国土交通省は各鉄軌道事業者から認可申請のあった、10月1日に予定されている消費税率引上げに伴う旅客運賃等の上限の変更について、9月5日付で申請の通り認可したと発表した。あわせて5月10日付でJR北海道から申請のあった旅客運賃・料金の上限変更についても、7月25日に運輸審議会から「認可することが適当である」と答申が出されたため、認可したと発表した。
消費税率の引上げに伴う鉄軌道事業の旅客運賃等の上限変更については、消費税が消費一般に広く負担を求める税であり、最終的には消費者が負担するものであることから、その引上げにあたり、旅客運賃等(鉄道事業法第16条第1項及び軌道法第11条第1項)の変更により、円滑かつ適正な転嫁を行うことを原則としている。
具体的には、事業全体として108分の110以内の増収であることを前提として、より正確な転嫁を可能とする1円単位の運賃を認めるとともに、利用者から見た運賃等のわかりやすさにも配慮することとしてる。
旅客運賃等の上限変更認可申請の概要は、JR北海道を除くJR各社の改定率合計が1.850~1.852%、大手民鉄各社が1.851~1.852%などとなっている。
JR北海道に関しては、営業損益で520億円の赤字、経営安定基金運用益を充ててもなお、198億円もの経常赤字となっているなど、きわめて厳しい経営状況(平成30年度決算)であり、一方で、引き続き列車運行の安全確保のための設備投資や修繕費の確保が必須な状況にある。
今後、利用が少なく鉄道を持続的に維持するしくみの構築が必要な線区の維持や、鉄道の競争力を維持するための輸送サービス改善など、利便性の維持向上のため、JR北海道の徹底した経営努力を前提に関係者からの支援を受けつつ、10月の消費税改定と合わせて40億円規模の運賃改定を行う。
具体的な変更内容は、普通旅客運賃および定期旅客運賃ともに約1.1~1.3倍の値上げを行い、初乗り運賃を170円から200円に改定。運賃に加え、料金の改定を行うことは過重な負担となること、都市間輸送はバス等との競争が厳しいことも踏まえ、改定は消費税率転嫁分のみとする。
新千歳空港~札幌間の運賃は、現行で1,070円(普通運賃930円+加算運賃140円)のところ、新千歳空港~南千歳間の鉄道施設の設備投資資金の回収が進んだため、改定案では加算運賃を140円から20円に減額し、1,150円(普通運賃1,130円+加算運賃20円)とする。
いずれの料金改定も、実施予定日は10月1日とされている。