新しいiPhoneが間もなく姿を現します。デザインや機能、装備がどう変わるのか期待がふくらみますが、すでに約束されている変化が「新OSのiOS 13でプライバシー保護の機能が強力になり、より安心してインターネットやアプリ、SNSが使えるようになる」ということ。新iPhoneでどのような変化がもたらされるのか、改めておさらいしたいと思います。
アプリに対する位置情報の保護機能を強化
9月11日の午前2時(日本時間)にスペシャルイベントを開催するアップル。例年通り、新しいiPhoneがお披露目されることになります。新iPhoneのハードウエアがどう変わるのかは現時点では明らかになっていませんが、新OSのiOS 13は6月に米国で開かれた「WWDC 2019」にて新機能や改良点がすでに発表されています。
新OSで特にアップルが重視しているのが「プライバシー保護」。アップルのプライバシー保護の姿勢は明確で、アップルの担当者は「ユーザーのプライバシーを犠牲にして商売することは許しません。『インターネットのサービスやコンテンツの利用にお金を払わずに済むならば、プライバシーをある程度犠牲にするのは仕方ない』と考えている人は多いでしょう。しかし、アップルはそれには同感できません。プライバシーを守りながらでも、最善のサービスを提供することはできるのです」と語ります。
まず、アップルがiOS 13で取り組むのが位置情報の保護です。「位置情報は、多くの人が考えている以上にセンシティブなもの。訪れた場所や時間、曜日、回数、滞在時間などの情報を分析すれば、スマホを使っている人がどこに住んでいるのか、勤務地や学校はどこなのか、どのような病気に悩んでいるのかが丸見えになってしまいます。残念ながら、一部のアプリで位置情報の悪用が目立っていることが分かりましたので、iOS 13では位置情報を取得しようとする際の通知を強化しました」と語ります。
iOS 13での改良点が、位置情報の使用許可に「次回確認」(Ask Next Time)という選択肢を新たに追加したこと。アプリが位置情報を取得しようとするたびに表示されるので、意図しない位置情報の取得があったことが把握でき、不要な位置情報の漏洩が防げるわけです。
プライバシー重視のソーシャルログイン「Sign in with Apple」
iOS 13で追加されるプライバシー保護の新機能の1つが「Sign in with Apple」です。さまざまなWebのサービスやアプリを利用する際、いちいちユーザー登録をせずにSNSなどのログイン情報でログインできる「ソーシャルログイン」が普及していますが、そのアップル版というべき存在です。
GoogleやFacebookに負けじと、アップルもソーシャルログインに参入した…という単純な理由で作ったわけではありません。ほかのソーシャルログインで狙われるユーザーのプライバシー情報を犠牲にすることなく、安心してログインできるようにしたのが特徴です。
多くのソーシャルログインは、ユーザーの名前やメールアドレス、誕生日、居住地など、自社が持っている情報をログインするサービスの会社に渡していることがほとんど。つまり、ユーザーは面倒な会員登録の作業が省ける代わりに、大事な個人情報を差し出しているわけです。プライバシーを売り物にするのをヨシとしないアップルがこの状況を看過するわけにはいかず、満を持してApple IDでログインできるソーシャルログインを作ったわけです。
Sign in with Appleを使ってログインする際、誕生日や居住地などのプライバシー情報は渡さないだけでなく、希望すれば名前やメールアドレスを伏せてログインすることも可能なのがポイント。その場合、メールアドレスはログインのためにランダムで作られたものを使うため、そのアドレス宛てのメールをブロックすればそれ以降はメールを受信せずに済みます。
耳寄りなのが、Sign in with Appleはクロスプラットフォームに対応していること。アプリだけでなくWebサイトでも使えるので、AndroidスマートフォンやWindowsパソコンなどアップル以外のデバイスでも利用できます。