再開発により、目まぐるしく街の形が変わりつつある東京・渋谷。その象徴ともいえるJR渋谷駅に直結する「渋谷スクランブルスクエア」が、いよいよ2019年11月1日に開業する。一体、どんな店舗が入るのだろうか? 本稿では9日に開催された先行取材会の模様をお伝えしていこう。
渋谷スクランブルスクエアは、渋谷駅に直結する地上47階建ての大型複合施設。地下2階~14階が商業エリアとなっている。ちなみに14階・45階・46階・屋上には展望施設「SHIBUYA SKY」が、15階には産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」が入り、17階~45階はオフィスという構成だ。
手ごねパイconeri
1Fのecute EDITION内に入るのは、洋菓子/パイ菓子のconeri(コネリ)。うなぎパイの春華堂が渋谷エリアに初めて立ち上げた手ごねパイ専門店で、11月1日にビルの開業にあわせてオープンする。いくつか主力商品を試食させてもらった。
サクサクのスティックパイで、口に入れると滑らかに溶ける。なるほどプレーン味の「オリジナル」は、うなぎパイの懐かしい味がした。すこし温めても美味だという「大学芋」「メープル」「米粉×こねり粉」など、coneri渋谷の限定商品も美味しい。どれも味が個性的で、「もう1本食べたい」と、ついつい後を引く。販売員は「ディップにつけて食べても美味しく召し上がれます。甘いもの、しょっぱいものなど50種類以上の組み合わせが楽しめます」と紹介した。
贈答用として10個入りの箱(700円)で販売するほか、テイクアウト用に量り売りもする予定。オフィスの入る渋谷スクランブルスクエアとあり、仕事の合間のおやつとしての需要にも期待しているようだ。
パリ店の味そのままに
B2F東急フードショーエッジ内にベーカリーとして入るのは、ティエリー マルクス ラ ブーランジェリー。世界的に有名なティエリー・マルクス氏の監修のもと、フランスのパリ店で人気の看板商品「ブリオッシュ・フィユテ」が、レシピそのままに渋谷店で再現される。新宿中村屋が運営を任された。
店長を務める大竹啓太氏は「ティエリーさんは、やってみなはれの精神を持っている方。ブリオッシュ・フィユテは素材から製法まで、こだわりが詰まった商品ですが、それでもティエリーさんは『レシピをあげるから日本の水、気候、小麦に最適な形で表現してほしい』と中村屋に任せてくれたんです」と明かす。
実際にブリオッシュ・フィユテを試食した。周りはカリッとした食感で、中はフワフワ。中村屋オリジナルの発酵バターの効果だろうか、しっとり感が残っている。大竹氏は「上質な素材を沢山使っています。クセがないので、お土産にも喜ばれると思います。店舗では一日に2~3回くらい焼き、できるだけ売り切れないようにしていきたいと思っています」と話していた。
なお、店頭ではこのほかにも60~70種類の商品を販売していく。フランスの伝統的なバケットやカンパーニュを置く傍らに、ブーランジェリーに調和するよう特別仕様でつくった中村屋のカレーパンなども置く方針だという。
日本の伝統文化を世界へ
10Fにカフェ / 日本茶として入るocha room ashita ITOEN(オチャルーム アシタ イトウエン)は、緑茶と料理が楽しめるイートインスペース。伊藤園広報部の山口愛一郎氏は「普段、皆さんが口にしているのはペットボトルのお茶です。急須の味を知る若い人が減ってきました。また、海外でティーといえば紅茶のこと。外国にも、緑茶の伸びしろがまだあります。若い人や外国人が多く訪れるここ渋谷の一等地で、お茶の文化を発信していけたらと思っています」と説明する。
カフェでは、こだわりのお茶を使用したラテのほか、スイーツやフード類も用意。希少価値の高いお茶 × 様々な茶器の組み合わせで提供するだけでなく、「ときにはお客様がお茶を点てる体験も提供できたら」(山口氏)とのことだった。
同じく『日本の伝統文化を国内外に発信する』という熱い想いを持って11Fに入るのが、中川政七商店。創業300年の老舗が、渋谷スクランブルスクエアに130坪を超えるスペースを構えた。担当者は「国内最大の規模。ここを旗艦店にします」と説明する。
店内には長く愛される定番商品のほか、全国の産地でつくられている「いま」の工芸品が約4,000点揃うというから楽しみだ。先行取材会には、金沢県 中島めんやでつくった「張子飾りの渋谷犬」(4,180円。渋谷スクランブルスクエア限定、以下同)、「渋谷犬みくじ」(495円)、奈良特産のかや織を使った「かや織ふきん 渋谷スクランブル交差点」(440円)、奈良の靴下工場とコラボした「渋谷スクランブルしめつけないくつした」(1,430円)などを展示していた。
パリ7区のモンブランが逆輸入
これ以外の店舗についても簡単に紹介していこう。
1F東急フードショーエッジ内に、パリ7区のパティスリーMORI YOSHIDA(モリ ヨシダ)が入った。42歳のオーナーパティシエ・吉田守秀氏の代名詞ともいえるのが、ドレープのように絞られたクレームモンブラン。立ち寄った際には、ぜひ食べてみたい。なお、ターゲット層は50代男性としている。
惣菜 / ハワイデリのPeace Cafe Hawaiiは、ハワイで大人気のヴィーガンカフェ。日本初上陸となる同店舗では、100% 食物由来のデリやスムージーなどが楽しめる。洋菓子 / チョコレートのc7h8n4o2(チョコガカリ)は、チョコレート好きにはたまらないセレクトショップ。初の実店舗として1F東急フードショーエッジ内に入る。同じエリアには、洋菓子 / アップルスイーツのapple & roses。マカロンサイズのプティどら焼き「プティドラ」(1,250円)が人気を集めそう。
ファッション、雑貨、化粧品、宝飾品など他のフロアも充実している。これぞ定番、と呼べるものを世界中から集めているTHE SHOPも8Fに旗艦店を設けた。デイバックのスタンダードEASTPAKとコラボした「THEDAY PACK」、デンマーク王室御用達のカトラリー工場とつくる「THE カトラリー」など、豊富なアイテムを用意。会場には、最高グレードのチタニウムを使った8段変速の「THE MONSTER SPEC BIKE "ALLROUNDER"」が展示されていた。究極の町乗り自転車、お値段はなんと70万円とのことだ。
※価格は全て税別