近年、Amazonで大きな問題となっているのが、製品のステマレビューだ。俗にサクラと呼ばれる不正なレビュアーの大量投稿により、評価が大きく書き換えられ、ショッピングサイトとしてのAmazonの評価を大きく貶める原因になりつつある。特に日本のAmazonは、こうした不正レビュアーの対策が追いついておらず、AmazonからほかのECサイトへの“転出”を公言する人も少なくない。

こうした場合に役立つのが、Amazonで売られている製品のURLを入力することで、レビューの信頼性を判定してくれるサービスやアプリだ。海外ではかねてから「Fakespot」などの著名サイトが存在していたが、今年に入って日本向けのサービスやアプリが複数登場。また一部の海外サイトが日本のAmazon.co.jpにも対応し、一気に選択肢が増加した。

これらサービスは、対策されるのを防ぐためロジックを非公開にしているケースと、逆に詳細な理由を開示しているケースとに分かれるが、前者は何らかの誤判定があってもユーザの側からは把握できず、また後者は不正レビュアー側で対策されやすい。それゆえ複数を使ってクロスチェックすれば、より信頼性は向上する。

実際、今回紹介する3つのサービス・アプリで同じ製品をチェックした場合、まったくかけ離れた判定結果が表示されることもしばしば。いずれのサービスやアプリもURLを入力するだけで手軽に使えるが、念を入れるのであれば、2つ以上のサービスやアプリを用いてクロスチェックを行うとよいだろう。

信用度を7段階で表示「レビュー探偵」

レビュー探偵」は国産のアプリで、現時点ではAndroid版のみリリースされている。まず最初に内蔵ブラウザで対象製品を検索し、見つかったら「調査開始」ボタンを押すことでチェックが実行される。対象製品のURLを直接貼り付けることも可能だが、スマホ上でのコピペの手間を考慮すると、実質的に内蔵ブラウザでの検索一択と言っていい。

診断結果は「S(かなり信頼してよさそう)」から「F(最も疑わしい)」までレビューの信用度が7段階で表示されるとともに、修正後のスコアも表示される。評価ロジックは非公開だが、作者氏によるとリリース段階で「少なくとも数十のロジックによるフィルターを実装」しているとのことで、製品によってはスコアが4点台から1点台まで下がるなど、かなりダイナミックに変化するのが特徴。判定結果を画像でシェアする機能も備える。

  • レビュー探偵

低評価の理由もズバリ開示「サクラチェッカー」

サクラチェッカー」も国産かつ、ウェブサービスとして提供されている。ブラウザ上で本サービスのトップページを開いて対象製品のURLを貼り付け、「Go」ボタンを押してチェックを実行することで、修正後のスコアとともに、注意度数が「サクラ度」としてパーセンテージで表示される。手動でURLをコピペしなくてはならず手間はややかかる印象だが、PCからの利用であれば特に問題はない。

最大の特徴は詳細なロジックが公開されていることで、「商品説明文に怪しい日本語」「レビュー日にやや偏り」「高評価・低評価に2極化」「日本人名レビュアーが10%以上存在」など、評価を下げた要因がカテゴリごとに列挙される。また注意喚起レビュー、サクラによるものと思しき低評価レビューの例にもリンクされるので、自分の目で判断するのにも役立つ。将来的にはAmazonだけでなく、楽天やYahooショッピングにも対応予定としている。

  • サクラチェッカー

判定基準も教えてくれる老舗サービス「ReviewMeta.com」

ReviewMeta.com」は、2016年から運営されている海外の老舗ウェブサービス。アプリ版や拡張機能も用意されているが、ウェブサービス版はAmazon.co.jpを含む世界各国のAmazonに対応している。インターフェイスはすべて英語だが、不自然なレビューを取り除いた調整後のスコアの表示だけであれば、英語が苦手でも利用に支障はない。

細かな判定基準が公開されており、「多くのレビューが同日に大量に作成されている」「レビュアーがこの製品しか評価していない」「ワード数が統計的に偏っている」などの具体的な問題点がレポートとして発行される。ただし海外サービスゆえ、日本語表現が怪しいなど日本特有の問題はチェックされた形跡がなく、そのせいか前述の2サービスに比べ、修正後のスコアはややおとなしい印象だ。

  • ReviewMeta.com