鉄道博物館(さいたま市)は14日から、秋の企画展「走るレストラン ~食堂車の物語~」を開催する。約120年前にさかのぼる食堂車の歴史と変遷を数々の資料とともに展示するほか、レストランでは1938(昭和13)年当時の食堂車のメニューをイメージした料理を提供する。

  • 企画展「走るレストラン~食堂車の物語~」ポスター

日本の食堂車の歴史は1899(明治32)年、当時の山陽鉄道が京都~三田尻(現・防府)間に食堂車を連結したことに始まる。当時はおもに富裕層や上流階級が利用し、メニューも洋食のみだったが、後に和食も提供されるようになり、庶民の利用も増えたという。

今回の特別展では、時代の波によってさまざまな影響を受けながら、形を変えつつ生き残ってきた食堂車の歴史をわかりやすいイラストキャプションと貴重な写真の数々で紹介する。車内放送がなかった時代、食堂車のPRとして配布された約100枚のチラシの実物や、1950年代の食堂車で使用されていた「石炭レンジ」の実物も展示される。

「あさかぜ」の食堂車で働くスタッフのドキュメンタリー映像も毎日2回放映。会期中の土休日には、企画展の見どころを展示解説員が案内するガイドツアーも実施する。

  • 進駐軍専用列車の食堂車内(1950年代前半、提供:沼本忠次)

  • 特急「へいわ」の復活により食堂車が約5年ぶりに営業を再開(1949年)

  • 特急「こだま」ビュッフェの様子(1960年)

  • 混雑する20系「あさかぜ」の食堂車(1958年頃)

期間中の11月23日と1月11日には、2009年から「北斗星」「カシオペア」の食堂車で提供されていた洋食を監修していた五十嵐総料理長と鉄道博物館学芸員によるトークショーを開催。本館2階「トレインレストラン日本食堂」では期間中、1938年当時の食堂車昼食メニューの中で最も高価だった「洋食定食」を現代の素材でよみがえらせて提供する(税別3,000円)。会期は2020年1月19日までとなっている。