9月11日、新しいiPhone「iPhone 11」シリーズが登場しました。新プロセッサ「A13 Bionic」、超広角レンズの搭載やナイトモードを新設したカメラ機能、強化された耐水性能、などなど新機能も目白押し。これらの要素は、我々の生活をどう「再定義」するのでしょうか。スマートフォン業界に詳しいライター諸氏に、新しいiPhoneの見どころを語ってもらいました。今回はライター・コラムニストの小口覺氏による注目ポイントです。

  • iPhone 11 Proの実機

    iPhone 11 Proの実機


もう今回は価格が最大のニュースなんじゃない?

iPhone 11の機能は事前にかなりリークされていましたよね。なので、「ふーん」という気分で、発表の2週間ほど前にiPhone XRを買ってしまいました。総務省の指導もあるし、新機種も含めて端末は安くならないだろう。むしろ新機種発表前の今が買い! という判断だったのですが、大失敗でした。

フタを開けてみれば、64GBモデル74,800円、128GBモデル79,800円、256GBモデル90,800円(すべて税別・以下同様)とXRから1万円以上値下げ。米国では500ドルの値下げなので、円高傾向も反映された価格でしょう。

  • iPhone 11の価格。高額化が予想されたものの、フタを開けてみればお手頃なんですが

さらに、iPhone XRは価格改定されて、64GBモデルが64,800円と従来から2万円マイナス、128GBモデルが69,800円と2万1,000円マイナス。ワタシが買ったのは128GBモデルでもう大敗北。もう悔しいから進化した機能とか書きたくない。実機レビューを読んでください(カメラについてだけ後で書きます)。

  • こちらはiPhone XRの9月15日時点の価格。さ、下がってる~~~~!!

予想より安いとなれば、上位機種のiPhone 11 Proにも目が行きますよ。11 Proの128GBモデルが122,800円で、まぁ買えない値段じゃない(iPhone X以降の高価格に麻痺させられているのかもしれませんが)。

3眼カメラのデザインは皆さんボロクソ言われてますが、時間が経てば“ダサかわいい”アイコンとして受け入れられるのではないでしょうか。慣れるんですよ、たいていのデザインは。最初の発表時に叩かれたノッチ(切り欠き)だって、いまは何も言われません。Appleのデザイン陣が正しかったのか、単に慣れる人の習性のどちらなのかは、ちょっとわからないですが……。

消費税も上がるし、我々のような庶民はお値段を気にする必要がありますからね。安いのがいいならAndroid端末にしたらいい、という意見もあるでしょうが、慣れ親しんだiPhoneを使いたいというのもまた大衆的行動なのであります。

そうそう、9月中に購入できれば税率8%で済むわけですよね。買う人は予約(13日から開始)急いだ方がいいですね。

  • iPhone 11 Proの価格は税別106,800円から。正直アリです

超広角より望遠がほしい人も多いハズ

価格だけでなく、もちろんカメラも進化。ある意味一番目立つポイントです。iPhone 11はリアカメラが広角+超広角の「デュアルカメラ」となりました。ダイナミックな風景写真とか、屋内での集合写真にはサイコーでしょう。ちょっとリア充向きな感じしますけどね。

カメラについては、中望遠が使える11 Proに惹かれます。広角12MP+超広角12MP+望遠12MPの「トリプルカメラ」で、Appleの言う“望遠”は35mm換算で52mm相当。それって標準レンズじゃんと思われるかもしれませんが、ワンタップで切り替えられるのは便利。ライターとしては発表会でのスライドの撮影や製品などの撮影に重宝しそうです。

超広角は、どちらかというとインカメラにほしいですね(iPhone 11シリーズのインカメラ、今回やや広角になったという噂もありますが)。自撮りでなるべく背景入れたいじゃないですか。自撮り棒も、今どきはあまり見かけなくなったし。インカメラを超広角にしてもらって、必要に応じてデジタルズームするのがよさそうです。しかし、リアの超広角カメラを自分に向ければ、画面を見なくても撮れそうな気もしますね(笑)。ちなみに、インカメラは700万画素から1200万画素に向上。これもうれしいポイントです。

望遠がほしいなら素直にiPhone 11 Pro買えって話かもしれません。しかし、日本仕様のシャッター音「パッシャー!」がちょっと使いにくくて(Appleのせいじゃないですが)。価格的にも高級コンデジ買えますしね。悩むところです。

“お求めやすい価格”でiPhone離れを回避

すべての面でXRから進化したiPhone 11。しかし、「値段が高くなりました」じゃ、日本人のiPhone離れも始まってしまう。今回は事前に噂されていたような高い価格でなく、“iPhone離れ”を回避できたのではないでしょうか。とはいえ、昔のようにMNPで0円とか、機種変でも実質1万円で購入できる時代じゃないので、長く使うのであれば、機種選定はより慎重にすべきでしょう。

使い続けることで影響が出るのはストレージ容量で、もしiPhone 11を購入予定なら、余裕を持たせておくに越したことはないです。動画を撮りまくるのでなければ、128GBがベターかな。

そうそう、私が「iPhone 11を買うか」というと、最初に書いたようにXR買っちゃってますから、今のところ予定ナシです。ああ、妻が「そろそろiPhone SEから買い替えたい」と言ってるので、妻にXRを譲って11を買う、というのはアリかもしれません。

著者プロフィール
小口覺(おぐちさとる)

小口覺

雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆などを手がけるライター・コラムニスト。自慢できる家電「ドヤ家電」の生みの親。近年は意識低い系マーケティングをテーマに企業取材も。台湾好き、酒好き。著書に「ちょいバカ戦略: 意識低い系マーケティングのすすめ」(新潮社刊)など。