。
滝への質問は「本作で、葛城巧役の木山廉彬さんと作品内で初共演した印象」だったが、滝は「木山さんとは現場では何度かお会いしていましたから、今回初共演だというのに気づかなくて、お芝居をしながら"そういえば葛城巧って戦兎の中にいたんだなあ"と改めて感じました」と語り、旧世界では同一人物だった戦兎と葛城が別々に存在している本作の設定を再確認していた。
赤楚は、劇中での戦兎とのコミカルなかけあいについて「ほとんどアドリブで、とにかく暴れまくりました! たとえば……」と劇中での会話を例に挙げようとしたら、武田が「それ、言っちゃいけないやつじゃないの? お前、頭が"万丈"になってるよ(笑)」とあわてて発言を制し"筋肉バカ"と言われた愛すべき万丈のキャラに赤楚が近づいていることを指摘して笑った。
本作のあるシーンで、カメラに向かって演技する高田の目の前に立っていたという武田は、「カメラの上から覗き込んで見ていたんですけど、むちゃくちゃ可愛かったですね! 夏帆ちゃんのふだん見せない顔を見てしまったので、その日からちょっと意識するように……」と、高田の演技について大満足の感想を述べた。
その一方で武田は「この前の舞台挨拶で、高田夏帆的に一海は"アリ寄りのナシ"って言われたし、武田航平も"アリ寄りの、アリ寄りのナシ"だと。結果ナシなのかと……。今日、夏帆ちゃんに会ったとき、なんか"フラレた男"みたいな感覚だった」と、9月7日に行われた公開記念舞台挨拶での高田からの言葉をいまだ引きずっていることを明かした。
ちょっと沈んでしまった武田をなぐさめるべく、高田は「映画の舞台挨拶が何回もあると、話題が被らないようにするのが大変なんですけど、何も言うことがなくなっちゃってどうしよう、どうしようと困っていると、航平さんが『全部、俺に投げてくれたらいいから』って言ってくださったんです! 優しい~!!」と舞台裏での"武田のイイ話"を披露。機嫌を良くした武田が「じゃあ俺の評価が変わった?」と尋ねると、高田は「ナシ寄りのアリになった!」とニッコリ。この評価について武田は「なんかフラれやすいし、都合のいい男みたいになった!」と、まだ微妙さの残るリアクション。そこに赤楚が「でも、地球上で2人だけになったらアリっていうことだよね」と絶妙な助け船を入れ、武田が「そうだ、無人島に行こう!」とどんどん盛り上がってしまい、高田をひたすら困惑させていた。
話題は『ビルド』におけるヒロインの希少性、重要性に移り、武田が「夏帆ちゃんや滝さんと絡むシーンがないと、『ビルド』って男ばかりだからときどき"ヒロインいねえんじゃねえか"って思ったりするよね。まるで男子校にいるような」と言うと、赤楚も「そう思います!」と賛同。武田と赤楚の話を聞いた高田は「むしろ、ヒロインを欲してたんですね! うれしい!」と、自身の存在を男性キャストから求められていたことに感謝する場面が見られた。
本作でグッと"距離"が縮まった紗羽と幻徳の関係にちなみ、滝は「『ビルド』テレビシリーズの第48話、幻さんの"最後"がカッコよく、そして悲しかったことを思い出しながら演じました」と、劇中で2人の親密さをうかがわせるシーンの撮影秘話を語った。滝はさらに「剣星さんが積極的で……、私は『仕事だからやらなきゃ!』と思っていました!」と続けていたが、一体どのようなシーンに仕上がっているのかは、ぜひ『グリス』本編映像をご確認していただきたい。
赤楚から「滝さん的に、幻徳は(恋愛対象として)アリですかナシですか?」と問われた滝は「ナシ寄りの、ナシ寄りの、ナシ」、そして水上については「ナシ寄りの、ちょっとアリ寄りの、すっごくナシ」と微妙なニュアンスで答えて、会場全体を爆笑で包んだ。ちなみに今年結婚したばかりの滝は、水上と「引っ越しとか大変だよね」といった家庭を持つ者同士の話題で盛り上がったと明かし、恋愛対象としてではなく仲間としてとても仲が良いことを改めて強調した。
赤楚に向けられた質問は、「もう一度『グリス』を見返すとき注目してほしいポイントは?」というもの。赤楚は「クローズマグマに変身した際、『力がみなぎる、魂が燃える』という決めゼリフが『クローズ』のときはなくて寂しかったので、今回のアフレコは力を込めて臨みました。ここをぜひとももう一度観ていただけたら」と、クローズマグマのカッコよさを熱烈にアピールした。
テレビシリーズと劇場版、そして2作のスピンオフ作品を生み出した『仮面ライダービルド』を改めてふりかえり、滝は「こんなにも作品を愛してくださる方がたくさんいるんだなというのを感じることができて、この仕事がより好きになるきっかけになった」としみじみ語った。
赤楚は「『仮面ライダーアマゾンズSeason2』を含め、僕の役者人生の半分が『仮面ライダー』なんです。だから"第2の故郷"という感じですね。第1の故郷は名古屋で、第2は大泉学園(東映東京撮影所)。『ビルド』は故郷の思い出、宝物みたいな存在です!」と笑顔を見せつつ話した。
高田は「私にとっての"青春"です。楽しいことばかりじゃなかったけど、今思い返せばみんなと一緒にいた時間のことがよみがえってきて、また"あのとき"に戻りたいな、と思える作品が『ビルド』です」と、目をうるませながら語った。
武田は「何がいいかっていうと、人と人との縁がつながっていくこと。大森さんから『この映画は武田航平への"恩返し"だ』って言ってもらえたのがうれしかった。今までやってきてよかったなという思いと、『ビルド』を通してさらにやっていきたい意欲もわいています。自分がもっと成長していくことで、僕からみなさんにも"恩返し"しなきゃいけないと、強く思います。『ビルド』は自分をさらに高めてくれた存在ですし、これからの役者人生、もっともっと気合い入れて頑張ろうと"再確認"させられた作品です!」と、力強いまなざしで未来を見つめながら『ビルド』という存在の重みをかみしめるようにコメントした。
フォトセッションの後、マイクを握った武田は「僕たちはみなさんに応援していただくことで、役者として、仮面ライダーとして、人生を歩むことができます。これからもずっと、みなさんとの関係が続くように、それぞれ精進していきたいと思っています。これからも末永く『仮面ライダー』をよろしくお願いします! ありがとうございました!」と、仮面ライダーを愛してくれるファンたちに今一度感謝すると共に、平成から令和へと時代が変わっても、仮面ライダーシリーズを変わらず愛し続け、応援してほしいと呼びかけ「武田航平ナイト3」を見事にしめくくった。
イベント終わりには、武田、高田、滝、赤楚がステージから降り、客席のファンたちとハイタッチをする光景が見られた。
Vシネクスト『仮面ライダーグリス』は全国劇場にて期間限定公開中。11月27日には、東映ビデオからBlu-ray&DVDが発売される。
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