JR西日本グループと大阪大学はこのほど、「ついやってみたくなる仕掛け」を駅構内に施すことで、エスカレーター利用者を減らし、階段利用者を増やすことができたとする実証実験の結果を発表した。

  • 実験実施時の様子。投票を呼びかけるサインを通路などに設置した

実証実験は7月末から8月初頭にかけてJR大阪駅で実施。「大阪環状線総選挙」と称し、大阪駅御堂筋口から大阪環状線ホーム下の上り用階段に至るまで、通路や壁面に「アフター5に行くならどっち?」と書いたサインを設置。上り階段の右側に赤く色を付けて「天満派」、左側は青色として「福島派」と表示した。

週末特有の人の流れや花火大会の影響などを除外する統計処理を行った上で、通常時と比較したところ、「大阪環状線総選挙」期間中は階段利用者が1日あたり1,342人増加したことが推計できたという。通常時の階段利用者数は1日平均1万9,000人程度であるため、階段に誘導する「仕掛け」が通行者の約7%に影響を与えたことになる。

  • 階段の左右を「天満派」「福島派」に色分けした

  • 通行者は階段の左右を歩くことで、投票に参加するしくみに

JR西日本グループと大阪大学は今回の実験を通じ、時間・曜日・気温などによる階段・エスカレーターの利用状況の違いや、条件による階段の左右の通行量の違いが明らかになったと分析。今後はこれらの法則を明らかにし、新たな「仕掛け」の開発や、駅の施設整備・案内表示改善に役立てていきたいとしている。