IFA2019に出展しているLGエレクトロニクス、今年は同社のスマート・IoT家電製品と「AI・5Gテクノロジーとの融合」をテーマに掲げています。ブースの一般公開に先立って行われたプレスカンファレンスでは、戦略を象徴するふたつのコンセプトモデルがプレジデント兼CTOのI.P・Park博士により紹介されました。
LGの次世代スマート家電はAI&5G対応。高速プロセッサも開発中
製品のひとつは「VISION PACK」と呼ばれるもので、スチームウォッシュ&ドライホームクリーニング機「LG Styler」に後付けできるスマート家電として商品化が計画されているコンセプトモデルです。
本体には複数のセンサーが内蔵されており、LG Stylerの中に取り付けることによって、これからクリーニングする衣類の材質や色などを自動的に識別。クラウドデータベースと連携して最適なクリーニングコースを自動的に設定してくれるというものです。センシングとディープラーニングの技術、IoTデバイス向けの通信技術を応用した商品化が計画されています。
もうひとつの製品「LG ThinQ Fit」は、ユーザーの体型を瞬時にキャプチャーして、衣類のフィッティングが手軽にシミュレーションできるスマートミラーのコンセプトモデルです。
本体に内蔵するカメラは、服を着たままでも正確に体型をスキャニングできるのが特徴。画面にアバターを表示しながら服を試着させてコーディネートが確認できるだけでなく、「Fit Map」と呼ぶ機能によって、体型に合わないサイズを選んだ時に身体のどの部分が窮屈か、またはルースフィットになってしまうのかを色分けしながら画面に表示してくれます。Park氏は「ショッピングに手間をかけたくないという方に最適です。逆に、自分にあう服をじっくり選びたいというモチベーションも高まるはず。社会全体のエコロジー化にも貢献したい」と、本機の商品化に前向きに取り組む意欲をアピールしました。
それぞれのコンセプトモデルには、必要とするデータ処理を機敏にこなすため、これからLGがパートナーとともに開発を進めるスマート家電向けの高性能SoCを搭載する計画があるそうです。カンファレンスのトークセッションには、欧州クアルコムのテクノロジー部門VPのDino Flore氏も登壇し、「5Gのモバイル端末の普及についても密接なパートナーシップを組んでいるLGエレクトロニクスと、スマート家電における新たな挑戦を積極的に進めていきたい」と意欲を示していました。
テレビは8Kのラインナップを強化。欧州でも“巻き取りOLED”を発売予定
9月5日には一般公開に先駆けて、LGエレクトロニクスのブースがプレス関係者に公開されました。
会場の入口では、今年のCES2019でも旋風を巻き起こした“巻き取り式有機ELディスプレイ”を搭載した4K/HDR対応の65インチテレビ「R9」シリーズが来場者を出迎えます。本機の商品化は、年内までに韓国と北米で始まる予定であることが明らかにされました。その後、欧州の数カ国で発売を予定しているそうです。
同じくCES2019で発表された88型の8Kテレビも、欧州では年内に商品として発売を予定していることが明らかにされました。フラグシップモデルという位置づけで、ThinQ/Googleアシスタント/Alexaの各AIアシスタントによるボイスコントロールに対応するほか、アップルのAirPlay 2/HomeKitもサポートします。
8Kテレビは、液晶ディスプレイを搭載するフラグシップの“Nano Cell”シリーズがIFAで発表されました。業界標準化機関のICDM(International Commitee for Display Metrology)において8K高画質のお墨付きを与えられた「REAL 8K TV」であることを、他社製品との画質比較も交えながらブースでアピールしていました。ドイツでは、11月に75型モデルの発売を予定しているそうです。