フランスのシャンパンブランドとして知られるヴーヴ・クリコは9月12日、「ヴーヴ・クリコ ビジネスウーマン アワード 2019」の表彰式を都内で行った。稀代のビジネスウーマン、マダム・クリコに敬意を表して行われている本アワードは、独自の視点で審査したビジネスウーマンを選出し、女性リーダーの“ロールメーカー”を探し出すことを目的としている。

  • 「ヴーヴ・クリコ ビジネスウーマン アワード 2019」表彰式の様子

マダム・クリコの精神を持つ女性リーダーを表彰

国内ではMHD モエ ヘネシー ディアジオが取り扱っている「ヴーヴ・クリコ」は、革新を続けるフランスのシャンパーニュメゾン。「ヴーヴ・クリコ ビジネスウーマン アワード」は、ヴーヴ・クリコをたぐい稀なる才能で発展させた女性、マダム・クリコ(1777~1866年)の革新的精神を称えるべく、1972年に創設されたものだ。

代表取締役のジャン=マルク・ギャロ氏は「日本でビジネスウーマン アワードを開催し、2人のすばらしい女性に賞を差し上げることができて非常に光栄に思います。このセレモニーは女性の起業家精神(アントレプレナーシップ)を表彰するものです」と表彰式のあいさつを行った。

  • ヴーヴ・クリコ 代表取締役 ジャン=マルク・ギャロ 氏

「ヴーヴ・クリコ ビジネスウーマン アワード」はこれまで、世界中で数多くの女性リーダーを表彰してきており、日本での独自開催が始まってからは今回で2度目の表彰となる。

医療と人工知能(AI)の先駆者2名が受賞

マダム・クリコの革新性を体現する「ビジネスウーマン アワード」、今後のさらなる活躍が期待される「ニュージェネレーション アワード」があり、8名の審査員によってそれぞれ1名が選出される。

ビジネスウーマン アワードを受賞したのは、株式会社メディヴァ 代表取締役の大石佳能子氏。メディヴァは、トータル・ヘルスケア・コンサルティング企業。病院やクリニックの開業・運営・再生支援、在宅医療や地域包括ケアシステム、介護施設および介護サービスなどの構築、運営支援など、患者視点の医療変革を目指した活動を行っている。

「医療界は根が深い様々な問題を抱えており、やった方が良いことをなかなか実現できない、そんな業界です。紙の上で『こうやるべき』と議論をしても何も変わらないので、自分たちで実現しようと思いました。こうすれば患者さんも喜びますし、医療職の人も働きやすくなります。うまくいかなかったとしても失敗を体験し、失敗例を見せることで物事が変わっていくと思って、20年前にメディヴァを作りました」(大石 氏)

  • 株式会社メディヴァ 代表取締役 大石佳能子 氏

ニュージェネレーション アワードを受賞したのは、株式会社シナモン 代表取締役CEOの平野未来氏。シナモンは、ホワイトカラーの生産性を向上させるための人工知能(AI)を提供しているスタートアップ企業。日常的に発生する無駄な作業を減らし、創造性あふれる仕事に集中できる世界を目指して活動している。

「人工知能事業を始めたきっかけは家族です。私自身2児の母親なのですが、今の日本人は、働きすぎで家族と一緒に過ごせなかったり、精神疾患や過労死に至ってしまったりと悲しい事件が起こっております。子どもが大きくなった時に今の日本人の働き方が残っているような社会にしてはいけないなと思いました。これは私たちの世代のミッションだと考えています」(平野 氏)

  • 株式会社シナモン 代表取締役CEO 平野未来 氏

ウーマン・アントレプレナーシップ・バロメータの発表も

表彰式では、ヴーヴ・クリコによる女性活躍推進の国際的指標「ウーマン・アントレプレナーシップ・バロメータ」についても発表された。これは女性が起業を志すにあたり精神的、構造的にどのような障壁があるかを調査し、それを超えるために何が必要かを明らかにするものだ。第1ラウンドで日本を含む5ヶ国で実施され、本年末までにさらに10ヶ国で調査を行うという。

ヴーヴ・クリコのキャロル・ビルデ氏は、日本での調査を振り返り「日本における女性の起業家精神はまだまだ伸びる余地がありますが、そのような気持ちを持つ女性は9%にすぎません。また精神的、文化的な障壁があり、日本の女性は自信のレベルが低いことが分かりました。ですが調査の結果、心の中では25%が起業家になってみたいという気持ちを持っており、20代に限ると33%にまでアップするのです」と、これからの日本女性の活躍に思いを寄せた。

  • ヴーヴ・クリコ インターナショナルコミュニケーション&マーケティングディレクター キャロル・ビルデ 氏

この「ウーマン・アントレプレナーシップ・バロメータ」の調査内容はすべて公開されており、だれでも閲覧が可能。状況は変化しているものの、いまだ女性の起業には多くの障壁が残っている。日本においてロールモデルとなる女性起業家がさらに誕生し、多くの女性を導くロールメーカーとなることを期待したい。

  • 2018年に同アワードを受賞したキュレーターの長谷川祐子氏も2人に賛辞を贈る