レナウンと育て上げネットは9月13日より、「Wear For The Future」を開始しました。この取り組みは、育て上げネットに登録する、就職活動中の若年無業者(ニート・ひきこもりら)に対してスーツを無料提供するそうです。プロジェクトの詳細を聞いてきたので、紹介します。
若年層の就業をサステイナブルに支援
レナウン 執行役員 マーケティング&コミュニケーション統括部長兼UX事業部長の中川智博さんは「『Wear For The Future』では、『着ルダケ』の利用終了後に回収したスーツから、就職活動に役立つブラックスーツをNPO法人『育て上げネット』に寄付します」と話します。
着ルダケとは、同社が2018年3月より始めた月額4,800円~(税別)の「スーツのレンタルサービス」。2年単位のサービスで、半年ごとに1年目の商品をクリーニングし、衣替え時までレナウンが保管・メンテナンスして、2年目に再度配送します。
そして、継続2年ごとに新品商品と交換し、使用済み分は同社が引き取るのです。
その引き取った中古スーツを、今回のプロジェクトで有効活用するといいます。また、返却したスーツで就活に向かないものは「FCP(FASHION CHARITY PROJECT)」でチャリティ販売し、その売上金も育て上げネットへ寄付することも開始するそう。
内閣府による「平成30版 子供・若者白書」によると、15~39歳の若者71万人が「働きたくても働けない」なか、今回の取り組みで「働きたいけれどスーツを持っていない」若年無業者や就職活動中に悩む学生を持続的に支援・応援できると中川さんは説明します。
20歳前後も増える無業者
育て上げネットは「すべての若者が社会的所属を獲得し、『働く』と『働き続ける』を実現できる社会を目指す」組織で、理事長の工藤啓さんは次のように話します。
工藤さん「(育て上げネットに)登録した就業希望者の方へスーツを『お貸し』する形を取り、仕事が決まったら返却してもらう仕組みとします。だいたい1年間で半数程度の方が、就業しています」。
登録者は20代後半が多いですが、最近は20歳前後も増えてきているそうです。
工藤さん「今までもスーツの個人寄付などありましたが、状態(着用感)やサイズのばらつきが大きかったのが課題でした」。
今回の取り組みにより、その課題を解消できますと工藤さんは言います。また、レナウンにとっても、着ルダケで利用された中古スーツの新たな活用や、サービスを知ってもらう良い機会ととらえているようです。
実際に着てみた
着ルダケで利用できるスーツも用意されていたので、一緒にいた営業ウド君(仮名)に着てもらいました。
ちなみに彼は身長190超えのスポーツマンですが、仕事帰りに泥酔し、転んで頭を強打し入院! しかしゾンビのような生命力で、何事もなく職場復帰してバリバリ働くタフガイ。すごいよ、ウド!
そんな強靭な肉体を持つウド君、さすがにサイズが無いかな? と思ったけど、着るダケではスーツを縦4サイズ、横4サイズの合計16サイズで展開しているので、まったく問題ないそう。なお、今回はジャケットだけ借りています。
ちょっと袖丈が短いようですが、それ以外は大丈夫みたい。しかし、モデルのように着こなしてますね! 裏山すぎる。
また生地の質感も見てみましたが、手触りも良く、ウド君も「このまま着て帰りたいですねー」とご満悦でした。
若年層の就業問題は本人だけの問題ではなく、日本全体の問題。就労者の働き方改革による生産性向上も大切ですが、若者に雇用機会が無いと労働生産性そのものが減少します。今回の取り組みで、若者の「働く機会」が少しでも増えていけば良いですね。